島津製作所は、燃料電池自動車を始めとする自動車分野などへの応用や家庭用燃料電池として普及が期待される固体高分子形燃料電池(PEFC)内の酸素濃度をリアルタイムで測定できる「FC-3Dモニタ FCM-3D-Oxy」の販売を開始した。
同品は、PEFC内ガス拡散層(GDL)の深さ方向の酸素濃度をリアルタイムで直接モニタする装置。GDL内部の酸素濃度を測定することで、発電効率を高める部材の設計および選定や気体流路の最適化への寄与が期待できる。
直径50μmの微細なプローブをPEFC内部に直接挿入する技術によって、GDL内の任意の位置・深さごとの酸素濃度をモニタできる。プローブは本体に5セット搭載しており、最大で5箇所までの同時測定が可能。また、プローブの先端位置を自動で算出する機能も搭載しており、酸素濃度の経時変化や測定場所ごとの酸素濃度の記録も可能。
従来製品のソフトウェアを応用し、深さ方向に測定する同品用のソフトウェアを新開発した。高速なデータ処理によって、5箇所同時測定時でもリアルタイムで酸素濃度とプローブの先端位置を記録することができるという。
従来製品は装置が制御部と本体部に分かれており、暗室で使用する必要があったが、同品は、制御部と本体部を一体化して設置面積1m×1mの単一ユニットに収めており、暗室の用意も不要。顧客の研究開発現場にさらに導入しやすくした。
なお、同品は、山梨大学をプロジェクトリーダーとして3大学3企業(山梨大学・島津製作所・早稲田大学・慶應義塾大学・みずほ情報総研・パナソニック)が参画した科学技術振興機構の「先端計測分析技術・機器開発」プログラムの開発課題「燃料電池内3次元反応分布可視化装置の開発」(平成23~26年度)による成果をもとに、同社が製品化したもの。