BMW JAPANでは3月2日をミニの日と名づけているらしい。先ごろ東京駅前にミニが集結、走行会が開かれた。1959年に英ブリティッシュ・モーター・カンパニーがミニを発売してから50年。BMW JAPANがミニのオーナーに呼び掛け、新旧ミニによるブランド誕生50周年記念パレードとなったらしい。
本作でも、ミニが連なってちょこまか走り回り、カーチェイスを繰り広げている。『ミニミニ?』はもちろん邦題であって、原題は”The Italian Job“。つまり「イタリアでのヤマ」から、物語は始まる。ヴェニス、難攻不落の金庫に眠る50億円の金塊。天才的な強盗チャーリー・クローカー(マーク・ウォールバーグ)は、潜水プロであるスティーヴ(エドワード・ノートン)、天才ハッカーのライル(セス・グリーン)、最速のチェイサーであるロブ(ジェイソン・ステイサム)、爆弾づくりが得意なレフト・イヤー(モス・デフ)、伝説の金庫破りジョン・ブリジャー(ドナルド・サザーランド)を集め、金塊を盗み出す。だがスティーヴが裏切ってジョンを殺害、金塊を独り占めした。1年後、チャーリーと仲間たちはジョンの娘で鍵師のステラ(シャーリーズ・セロン)を加え、スティーヴから金塊を取り戻すミニクーパーを使った計画を進める。
話は戻って、ヴェニスのヤマ。金塊を収めた金庫を奪う手口は、何と床をぶち抜くのである。つまり、金庫の置かれた2階の床をぶち抜き、さらにその直下の1階の床をぶち抜き、階下の川へと金庫を沈めて回収する手はずなのだ。金庫の置いてある2階の床つまり1階の天井と、直下の1階の床つまり川の上に、それぞれ80cm四方にペンキを塗り、それぞれに時限爆弾を仕掛ける。時限爆弾を作動させるや80cm四方の窓が二つぱっくり空き、金庫は高速エレベータの箱のように2階から川へと、まっさかさまに急降下する。仕掛けたのは、ペンキに反応して爆発するケミカル爆弾だったのである。物語で、この手口はほかの作戦にも使われる。ミニのカーチェイスとともに、見どころの一つである。
ところでミニは早くから日本の愛好者が多い。概して座高高めの種族がこじんまりした車を嗜好するのに不思議な感じがしたものだが、1994年にBMWがローバーを総括するようになってからも、日本のファンは変わらず多い。一括りにできないミニのバージョンの多様性も、魅力の一つかもしれない。本作で使われているミニは金塊を積む予定だけあって、直列4気筒1.6Lエンジンにスーパーチャージャーを装着して大出力163psを絞り出す「クーパーS」。前後とも径の太いスタビライザーを装備、ばね定数とダンパー減衰力を高めたスポーツサスペンションプラスを装備と、悪路も含め激しいチェイスを繰り広げられそうなマシンである。大味なストーリーながら、ケミカル爆弾やクーパーSなどミニミニな…いや細かなアイテムに凝った一作である。