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 本作はアントニオ・バンデラスとアンジェリーナ・ジョリーというセクシー二大スターを主演に迎え、ウィリアム・アイリッシュ作『暗闇へのワルツ』をピューリッツァー賞受賞の劇作家で脚本家であるマイケル・クリストファー監督が映画化した官能ミステリー。

 19世紀後半のキューバ。コーヒーの輸出で成功したルイス(アントニオ・バンデラス)は、新聞の交際欄で、仕事を円滑に進めるためだけにアメリカ人妻を募集、その要求に対し、ジュリアと名乗る人女性(アンジェリーナ・ジョリー)がアメリカからやってくる。事前に送られた写真とはまったく別人の美女だったが、外見で選ぶ男かどうか試したのだと告げるジュリアに、ルイスは一目ぼれ、すぐに結婚を決める。しかし彼女の目当てはルイスの財産で、ある日忽然とルイスのもとから姿を消してしまう。だまされてもなお彼女を忘れられないルイスは、彼女を探すうちに真相に迫っていく。

 さて、場面は牢獄での“ジュリア”の罪の告白から始まり、回想の途中で何度か、刑の執行を待つ彼女の告白シーンが入る。牢獄の外で刑の執行人が道具を試している。絞殺刑の道具で、「リッサの鉄柩」と呼ばれる類のものであろうか。テーブルに載った矩形の鉄フレームをイメージしてほしい。フレームの中心をボールねじのようなものが縦に貫いている。ボールねじの手前には執行人が操作するハンドルがついていて、ボールねじの先には首をはめ込むための二つ割りの鉄環がついている。罪人の首を鉄環の中に挟み込んだ後ハンドルを回すと、ねじ送りで鉄環が押し込まれていく。結果的に北京ダックのように首が絞められ折られるという、物騒な道具である。告白シーンのたびに、執行人がそれを操作するさまが、不気味に映し出される。

 本作では、『トゥームレイダー』で男勝りのアクションを見せたアンジェリーナ・ジョリーが妖艶な悪女ぶりを演じているほか、『デスペラード』で殺し屋だったアントニオ・バンデラスが恋におぼれた優男を演じている。どちらかといえばもちろん、アンジェリーナ・ジョリーのベッドでの熱演はみどころの一つであろう。