日立製作所は事業拡大のため、市場に密着したグローバル研究開発体制の構築を図る方針を決定した。まず、優れた研究者の確保をめざし、グローバルに人財を求め、海外の研究人員を増員する。また、注力地域における事業拡大のため、ブラジルに新たな研究拠点を開設し、現地での研究開発を統括、推進するとともに、地域の特性を活かした研究開発を行い事業強化に貢献していくため、各研究拠点の中に設置する研究室の開設を進める。
現在同社は、社会イノベーション事業を軸に、グローバル市場での成長実現に向けた経営施策を推進している。研究開発分野においても、国内研究所を中核技術の開発拠点と位置づけながら、最先端の技術潮流や市場のニーズを直接取り入れるために海外の研究開発拠点の拡大を進めてきた。
今回決定したグローバル研究開発体制の強化策は、主に次の三つから構成されている。まず、人員施策として、現在280人である海外の研究開発人員を2015年度までに400人に拡大する。また、現地人財を積極的にリーダーへ登用することで、地域に密着した研究開発を加速する。次に、日立グループ注力地域の一つであるブラジルでの事業拡大のため、2013年6月に、新たな研究拠点として「ブラジル研究所」を開設する。日立は、現地での研究開発の統括、推進の役割を担う拠点として、日本、米国、欧州、中国、アジア、インドの6地域に研究拠点を設置しており、「ブラジル研究所」は七つ目の拠点となる。また、地域の特性を活かした研究開発を推進するために、各地域の研究拠点の中に設置する研究室の充実を図る。2012年10月には英国に「欧州鉄道研究開発センタ」を、2013年4月には中国に「日立中国材料技術創新センタ」を開設したが、さらに米国に「米国ビッグデータラボ」を開設する予定。