大同特殊鋼は、従来材に比べ、しなやかさおよび冷間加工性(成形性) を改善したチタン合金「TNCZ」を開発、サンプル提供を開始した。2014年10月から線材(ワイヤーロッド)の量産出荷を開始する。
同品は医療用に開発したニッケルおよびバナジウムを含まないβ型チタン合金で、毒性の指摘の少ない元素であるチタン、ニオブ、クロム、ジルコニウムから構成されている。また、従来のチタン合金にはない、しなやかさと複雑な形状にも加工可能な成形性を併せ持っており、従来のチタン合金では実現できなかったデザインにも対応できる。用途は主にカテーテルガイドワイヤー、ガイドピン、ステントなどに代表される医療機器を想定しているが、眼鏡フレームや自動車部品、時計ケース等、様々な分野での活用を目指している。
同社は独自の溶解技術(LIF炉、LIF:Levitation Induction Furnace)を活用することで偏析のない大型インゴットの製造を可能とし、生産性向上を可能にした。また、高融点金属元素からなる合金設計により誕生した同品はヤング率が低く、変形抵抗も低い(成形性が優れる)など今までの課題を克服したチタン合金であるという。