日機連、【23年度の機械工業の生産額実績】を前年度比1.9%減の67兆4623億円と発表
日本機械工業連合会( http://www.jmf.or.jp )は、平成23年度の機械工業の生産額を調査、前年度比1.9%減の67兆4623億円と発表した。
この数字は、同連合会が毎年関係工業会の協力を得て年度ごとの機械工業の見通しを行っているもの。業種別機械工業の動向として1.一般機械 2.電気機械 3.情報通信機械 4.電子部品・デバイス5.輸送機械 6.精密機械 7.金属製品 8.鋳鍛造品に分類して調査を行っている。
前年度末に発生した東日本大震災により回復過程をたどっていた生産、輸出への下押し圧力が強まったものの、見込みを上回る早さで供給制約が解消されるなど、景気は緩やかながらも持ち直しの動きが見られた。しかし、秋にはタイ洪水の影響により一時的にサプライチェーンが寸断されるなど足踏み状態となり、欧州の金融不安や激しい円高は企業活動に厳しい影響を与えた。こうした中で、一般機械、輸送機械、精密機械などが、生産活動の制約が多い条件の下で概ね健闘したものの、情報通信機械、電子部品・デバイスが大きく減少したことにより、平成23年度の機械工業生産額は前年度比1.9%減となった。
一般機械の生産額は前年度比5.7%増の13兆4799億円
一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)5.7%増の13兆4799億円となった。機種別にみると、ボイラー・原動機は、ディーゼル機関が輸出を中心に回復したことから、全体で1.1%増。土木建設機械は、内需の回復基調が続き、外需も資源開発国向けに加え、従来の主要マーケットである欧米が回復したことから、29.4%増。印刷・製本・紙工機械は、環境対応や生産合理化に適合した高付加価値設備が増加し、4.0%増。油空圧機器は、油圧機器が建設機械需要が拡大する中国を中心に、空気圧機器も輸出が中国をはじめとする新興国や欧米で堅調に推移し、8.9%増。ロボットは、国内外ともに自動車産業向けの設備投資が回復したことから、8.5%増。動力伝導装置は、下期に資源開発関連で建設機械、鉱山機械関係向けの需要増や米国製造業の回復の影響もあり、9.9%増。農業用機械器具は、国内向けは被災地域で減少したが、海外では北米、欧州、中国向けが堅調に推移し、全体で1.0%減。金属工作機械は、国内向けの回復は緩やかなものの、アジア、北米地域向けが依然として好調で、24.6%増。第二次金属加工機械は、機械プレスやワイヤーフォーミングマシンが伸び、27.6%増。鋳造装置は、鋳造機械、ダイカストマシンがともに大幅に伸び、39.4%増。繊維機械は、化学繊維機械、紡績機械が増加したものの、準備機械、織機、編組機械等で減少し、全体では6.0%減。食料品加工機械は、需要先の食品業界で年度後半に復旧需要があったが、全般的に新規設備投資は手控えられたため、1.6%減。包装機械・荷作機械は、製袋充填機、容器成形充填機、上包機、瓶詰機械、バンド掛け機、ケース詰機等いずれも増加し、全体では2.5%増。木材加工機械は、国内が国産材利用振興政策により、海外はロシア、米国の需要増により、38.3%増。事務用機械は、海外での現地生産が進み国内生産の減少傾向が続いたことから、14.5%減。ミシンは、中国での需要鈍化があったものの、東南アジア等での需要増により、0.8%増。冷凍機・同応用装置は、冷凍冷蔵関連機器等で増加したものの、冷凍空調用圧縮機、空気調和関連機器で減少し、全体で4.9%減。軸受は、国内が自動車向けを中心に、海外は米国、欧州向けが伸びたことから、4.2%増。半導体製造装置及びFPD製造装置は、TV向けを中心とした大型パネル用の設備投資が先送りされたこともあり、2.3%減少した。
輸送機械の生産額は前年度比0.8%増の28兆1139億円
輸送機械の生産額は、前年度比(以下同様)0.8%増の28兆1139億円となった。機種別にみると自動車は、年度前半には東日本大震災による工場被災や部品調達問題等により工場の稼働率が大きく落ち込んだが、後半には部品調達の改善による生産回復、増産により、自動車全体で2.2%増。自動車部品は、自動車市場で上期は震災等の影響により減少、下期は生産の回復等により増加したことから、1.5%増。産業車両は、フォークリフトトラック、ショベルトラックともに国内が順調に増加し、海外も新興国市場を中心に伸びたことから、全体では14.0%増。鋼船は、手持ち工事の減少により徐々に操業を落としたことにより、12.3%減。航空機は、機体、発動機、装備品が減少したものの、機体部品、発動機部品が増加し、全体で2.3%増加した。
精密機械の生産額は前年度比7.3%増の1兆3307億円
精密機械の生産額は、前年度比(以下同様)7.3%増の1兆3307億円となった。機種別にみると計測機器は、計量機器が自動車、工作機械向けで伸び、分析機器は海外が新興国で好調であったが、国内で微減に留まり、測量機器は復興需要増もあり、計測機器全体で7.6%増。光学機械は、写真機が5.1%増、望遠鏡・顕微鏡が円高、震災、タイ洪水の影響を受け6.2%減、カメラの交換レンズ・付属品が9.6%増となり、光学機械全体で6.2%増加した。
金属製品の生産額は前年度比1.3%減の2兆6901億円
金属製品の生産額は、前年度比(以下同様)1.3%減の2兆6901億円となった。機種別にみると、鉄構物・架線金物は、19.6%減。ばねは、2.1%減。機械工具は、特殊鋼工具が自動車向けが好調で13.7%増、超硬工具が1.4%増、ダイヤモンド工具が半導体、太陽光発電向けで減少、公共工事関連向けも回復せず3.5%減、機械工具全体では2.5%増。バルブ・コック・鉄管継手は、2.8%増加した。
鋳鍛造品の生産額は前年度比5.3%増の2兆7000億円
鋳鍛造品の生産額は、前年度比(以下同様)5.3%増の2兆7000億円となった。機種別にみると粉末冶金製品は、13.4%増。鍛工品は、自動車、産業機械、建設機械向けともにいずれも堅調で、5.4%増。銑鉄鋳物は、5.4%増。可鍛鋳鉄・精密鋳造品は、1.7%増。非鉄金属鋳物は、5.5%増。ダイカストは、自動車、二輪自動車向けが堅調で、1.4%増加した。