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トーヨーエイテック、DLC被覆冠動脈用ステントの医療機器製造業許可を取得

 トーヨーエイテックは、冠動脈用ステントの医療機器製造業許可を取得したと発表した。同社ではすでに医療用具・設計製造品質マネジメントシステム規格であるISO13485を取得して生産体制を確立しており、冠動脈ステントを試験生産している。薬事法で必要とされている製造業許可を取得したことで、医療機器製造販売業者への本格的な供給が可能となる。

 冠動脈用ステントは金属製のパイプを網目状に加工したもので、心臓の冠動脈がコレステロールや血栓等で詰まって起こる症状の治療に使用される高度医療機器部品。カテーテルを使用して患部に挿入し、狭くなった血管を押し広げて留置することで、血流を確保する。同社では素材をステント形状に加工するだけでなく、必要に応じてステントの表面に硬質炭素膜であるDLC(Diamond Like Carbon)をコーティングしている。

 DLCは生体適合性が高い炭素を主成分とするため、体内での使用でも体への侵襲度が低いという特長がある。しかし、ステントは血管内で拡張させる必要があるためDLCがはく離しやすく、その効果を充分に発揮させることが困難だった。同社では靱性を高めたDLCを新たに開発し、はく離しにくいDLCコーティングを実現している。ステント加工は本社工場(広島県)で、DLCコーティングは東京工場(埼玉県)で行っており、今回の製造業許可は両拠点で取得した。ステント加工とDLCコーティングの両方で医療機器製造業許可を取得したのは、国内では同社が初めてだという。

 日本政府は2008年、「経済財政改革の基本方針2008」を閣議決定し、経済成長戦略の一つとして、革新的技術の開発を促進するため、研究資金の特例や規制を担当する部局との並行協議などを試験的に行う「革新的技術特区(スーパー特区)」を創設。その第一弾として、4府省(内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)連携事業である「先端医療開発特区」が創設され、最先端の再生医療、医薬品・医療機器について、開発が進められている。同社は、特区の革新的な医療機器の開発分野の一つである「先端的循環機器系治療機器の開発と臨床応用、製品化に関する横断的・統合的研究」をテーマとした研究グループに参画。同分野における、冠動脈ステントを含む低侵襲治療を担う「革新的循環器病カテーテル治療機器」の実現に向け、ステントの超微細加工やDLC表面処理技術の領域で製品化に向けた研究を進めている。