新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、 http://www.nedo.go.jp )は、2011年度新規プロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」の助成先、委託先として8法人(6件)を採択した。
今回の採択は、再生可能エネルギーの大量導入時に電力系統に生ずる影響を対策するための徹底した低コスト化、長寿命化、安全性を追求した蓄電システムの開発と、大規模な定置用蓄電池に必要な劣化診断システムの研究開発について公募を実施、審査の上決定したもの。
助成・委託先は以下のとおり。
- 系統安定化用蓄電システムの開発テーマ(助成先)
・短周期周波数変動補償のためのネットワーク型フライホイール蓄電システムの開発
(サンケン電気株式会社) 今年度助成額99百万円
【内容】 量産可能な多数の小規模フライホイールを使用し、それらを高速ネットワーク技術で結んで大規模蓄電システム構築する。
・大規模蓄電システムを想定したMn系リチウムイオン電池の安全・長寿命化基盤技術開発(日本電気株式会社、NECエナジーデバイス株式会社)今年度助成額176百万円
【内容】 ポリマーゲル電解質を用いた長寿命で安全性の高いリチウムイオン電池の開発を実施する。
・安全・低コスト大規模ハイブリッド型蓄電システム技術開発
(株式会社日立製作所、新神戸電機株式会社)今年度助成額106百万円
【内容】 長寿命型鉛電池の開発と、キャパシタとを組み合わせたハイブリッド型蓄電システムを開発する。
・低コスト・高性能リチウム二次電池を用いた大規模蓄電システムの研究開発
(三菱重工業株式会社)今年度助成額234百万円
【内容】 低コスト高性能なリチウムイオン電池の開発と、それを用いたコンテナタイプのMW級蓄電システムの開発を実施する。
- 共通基盤研究(委託先)
・過渡現象を利用する大規模蓄電システムの非破壊劣化診断技術の開発
(学校法人 同志社) 今年度委託額32百万円(予定)
・系統安定化用蓄電システムの劣化診断基盤技術の開発
(学校法人 早稲田大学) 今年度委託額75百万円(予定)
太陽光発電、風力発電等再生可能エネルギーの大量導入によって生ずる影響を対策する有力な方法の一つに蓄電システムを用いた対策が考えられている。本プロジェクトでは、多用途展開や海外展開も見据えて徹底した低コスト化、長寿命化、安全性を追求した蓄電デバイス及び蓄電システムの開発によって国際競争力の向上を図ることを念頭に、系統安定化用蓄電システムの開発を実施して、我が国の再生可能エネルギーの利用拡大に貢献する。具体的には、「余剰電力貯蔵」と「短周期の周波数変動に対する調整」を対象に、送電系統に接続する効率80%以上、蓄電規模数十MWh~数GWhを想定した蓄電システムの開発を実施する。また、系統安定化用蓄電システムが将来円滑に普及するために必要な取り組みを、共通基盤研究として実施する。