カネカ( http://www.kaneka.co.jp/ )は、同社製薄膜シリコン太陽電池モジュールがPID(Potential Induced Degradation/電圧誘起出力低下)試験により高い耐性を有することが実証されたと発表した。試験は社内および第三者機関であるケミトックスの検証によって、IEC規格案として提案されているIEC82/685/NP準拠の条件で行われた。
PIDとは、結晶Siモジュールで確認されている出力低下現象の一つであり、太陽電池モジュールだけでなく太陽光発電システム全体の出力を低下させる恐れがあるという。太陽電池セルと太陽電池モジュールのフレームとの間に高電圧を掛けることにより生じやすく、高温多湿の環境下でシステム電圧が高い太陽光発電システムで起こりやすいと言われている。高電圧ストレスが引き起こすPIDの耐性を確認するために各国の試験機関では、種々の試験条件で調査が行われている。今回は太陽電池モジュールの国際規格として代表的なIEC規格(IEC82/685/NP)の試験条件に準拠し、温度60℃、相対湿度85%、印荷電圧システム最大電圧(産業用1000Vおよび住宅用600V)、試験時間96時間で試験を行った。
カネカの子会社であるカネカソーラーテックが生産している薄膜シリコン太陽電池には、1999年の創業当初からガラスと太陽電池セルの間にアルカリバリア層が設けられており、PIDの原因の一つとされているガラス中のアルカリ成分の太陽電池セルへの移動を防止する効果があるという。同社では、こうした太陽電池設計がモジュールのPID耐性を高めていると以前から考えており、今回第三者機関での検証結果によって実証されたことになる。