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日本工作機器工業会、通常総会を開催、2024年工作機器販売額2.3%増1810億円
日本工作機器工業会は5月21日、東京都千代田区の東京会館で「第32回 通常総会」を開催した。
総会後の懇親会では、再任された寺町彰博会長(THK社長)が挨拶に立ち、2023年1月~12月(暦年ベース)の同工業会会員企業の販売額が前年同期比19.8%減の1768億3600万円だったことを報告。さらに2024年1月~12月の販売額は、工作機器の関わる工作機械や半導体製造装置、ロボットなどモノづくり関連投資が増える見通しであることから同2.3%増の1809億7000万円となる見込みであることを報告、1月の賀詞交歓会での販売額の見通しを上方修正した。
寺町新会長はまた、「日本ではバブル崩壊以降、さらにリーマンショックを経て、リスクを把握しリスクを回避する守りの姿勢である「リスクヘッジ」に向かい、欧米、中国よりも経済回復で出遅れている感がある。今ドラマや音楽シーンで注目の集まっている昭和の時代、特に高度経済成長時代には、リスクを取る攻めの姿勢である「リスクテイク」によって劇的な成長を遂げた。人手不足なのにロボットが売れない日本はおかしい。今こそ、いかにリスクテイクによって各社が、当工業会が、産業界が成長を遂げていくかを考える必要がある」と力強く語った。
挨拶する寺町会長
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第7回 国際シンポジウムを開催
トライボロジー研究財団(TTRF)と大豊工業は4月17日、名古屋市の名古屋国際会議場で「TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2024」を開催した。
開催のようす
「トライボロジーの自動車社会への貢献」を全体テーマに掲げる同シンポジウムは、トライボロジー研究の進展と自動車技術への応用等に関しトップレベルの情報を交換するとともに、この分野での産学連携の現状と将来の可能性を示しその強化を図ることを目的に、2016年から開催されている。7回目となる今回は 、「Prospects for Powertrain "Lubricants" Facing Carbon Neutrality(カーボンニュートラルに向けてパワートレーンの「潤滑剤」を考える)」のテーマのもとで、基調講演のほか、潤滑剤の最新の研究開発に関する二つの技術セッションが行われた。
開会の挨拶に立った新美俊生 実行委員長(大豊工業社長)は、大豊工業が曾田範宗氏や木村好次氏をはじめとするトライボロジー研究の第一人者の指導を受けながらトライボロジーをコア技術としてマイクログルーブ軸受や樹脂コーティング軸受といった先進エンジンベアリングを世に送り出してきたことや、同社が多くの恩恵を受けてきたトライボロジーの研究開発支援と啓蒙に寄与する目的でTTRFを2000年に設立し、以降、多数のトライボロジーの研究テーマに対し累計230万USドルの助成を行っていることを報告した。また、学界と産業界のコラボレーションの強化によって一層のトライボロジー研究の活性化を支援していく目的で2016年から本シンポジウムを開催していることを紹介。自動車業界の大変革期にあって電動化、サステナビリティ、SDGsなどトライボロジーの諸課題が厳しさを増す中で、産学連携の強化によるトライボロジー技術の一層の高度化が課題解決に寄与できるとの観点から、「本日のシンポジウムにおいても、学界と産業界の両者の活発なディスカッションを通じて、トライボロジー研究開発の促進につながることを期待している」と述べた。
挨拶する新美実行委員長
続いて、Kenneth G. Holmberg氏(TTRF Director)をチェアマンに、以下のとおり基調講演が行われた。
・「Materials and Lubrication Challenges for a Sustainable Electric Vehicle Mobility: Recent Progress and Future Prospects」Ali Erdemir氏(Texas A&M University)…電気自動車(EV)の販売台数が2022年に1000万台に到達し、2040年までに6000万台が見込まれるなど市場が拡大している背景として、内燃機関(ICE)車に比べエネルギーロスが少なく環境への負荷が少ない点などを説明。ICE車からEVへの切り替えが急速に進む一方で、EVが今後自動車のメインストリームを走り続けるには、バッテリー、モータ、ドライブトレーン部品などの性能、効率、信頼性をより高める必要がある。EVのトランスミッションおよびギヤボックスに使われる潤滑や材料への要求性能はICE車における要求性能とは極めて異なるため、EVにおいては潤滑に用いられるフルードや材料の強化、熱マネージメントの強化がより求められる。EVの安全・円滑な長距離走行を実現するには、優れた潤滑性、高い耐摩耗性・耐食性・耐接触疲労特性に加えて、熱・電気特性を満足させる潤滑剤の開発が急がれる。高トルク・高速・高温といったより過酷なEVの運転状況から、既存の潤滑油ではEVの信頼性要求・熱マネージメント要求を満たせない。EVの潤滑剤ではまた、極低温~高温の急激に変化する運転条件・環境条件において電気特性やドライブトレーンの材料との適合性にミートしなくてはならない。EVの電流/電圧が変動し頻繁に放電が発生する状況での、しゅう動二面の高いトルク、高い荷重、高速、高温に対して、フルード粘度の最適化や既存のパッケージ添加剤のカスタム化も要求される。EVにおいてはトライボロジー課題と熱・電気的課題を同時に解決する材料・潤滑油ソリューションを確立する必要がある。本講演では、EVのしゅう動部品の摩擦、摩耗、潤滑に関わる課題について紹介したほか、 効率や熱・酸化安定性、材料適合性、摩耗特性などを改善可能な水系の低粘度多目的潤滑油基油などのフルードを紹介した。また、熱的・電気的に負荷がかかる条件下において、摩耗や疲労、酸化などへの耐性を高めるための機能性添加剤やトライボ材料、DLC(水素含有および水素フリー)などのコーティング/表面改質技術などについての実験データを示した。最後に次世代EVの効率や耐久性、環境適合性などに合致するナノマテリアルなどを紹介した。
続いて村上靖宏氏(技術オフィス・村上)をチェアマンに、「潤滑剤の研究・開発1」のセッションが以下のとおり行われた。
・「Development of Novel Film Forming Additive Contributing to Improving Efficiency of Electric Vehicles」中村俊貴氏(ENEOS)…潤滑油はEVのe-Axleとドライブトレーンにおいて重要な要素で、潤滑油の低粘度化は弾性流体潤滑(EHL)下のマイルドな運転条件においては効果的な一方で、混合潤滑下のシビアな運転条件においてはネガティブな効果をもたらす。つまり、効率改善には、シビアな運転条件でのフリクションロスを低減させることが重要である。本講演では、開発したEVフルードに最適な新規摩擦低減剤(FM)が、特にシビアな運転条件での減速ギヤの摩擦を効果的に減らせたことを報告。MTM (Mini Traction Machine)とe-Axleギヤボックスを用いた実験によって、開発した新規FMが混合潤滑条件で摩擦を低減し、ギヤボックスの効率を改善したことを確認した。同FMの作用メカニズムを究明するために、油膜厚さを調べた結果、同FMが油膜厚さを劇的に増やす効果を有することが分かった。
・「Mechanism of Low Friction of Fullerene Added Oil Under Boundary/ Mixed Lubrication」本田知己氏(福井大学)…ZnDTPは潤滑油において酸化を防ぐ酸化防止剤として使われているが、高い環境負荷からZnDTPの使用を避ける傾向にあり、新たな多機能添加剤が求められている。この新しい多機能添加剤として、フラーレンが注目を集めている。フラーレン添加オイルが実際の装置で使われる際には、フラーレンが潤滑油の酸化反応を阻害するメカニズムを解明することが重要になる。本講演では、フラーレンの酸化防止メカニズムを解明するために、フラーレンの酸化防止機能が作用した後のフラーレン反応物の摩擦摩耗特性を評価。フラーレンの反応物が摩擦と摩耗を低減することが明らかになった。オイル中など溶媒中でのフラーレンの存在状態を確認するため、FE-SEM を用いて観察した結果、フラーレンが層状の集合体を形成していることが認められた。本研究によって、酸化防止機能に加えて酸化防止機能作用後のフラーレンの反応物が低摩擦・低摩耗の発現に寄与することから、フラーレンが多目的添加剤として高い可能性を有していることが示された。
・「Lubrication of Electric Powertrain: A Method to Predict Friction in the Mixed and Boundary Regimes」Ian Sherrington氏(University of Central Lancashire)…本講演では、EVパワートレーンの潤滑と冷却に用いられるフルードの主な要求特性について概要を示したほか、EVフルードの主な特性を評価するための最近の利用可能な試験手法について紹介した上で、メインとなる、混合・境界潤滑領域での潤滑のモデリングに関する課題について論じた。TTRF助成のもとJost Institute for Tribotechnologyで開発されたシンプルな手法を、基油、潤滑油、さらには摩擦低減剤や耐摩耗剤などの添加剤のための摩擦のモデル化に適用。本解析手法は、計測された摩擦係数を正規化し、それら数値を確立されたラムダ比(最小油膜厚さ/合成表面粗さ)へとプロットできる。事例では、種々の潤滑剤の摩擦係数データから、境界潤滑領域および混合潤滑領域における信頼性の高い摩擦の予測を行うために使用できる「マスターカーブ」が描けることを紹介した。
さらに、平山朋子氏(京都大学)をチェアマンに、「潤滑剤の研究・開発2」のセッションが以下のとおり行われた。
・「Development of Transaxle Lubricating Oil for Electrified Vehicles」床桜大輔氏(トヨタ自動車)…自動車業界は、CO2排出量削減と地球温暖化防止を目的に電動車の開発を加速しており、電動車の電費向上は重要な技術的取り組みとなる。トランスアクスルでの損失の削減は、すべての電動車の効率を向上させる効果的な方法で、この目標を達成する効果的な方法の一つが、トランスアクスルフルードの粘度を下げることである。しかし通常、粘度を下げると金属しゅう動面の潤滑油膜厚さが不足し、摩耗や焼付きなど、耐久性の問題が生じる。本講演では、粘度低下による悪影響に対処するため、将来の電動車両の普及を見据え、電動車専用の潤滑油の新しい添加剤配合を設計した結果、従来のフルードに比べて粘度を50%低減しながらユニットの耐久性を確保した新しいトランスアクスルフルードが完成した事例を紹介した。この新しいトランスアクスルフルードにより、HEVのテストサイクル走行条件下での燃費を1.0%以上向上させるとともに、電動車トランスアクスルの重要な要素であるモーターの冷却性能を向上させることができると総括した。
・「Improvement of Performances of Lubricants Applied to Transaxles in Electric Vehicles」巽 浩之氏(出光興産)…CO2排出量削減のため、電気自動車用トランスアクスル(E-Axle)を搭載した電気自動車の普及が期待されている。E-Axle用潤滑剤にはさまざまな性能、特にユニットの保護と効率向上の観点から最も重要な、モーターの冷却とギヤやベアリングの保護性能が求められる。本研究では、これらの特徴を詳細に調査。モーターの冷却性能については、独自の試験機を設計・評価した結果、モーターの冷却性を向上させるためには、動粘度を下げ、熱伝達率を高めることが重要であることが分かった。さらに、ギヤ&ベアリング試験機による評価の結果、適切なリン系添加剤を使用することで接触面を制御でき、ギヤやベアリングの保護性能が向上することが分かった。本研究の結果、基油と耐摩耗剤を適切に選択することで、モーターの冷却性能とギヤやベアリングの保護性能に優れたE-Axle用潤滑剤を設計できることが分かった。
・「Development of Ionic Liquids (ILs) as Lubricant Additives and Control of Lubricating Properties of ILs」川田将平氏(関西大学)…イオン液体はその優れた物性から、新たな潤滑剤として期待されている。イオン液体の潤滑性能は、実験室レベルの実験において、特定の条件下で低摩擦・低摩耗を示すことが知られている。しかし、多くの潤滑システムが限界性能を追求しようという高いレベルに達しているため、イオン液体はフィージビリティスタディ(実現可能性調査)の段階から脱却できない状況にあり、イオン液体の新たな用途が必要とされている。本講演では、潤滑油添加剤としてのイオン液体の応用と摩擦制御システムへの応用について紹介。摩擦制御システムにおいて、イオン液体の電気二重層構造に着目し、境界潤滑領域における摩擦係数の安定化を目指した研究を行っていることを報告した。
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2024年5月号「特集:カーボンニュートラルとbmt」「キーテク特集:潤滑油剤・添加剤」発行!
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第48号となる2024年5月号が5月24日に小社より発行される。
今号は「特集:カーボンニュートラルとbmt」、「キーテク特集:潤滑油剤・添加剤」で構成。特集「カーボンニュートラルとbmt」では、洋上風力発電、核融合発電、カーボンニュートラルポート実現のための停泊船への陸上電力供給など次世代エネルギーの動向とそれらを支えるbmt関連技術を広く紹介する。
また、キーテク特集「潤滑油剤・添加剤」では、バイオマスバランス潤滑油剤によるカーボンニュートラルへの貢献や高性能基油に基づく処方による製品フットプリントの低減、振動摩擦摩耗試験機を用いた潤滑油状態監視技術などについて紹介する。
特集:カーボンニュートラルとbmt
◇加速する風力へのエネルギーシフト・・・日本風力エネルギー学会 松信 隆
◇カーボンニュートラルポートの形成に向けた陸上電力供給向けケーブル管理システム(CMS)の特長と適用・・・igus Martin Tiling 氏、イグス 山下 茂樹 氏、北嶋 大樹 氏 に聞く
◇核融合発電を支える加速電源の開発とビジネス展開・・・東京電子 黒岩 雅英 氏に聞く
◇直接潤滑方式LEGスラスト油膜軸受の特長と適用・・・木村洋行 北澤 潤 氏、足立 健太 氏、横田 雅也 氏に聞く
◇カーボンニュートラルに貢献する急冷焼入れ油の開発と適用・・・出光興産 山本 徹朗
キーテク特集:潤滑油剤・添加剤◇潤滑油業界のサステナビリティニーズに対応した温室効果ガス排出量の低い潤滑油コンポーネント ・・・BASF Sabrina Stark、Frank Rittig、Edith Tuzyna、Xiao Wang、Naohisa Nakagawa
◇自動車ドライブトレイン用フルードの新しい基油技術・・・エボニック ジャパンに聞く
◇トライボ的数値を用いた潤滑油状態監視の判断基準・・・MATRILUB M. Woydt、Optimol Instruments A. Schneider、Novotny-Farkas、訳:パーカー熱処理工業 佐藤 雅之
連載注目技術:第42回 灯台回転機械の開発・改良・保守などの試験研究の取り組み・・・海上保安試験研究センター
あるコスモポリタンの区区之心 第18回 宇宙は生命で満ち溢れているか・・・紺野 大介
トピックス日本滑り軸受標準化協議会、第38回総会を開催
雑誌ご購入FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日、表彰費用の賛助も募集
未来生産システム学協会(FPS)は、「第17回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の業績募集を開始した。締め切りは本年9月30日。
岩木賞はトライボコーティング技術研究会が提唱し、NPO法人である精密科学技術ネットワーク(PEN)が2008年度から創設し表彰していたが、2011年度からは一般社団法人であるFPSが継承し表彰している。
岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。募集対象は表面加工、表面改質、表面分析、トライボロジー、コーティングに関わる研究・開発・技術・支援・交流・事業化などで著しい成果、業績(製品、サービス、学会発表や特許申請/登録されたものを含む)を上げた個人、法人、団体で、表彰対象は受賞業績が公表できること、FPSに参加できること、と定めている。
本年度は大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞を中心に募集を行うが、国際賞、事業賞、功績賞の申請も受け付ける。国際賞以外は、原則として日本国内に居住地、研究室や本社、本部、主力工場などの活動拠点を有する個人、法人、もしくは団体が対象。国際賞は、海外に居住地などの主たる活動拠点を有する個人、法人、団体が対象となる。
各賞の審査基準は以下のとおり。
【大賞】
・開発技術が世界的に高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、経済的・社会的貢献が認められるもの。
【優秀賞】
・開発技術が日本国内において高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、社会的貢献が認められるもの。
【特別賞】
・開発技術が当該業界において高い水準にあり、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されているか、実用化の途上にあり、社会的貢献が認められるもの。
【奨励賞】
・開発技術が当該業界において優れており、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化の途上にあり、実用化の努力が認められるもの。
【事業賞】
・事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらすなどの効果を通して、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。
【国際賞】
・開発技術または事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の我が国との関係において協力、連携、協調関係を育み、または当該業界の知名度を上げ、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。
【功績賞】
・大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞の評価尺度と、事業賞、国際賞の評価尺度のいずれの面でも極めて顕著な業績が認められるもの。
岩木賞受賞業績については、2025年2月に開催予定のシンポジウム「トライボコーティングの現状と将来」で、表彰および受賞業績の記念講演がなされる。岩木賞に関する問い合わせ、申請様式の請求は、FPS表彰顕彰部門岩木賞表彰事業部内 事務局まで(E-mail:award@e-shg.net)。
トライボコーティング技術研究会ではまた、岩木賞表彰費用の賛助を呼びかけている。問い合わせ・申し込みは、岩木賞表彰事務局まで(award@tribocoati.st)。
なお、岩木賞のこれまでの受賞業績は以下のとおり。
kat 2024年5月22日 (水曜日)
NTN、同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受を開発
NTNは、電気自動車(EV)などの駆動源として使用される同軸e-Axle向けに、大径サイズで標準品比2倍以上となるdmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))150万の高速回転性能と標準品比50%以上の低トルク化を実現するとともに、耐電食性も兼ね備えた大径深溝玉軸受を開発した。dmn値150 万の高速回転性能と低トルク性により、同軸e-Axleの一層の小型・軽量化、高効率化と、EVの航続距離の延長に貢献する。
同社ではEV用同軸e-Axle のモータ向けに本軸受の提案を進め、2027年度に20億円/年の販売を目指す。
同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受同軸e-Axleにおける大径深溝玉軸受の適用部位
近年、EVの航続距離の延長を目的に、小型・軽量な駆動源として同軸e-Axleが注目を集めている。同軸e-Axleはモータと遊星歯車減速機から構成され、減速機の出力軸がモータ軸の内径を貫通する構造のため、使用されるモータ支持用軸受は平行軸e-Axleに使用されるものと比べて、軸受内径が50~90mmの大径サイズとなる。
EVのさらなる航続距離の延長に向け、同軸e-Axleはより一層の小型・軽量化と高効率化が進むことが予想されるが、その実現のため同軸e-Axle用の大径サイズの軸受にはモータの高出力化への対応や低トルク化、電食(モータからの漏洩電流でスパークが発生し、軌道面が溶融しはく離などの損傷につながる現象)への対応が求められる。
こうした課題を解決すべく開発した同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受の特長は、以下のとおり。
・高速回転性能:使用する転動体(ボール)の個数および保持器のポケット数を削減することで、高速回転時に保持器にかかる遠心力を低減することに成功。また、保持器について、形状を工夫したほか必要な強度に合わせた最適な材質を採用することで、高速回転時の遠心力による保持器の変形を最小化。これらにより、軸受内径50~90mmの大径サイズの軸受において標準品比2倍以上となるdmn値150万を実現した
・低トルク性:使用するボール個数を削減することで、標準品比で50%以上の低トルク化を実現
・耐電食性:絶縁体であるセラミック製のボールを使用することで、電食の発生を防止
同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受の構造標準品との比較