三菱重工業は、米国インディアナ州にターボチャージャー(過給器)の生産拠点を設立する。米国での燃費規制導入などにより米国自動車メーカーでも低燃費車の開発・導入が進んでいることを背景に、北米市場で今後増大が見込めるターボチャージャー需要に対応するもので、量産開始は2014年秋の予定。
新工場は、北米でエンジン・ターボチャージャーの販売を行う子会社Mitsubishi Engine North America, Inc.(MENA)の工場として新設。三菱重工業北米事業の総合力を活用するため、冷熱事業の北米子会社Mitsubishi Heavy Industries Climate Control, Inc.(MCCA)がインディアナ州フランクリン市に持つカーエアコン生産工場敷地内に、ターボチャージャーの生産ラインを新設するシェアドファクトリー(複数製品生産工場)方式を採用する。
今回設置する3本の最終組み立てラインには、世界同一品質を確保するため欧州および中国の工場と共通の自動化ラインを導入。部品の管理には2次元バーコード付きのタグを用いて、トレサビリティーチェックを強化する。年間生産能力は60万台からスタートし、将来的には120万台以上へと順次引き上げを計画している。カートリッジと呼ばれるコア部品を、タイの100%出資子会社Mitsubishi Turbocharger Asia Co., Ltd.(MTA)などで生産し、米国工場ではカートリッジにハウジングなどを取り付け最終製品に組み立てる。
ガソリンエンジン車が多い北米市場ではこれまでターボチャージャーに対する需要が少なかったが、CAFE規制(Corporate Average Fuel Efficiency(企業平均燃費)規制 )などの燃費規制強化を背景に、小型ガソリンエンジン車を中心として、燃費改善に貢献するターボチャージャー搭載エンジンへのニーズが高まっている。このため、北米での現地生産により、品質・コスト面の競争力を高めながら納期短縮にも取り組んでいく。
三菱重工業は、今回のターボチャージャー米国工場の新設により、自動車に対する需要が大きい欧州、アジアを合わせた3極でターボチャージャーの最終組み立て体制を構築。2016年度に販売1000万台達成、世界シェア30%獲得に向け顧客密着の営業・供給に一層力を注いでいく。
MCCA工場 外観