富士スピードウェイで行われたF1日本グランプリでは、スタートから波乱含みでウィリアムズ・トヨタの中島 悟ジュニア、一貴は入賞ならず、ルノーのフェルナンド・アロンソ(スペイン)が優勝を果たした。マクラーレンやフェラーリというパワフルなマシンをベテランのテクニックと戦略がしのいだ。
さて今回の映画は、かたや収集したスーパーカーでサーキットを疾走し、かたやマイ・ヘリコプターを乗りこなす二人のゲキ悪オヤジが、「愛娘」のために奮戦するストーリーである。高級車の窃盗で生計を立てる20歳のアリス(ヴァネッサ・パラディ)は母の遺言に従い、表向きレストランのオーナーだがハイテクを駆使し大銀行を狙う強盗ジュリアン(アラン・ドロン)と、高級車専門の修理工場を営むが実は外人部隊の元軍人レオ(ジャン=ポール・ベルモンド)という父親候補二人を訪ねる。どちらが本物の父親か血液検査で決めようという矢先、南仏を拠点に暗躍するロシア・マフィアの大金を乗せた車を失敬したことから、アリス+オヤジ二人組と、マフィアとの戦いが始まる。『仕立て屋の恋』や『髪結いの亭主』などで知られるパトリス・ルコント監督がフランスの往年(老年?)の二大スターを起用したアクション映画である。
この映画では巨大なパワーショベルのバケットを楯にマフィアの攻撃を防ぎつつ、目標の壁にぶつかるや油圧シリンダー仕掛けの爆弾が起動するなど、車好きのレオが車の機能をフルに使い武装しているほか、ジュリアンのヘリコプターのアクロバティックな飛行も見逃せない。ヘリコプターでは地上と水平方向に回転翼があり翼に当たった空気は翼の上で圧力が下がり翼の下で圧力が下がることから、その圧力差が揚力となって垂直離陸する。操縦桿を前に倒すと回転翼が前方に傾くことから、上に向かっていた力が前方に向けられ、前進する。ジュリアンはこの操縦桿を巧みに操って、ヘリは地上すれすれを飛行したり急浮上したりするのである。
映画のタイトルが、「オヤジが誰かは1/2の確立」を示しているのは言わずもがなだが、レオに似て車好きでサーキットを爆走するアリス、一方でジュリアンに似て美形で爆弾作りのスジもいいアリス。父親探しの推理をしてみるのも、この映画の一興だろうか。