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神戸製鋼、航空機分野などの需要拡大でチタン事業を強化

 神戸製鋼所( http://www.kobelco.co.jp )は、チタン事業における航空機分野(合金チタン)と一般産業分野(純チタン)の生産能力を強化する。総投資額は、日本エアロフォージ(Jフォージ)への出資金15億円を含め75億円となる。

 具体的には、高砂製作所(兵庫県高砂市)の「新リングミル工場の建設」と「大型鍛造製品用熱処理・検査設備の導入」、同社100%出資会社である神鋼特殊鋼管(山口県下関市)においては「チタン溶接管ラインの増強」を実施する。今回の投資により、航空機用リング製品・大型鍛造製品(合金チタン分野)、チタン溶接管(純チタン分野)の生産能力拡充を最大限活用し、拡大する需要を積極的に取り込んでいく。

 各事業の強化内容は以下のとおり。


  1. 新リングミル工場の建設【航空機分野】
     現在、高砂製作所にリングミルを保有しているが、稼動後20年以上が経過し老朽化が進行していることから、所内に「新リングミル工場」を建設する。高精度圧延が可能なリングミルを導入することにより、同社のニアネット圧延技術と組合せて大幅な素材投入重量の削減を行うなど、コスト競争力を武器に航空機用リング製品の受注拡大を目指す。新工場の建設によりリングミルの生産能力は現行の約2倍となる。稼動開始は2012年11月を予定している。
  2. 大型鍛造製品熱処理・検査設備の導入【航空機分野】
     航空機用等の大型鍛造品国産化を目指し、日立金属(ニッケル・高合金)と共同で設立したJフォージで型打鍛造された航空機エンジン・機体用大型鍛造品の下工程となる熱処理・検査設備を導入し、チタン大型鍛造品の国内重工メーカー向け拡販を目指す。将来的には、海外エンジン・機体メーカーへの直接参入を目指す。導入する熱処理・検査設備は、処理能力・航空機需要家の要求スペックに適合した最新鋭の設備となる。これらの設備投資により生産能力は、従来の約3倍となる。高砂製作所で製造したチタン素材(ビレット)をJフォージに供給し、型打鍛造後の半製品を再び高砂製作所に戻し、熱処理・検査を経て、供給する。稼動開始は2013年4月を予定している。
  3. チタン溶接管専用ラインの増強【一般産業分野】
     子会社の神鋼特殊鋼管では、国内最大規模のチタン溶接管専用工場に新ラインを増設し、新興国(電力用)・中東 (海水淡水化プラント用)向けの需要拡大に対応する。特に大型案件への対応に必要な瞬発力を確保し受注拡大を目指す。神戸製鋼所は、溶解から溶接管製造までの一貫生産を行っており、今回の増設により、溶接管製造能力は約25~30%向上する。また、今回のチタン溶接管ライン増強に先立って、母材の焼鈍能力を増強させる目的で、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)で薄板真空焼鈍設備の増強を実施し、 2010年12月より稼動を開始している。