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高機能トライボ表面プロセス部会、第16回例会を開催

4年 5ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第16回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)は7月16日、「高機能トライボ表面プロセス部会 第16回例会」をオンライン開催した。

 冒頭、挨拶に立った上坂代表幹事は、「本部会は設立以来、対面でのディスカッションと懇親に重きを置いてきたことからコロナ禍の2020年度は活動を休止していたが、オンライン開催のノウハウも蓄積してきており、また、その利点も分かってきている。以降は、オンサイトでできるときには対面開催を、それが難しい場合にはオンライン開催をと、両方式を有効に使って、これまでと同様の活発な活動を継続していく予定だ。本部会はトライボロジー、機械向けの表面を創製する技術を活用していくことと、トライボ表面を創るプロセスを理解していくことの二点を目的として活動しているが、今回はトライボ表面創製プロセスのための計測・評価技術や、プロセスのメカニズムを理解するためのシミュレーション技術を紹介する。ぜひとも活発な議論を行っていただきたい」と述べた。

挨拶する上坂氏

 

・「アモルファス状炭素膜のプラズマ気相化学堆積反応の赤外分光計測」篠原正典氏(福岡大学)…成膜における表面反応を制御する上で、表面反応計測・観測が必要であり、プラズマ中の基板表面の状態を計測する手法として、表面吸着物質や薄膜中の官能基、結合状態、赤外活性であるものなどをプラズマ中、実時間・その場で測定が可能な赤外分光法を紹介した。原料分子の結合状態が堆積した膜の化学結合状態に影響を及ぼすことから、エーテルを原料として用いたアモルファス状炭素膜のプラズマ気相化学堆積反応(PECVD)の赤外分光計測結果として、成膜時間10分、膜厚5 nm程度で成膜モード(基板上のダングリングボンド密度など)が変化したことや、エーテルで成膜した膜がメタンで成膜した膜よりも純水に対する接触角が低いこと、特にイソプロピルエーテルを使った成膜でのモード変化(他のエーテルと比べての接触角の低さなど)について報告した。

・「数値シミュレーションで見る微細加工(成膜)技術」李 虎氏(東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ)…解析ツールを活用し、個々の活性種の役割を明らかにすることで、成膜プロセスの最適化を図ることを企図した。マクロスケール解析によるプラズマ強化化学蒸着(PECVD)での解析結果としては、O2+イオンが膜の均一性への影響が、また酸素原子が特に高周波にするほど成膜レートへの影響が高いとした。ナノスケール解析によるプラズマ強化原子層堆積(PEALD)での解析結果としては、酸素イオンのエネルギーが低くなると基板へのダメージは少なく化学反応がメインで起こるものの、不純物が完全に取り除かれないためエネルギーの高いイオンが必要であることなどが分かった。マクロスケールおよびナノスケールの解析を総合的に考えることで、主にイオンとラジカルの基板への影響が把握できてきており、メカニズムの解明が進んできていると総括した。

・「半導体デバイス製造におけるプラズマを用いたTi薄膜の成膜機構」伝宝 一樹氏(東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ)…アルゴンベースの新しいPECVDプロセスおよび装置技術について紹介した。プラズマ密度とシース厚を制御できるインピーダンス制御によって高いステップカバレッジのTi薄膜の成膜を実現できるほか、膜の低抵抗化を図れるなどのメリットを発現できると説明した。また、双方向マルチスケールシミュレーションを用いてTi薄膜のPECVDでのプラズマ反応モデルを構築し、そのプラズマ反応モデルをPEALDに適用したところ、成膜装置、プロセス条件、サンプル形状は違うものの、同じ結果をよく再現できており、構築した反応モデルが妥当であると述べた。同モデルを用いて行ったPEALDによるTiCl4の吸着機構としては、誘電体表面にダングリングボンドが形成されて吸着が促進されることが推定された。

kat 2021年7月19日 (月曜日)
kat

THK、中国2工場で新棟を増築、グローバル生産能力増強で需要地での供給を強化

4年 5ヶ月 ago
THK、中国2工場で新棟を増築、グローバル生産能力増強で需要地での供給を強化kat 2021年07日19日(月) in

 THKは、中国国内における旺盛な需要を受け、主力製品の増産を推し進めるべく、中国の連結子会社であるTHK(常州)精工、THK(遼寧)精密工業の2工場の敷地内に新棟を増築し、生産能力を増強する。

 同社では、2018年に増築したTHK MANUFACTURING OF VIETNAM(ベトナム)での直動案内「LMガイド」の本格的な生産開始を皮切りに、本年秋にはTHK India(インド)の新工場の稼働を予定しているほか、各生産拠点における自動化・ロボット化の推進によって一層の生産性向上を図るなど、着実に生産能力の増強に取り組んできた。

 一方で、2020年後半から中国におけるTHK製品の需要が顕著に拡大しており、中長期的な視点でも今後旺盛な需要が見込まれることから、生産能力をより一層強化すべく、THK(常州)精工とTHK(遼寧)精密工業の中国2工場の敷地内に新棟を増築するもの。

 江蘇省常州市に拠点を置くTHK(常州)精工では、アクチュエータ、ユニット製品の製造や、中国域内工場への生産設備の製造・提供による生産性向上の最大化を図る。一方、遼寧省大連市に拠点を置くTHK(遼寧)精密工業では、LMガイドをはじめとする直動製品の製造を増強し、主力製品の生産能力を拡大することで長期的な安定供給体制を整える。

 中国では、新型コロナウイルス感染症の影響からいち早く回復し、生産活動が正常化したことに加え、中国国内向け製品の受注が好調を迎えている。その中でも工作機械、一般機械、エレクトロニクス関連をはじめ、ここ最近ではEV向けリチウムイオン二次電池に関連する設備投資の意欲が高まっていることから、THKでは中国国内の需要地における製販一体体制の構築を積極的に進めていく考えだ。

 引き続きグローバルでの生産拠点の拡大を機動的に実施するとともに、工場の自動化・ロボット化を強化する中で生産能力を増強し、中期経営目標に掲げる連結売上収益5000億円の達成を目指す。


 

THK(常州)精工 第二期工事(正面右の全域)完成予想図

 

THK(遼寧)精密工業 第三期工事(正面右奥から真ん中)完成予想図

 

kat