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NTN、超大形軸受の実物評価が可能な世界最大級の試験設備を導入

 NTNは、今後世界各地で需要拡大が見込まれる洋上風力発電装置の主軸用軸受(以下、主軸受)の技術開発を強化するため、超大形軸受の実物評価が可能な世界最大級の試験設備「WIND LAB.」を導入した。

NTNが導入した「WIND LAB.」NTNが導入した「WIND LAB.」

 風力発電は、CO2を排出しないクリーンな再生エネルギーとして、環境保全の観点から世界で普及している。今後ますますの電力需要の拡大とともに、発電効率の向上を目的とした装置の大型化や、欧州を中心とした洋上風力発電の急成長が予測されている。

 同社は、風力発電装置を構成する部品のうち、最重要部品の一つとされる主軸受をはじめ、減速機、増速機、発電機などに用いられるすべての軸受を開発・供給している。中でも直径100mを超える翼(ブレード)の回転を支える主軸受には、非常に高い技術力が必要とされる。洋上風力発電をはじめ大型化する風力発電装置用の主軸受には、高出力化や苛酷な立地環境への対応などが求められる。また軸受に不具合が発生すると、発電が停止するだけでなく、大規模なクレーンによる交換作業が必要となり、多額の費用や損失が発生してしまうことから、これまで以上に高い品質と信頼性が求められる。

 同社は、これまでの軸受開発で培ってきた評価技術を活用し、外径約4.2mまでの主軸受の評価が可能な世界最大級の試験設備「WIND LAB.」を自社開発し、先端技術研究所(三重県桑名市)内に設置した。

 「WIND LAB.」は、垂直・水平方向で計6個の油圧シリンダーを用いて軸受に荷重を発生させ、実際の風力発電装置で使用されている状態を再現することで、軸受の詳細な技術解析や仕様検討が行える。定常状態での評価に加え、極限状態にある荷重条件下の試験が可能であるほか、自動調心ころ軸受や円すいころ軸受など各種の軸受にも対応し、顧客のニーズや風力発電装置の形式に合ったさまざまな評価が可能。さらに、「WIND LAB.」に同社が開発した風力発電装置用状態監視システム(CMS)「Wind Doctor」を組み込むことで、試験中の軸受状態をモニタリングし、軸受の機能向上およびCMSによる設備診断技術のさらなる高度化を図る。

 同社は、国内外の風力発電装置メーカが求めるニーズに対して、産業機械技術開発センター(三重県桑名市)で研究開発を行うとともに、グローバル需要の増加に対応するため、桑名製作所(三重県桑名市)をはじめ国内外で、超大形主軸受をはじめとする各種軸受の量産体制を確立している。また、NEDOが展開する風力発電高度実用化研究開発(スマートメンテナンス技術研究開発)に東京大学他と参画しており、40台のCMSを全国の風力発電装置に設置して実証試験を進めている。