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THK、ISO規格準拠の世界標準寸法に対応する超低ウェービング ボールリテーナ入り直動案内の受注を開始
THKは、ISO規格準拠寸法の超低ウェービング ボールリテーナ入り直動案内(LMガイド)「SPH形」の受注を開始する。8条列構造と小径ボールを採用することで直動案内トップクラスの超低ウェービングを実現。これにより、測定精度の向上や位置決め精度の向上、加工面品位の向上に寄与し、ナノメートルオーダーの運動精度が求められる分野にも対応が可能となる。
超低ウェービング ボールリテーナ入りLM ガイド「SPH形」
ウェービングとは、LMブロックがLMレール上を移動する際に、内部のボール(転動体)が転がることでブロックとボールの相対位置が変化し、真直度に影響を及ぼす現象。特に高精度の加工装置では、ウェービングを極力小さくすることが求められている。
従来の超低ウェービングLM ガイド「SPR/SPS形」は、同社独自寸法を採用したことにより、適用範囲が一部の装置の案内部など限定的だったが、SPH形はISO 規格に準拠した寸法(世界標準寸法)のため、既存製品からの置き換えが可能。
また、4方向等荷重であらゆる姿勢での使用が可能なため、半導体・液晶装置関連のほか、工作機械などでも、これまで以上に高精度市場の用途で活用できる。
SPH形の特長は、以下のとおり。
・超低ウェービング:8条列の転動溝と小径ボールの採用により、LMブロック内の有効ボール数を増やしたことで、直動案内の中でもトップレベルのナノメートル単位の超低ウェービングを実現
8条列の転動溝と小径ボールの採用
・ISO規格準拠寸法:8条列構造を採用しながらも、世界標準であるISO規格に準じた寸法を実現。サイズは♯25、♯30、♯35、♯45の4サイズ、ブロックタイプは全6類をラインナップ
・ボールリテーナ効果:THKが長年培ってきたコア技術であるボールリテーナを採用。ボールがボールリテーナにより保持され循環することでボール同士の相互摩擦がなく、グリースの保持力も向上するため、滑らかな動作、そして長寿命・長期メンテナンスフリーを実現
トライボコーティング技術研究会、令和6年度第2回研究会を開催
トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は10月3日、東京都板橋区の板橋区立文化会館で「令和6年度 第2回研究会(第153回研究会)」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。今回は、「第52回:マイクロファブリケーション研究の最新動向」、「第12回インテリジェント/AIものづくりシンポジウム」との同時開催で、また、「第11回板橋オプトフォーラム(IOF)」との同時開催となる。
開催のようす
当日は、大森氏による趣旨説明の後、以下のタイトルで講演がなされた。
第一部:特別セッション
「微細加工関連の最新研究動向―MIRAI会議にみるマイクロ・トライボファブリケーション事例」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏
「液中超短パルスレーザ照射によるナノ周期構造創製と化学的機能の同時付与」三条市立大学/理化学研究所大森素形材工学研究室 江面篤志氏
【基調講演】
「人間拡張技術とインターバース・サービス―仮想空間で価値を拡張し、実空間に還流する―」産業技術総合研究所 持丸正明氏
【トライボセッション】では以下のような内容で講演がなされた。
「ガラスの機能性テクスチャリング加工のための延性モード微粒子ピーニング」 東京都市大学/理化学研究所大森素形材工学研究室 亀山雄高氏…斜投射微粒子ピーニングによる延性モード加工によってガラスを割らずに微小変形させて微細な凹凸を形成する技術を紹介。テクスチャリングによる粉体付着防止効果によって、太陽光パネルカバーガラスに処理することで、パネル表面への汚れ付着による発電効率低下を防止できる可能性を示唆した。加工条件を工夫することで、太陽光パネルの透過率90%(無加工面と同等)を維持しつつテクスチャリングが可能とした。
講演する亀山氏
また、【マイクロセッション】では以下のような内容で講演がなされた。
「ELID 研削によるチタンの周期構造の創成と表面機能について」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏…インプラントの確実な固定には、その表面形状が重要となるが、ケージについてはその外形には楔型の形状を付与することでずれ防止を狙う一方、その微視的な表面に梨地状の凹凸を残すことで、骨芽細胞誘導による骨癒合に伴うアンカリング効果を狙っており、マクロな形状とミクロな形状の組み合わせがポイントとなる。そこでELID研削法において、比較的粗い粒度の砥石を用いることで、インプラントに適したマクロな形状による骨との物理的固定と、ミクロな形状による細胞レベルでの親和性の両立という新しいアプローチに取り組んだ研究事例を紹介した。
講演する大森氏
当日はまた、光学・精密機器関連の企業展示と大学研究室によるポスター発表が行われ、講演終了後の「第6回IOF Award企業展示・大学研究室ポスター発表奨励賞表彰式」では企業展示3件とポスター発表2件が表彰され、トライボコーティング関連では、三条市立大学 アドバンスド加工研究室(主宰:江面篤志氏)が選ばれた。超短パルスレーザを用いて形成されるLIPSS(Laser Induced Periodic Surface Structure)と呼ばれるナノ周期構造の産業利用に向けた研究として、金属箔や超硬、チタン合金の高付加価値化を目指した研究などが評価された。
第6回IOF Award 大学研究室ポスター発表奨励賞表彰式のようす一番右が江面氏
kat 2024年10月16日 (水曜日)
川邑研究所、プラスチック向けPFASフリー潤滑塗料を開発
川邑研究所(https://www.defric.com/)はこのほど、独自の研究開発により、プラスチック基材への優れた密着性を実現する有機フッ素化合物(PFAS)およびシリコン不使用の新世代固体潤滑塗料を開発した。この塗料は、独自の組成と分散技術により、従来のPTFEベース塗料を超える耐久性と低摩擦特性を有する。
開発品の特長は、①低摩擦性、②耐摩耗性、③薄白色透明な被膜を形成、④常温乾燥可能、⑤さまざまな基材への優れた密着性、⑥同社従来品より高硬度、⑦PTFEを使用した従来品と同等の撥水撥油性、など。
ABS基材に対して、同社既存品塗料と開発したPFASフリー(PTFEフリー)潤滑塗料をスプレー塗装し、70℃で強制乾燥させ、各種評価を実施した結果、プラスチック基材への密着性向上と摩擦係数の低減効果により、従来よりも硬度の高い被膜を形成することができることが確認されている。
PFASフリー潤滑塗料とPTFE塗料の特性比較
また、ボールオンプレート摺動試験による、PFASフリー潤滑塗料とPTFE塗料の性能比較では、0.5kgの荷重をかけたPVCボールを用いた往復摺動試験を実施した結果、PFASフリー潤滑塗料がPTFE系塗料と比較しても、優れた摺動寿命を有することが確認されている。
PFASフリー潤滑塗料とPTFE塗料の摺動性比較
新開発のPFASフリー潤滑塗料はまた、さまざまなプラスチック部材に対する優れた密着性を実現する。この密着性の最適化により、使用する基材の種類を選ばず、幅広いアプリケーションでの利用が可能となっている。
新開発PFASフリー潤滑塗料ではさらに、従来のPTFE塗料の使用時に見られた外観が白く変化する問題を解決し、外観の透明性を保持することが可能となった。