H-IIBロケット リフトオフ イメージCG 三菱重工業は、H-IIBロケットの打上げ輸送サービス事業を開始することで宇宙航空研究開発機構(JAXA)と合意した。本年7月21日のH-IIB3号機打上げ成功を受けたもので、4号機以後の打上げは同社が担うことになる。2007年以降、同社が打上げを受託しているH-IIAロケットに比べ質量が2倍の大型人工衛星にも対応可能となったことから、同社は国内外からの商業衛星をはじめとする幅広い打上げニーズに応えることにより、世界市場の積極開拓を目指す。
H-IIBロケットはJAXAと三菱重工業が共同開発したもので、H-IIAと並ぶ日本の基幹ロケット。2009年の初号機から3機連続で打上げに成功している。これまで同社が中心となり製造してきたが、引き続きJAXAが実施する安全確認、地上安全確保、飛行安全確認などの業務と飛行データの取得に関わる業務を除き、今後はすべての製造・打上げに関する業務を同社が担当することになる。
H-IIBはこれまで3機とも、JAXAにより国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の打上げに使われてきた。同ロケットの静止遷移軌道への衛星打上げ能力は8トンで、通信用などで大型化の傾向にある衛星への対応力も広がることとなる。また、2基の中型衛星を同時に打ち上げることも可能。
宇宙開発・活動における日本の自在性を堅持するために、同社はH-IIA/Bロケットを用いた打上げ輸送サービス事業を通じて日本の宇宙へのアクセス手段の確保を担う。このため、官需衛星を打ち上げる場合の国産ロケットの確実な活用や、官需衛星の打上げ時期の明確化、さらに踏み込んだ宇宙関連産業維持方策などを、政府に対して引き続き要請していく。
同時に、今後、国内外の衛星打上げプロジェクトに対して、H-IIAと同様にH-IIBを様々な衛星の打上げとの相乗りで利用することや、新興国に対する衛星輸送サービスを中心にした宇宙インフラパッケージ輸出など、多様な提案を行っていく。併せて、継続的なコスト低減および品質向上活動に取り組むことで、国際競争力を強化し、ロケット打上げ機数の確保により宇宙輸送系産業基盤維持を図る。