制御技術開発のために製作した自律移動型双腕ロボット 日立製作所は、日立物流の協力のもと、物流倉庫での集品作業の自動化に向けて、目的の商品が保管されている棚まで移動して商品を取り出し、箱詰めまで行う自律移動型双腕ロボットの制御技術を開発した。
同技術により、移動しながら目的の商品を見つけてアームを伸ばす動作や、1本のアームでは取り出せない商品を2本のアームで取り出す動作など、人と同様の集品作業が可能となる。同技術を搭載したロボットにより、人手を前提とした多品種少量の商品を扱う倉庫において、集品作業を効率的かつ安定的に実施することが期待される。
日立製作所では、走行台車の上に高さを調節する昇降台を載せ、さらに2本の市販の産業用アームとグリッパ(手作業の手に相当する部分)を搭載した自律移動型双腕ロボットを製作し、人の作業を前提とした環境で効率的な集品作業を実現するためのロボット制御技術を開発した。
製作したロボットには、走行台車・昇降台・2本のアームなど複数の機構が備わっており、人と同様の柔軟で素早い動作を実現するためには各機構を連携させる必要がある。連携させるために各機構間で頻繁に通信を行うと通信量や演算量が膨大となることや、すべての機構の動きを一元的に管理しようとするとプログラムが煩雑となることから、どちらも動作の不具合に繋がりやすくなるという課題があった。
今回開発した技術は、集品作業の要となる走行台車・昇降台・2本のアームの各機構を少ない通信量で効率的に連携できるよう制御する。ロボットが動作するにあたって各機構が必要とする最低限の情報や、各機構が動作する際の適切なタイミングを事前に定義することで、通信量を抑えたまま各機構を連携させることを可能にし、人と同様の柔軟で素早い動作を実現した。