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自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019を開催
自動車技術会は5月22日から24日、横浜市のパシフィコ横浜で自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」を開催した。エンジンの燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。表面改質関連では以下の展示があった。
人とくるまのテクノロジー展2019横浜のもよう
HEF DURFERRIT JAPAN、ナノコート・ティーエス、TS群馬、TS TUFFTRIDEの4社はHEFグループとして出展。主にDLCコーティングの受託加工を手掛けるナノコート・ティーエスは、新設した第3工場で2019年3月より風力発電機用軸受向けのDLCコーティングの量産を行っていることをアナウンスした。同工場では、フランスHEFグループが開発・製造した最新鋭の大型DLC成膜装置を導入しているため、最長1200mmまでの長尺製品に高品質なコーティングが可能。併せて検査設備も増強したため膜の品質保証体制を徹底している。また、TS TUFFTRIDEはグローバルで普及している窒化処理「タフトライド処理」を提案。液体イオンを制御することで環境にやさしい窒化処理を行うCLIN(Controlled Liquid Ionic Nitiriding)技術を適用しており欧州REACH規制に適合、今後日本国内でも環境規制が強化すると見て、硬質クロムめっきの代替技術として拡販を図っていくという。
大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」、さらに最近開発された耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」を紹介した。開発品は、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐ。
大同メタル工業のブース
日本アイ・ティ・エフは新開発のDLC膜として、PVD法とCVD法を組み合わせ、耐焼付き性を従来のCVD法によるDLC膜に対して1.6倍、耐摩耗性を2.4倍以上に向上した「HC-DLC」を紹介。この被膜を成膜したピストンピンは大型ディーゼルエンジンに採用され、今夏から量産予定だという。今後はエンジン部品だけでなく、焼付きや摩耗がより厳しくなるギヤや駆動系部品、燃料系部品にも適用、自動車以外の機械部品や金型などに対しても広く展開を図る。
日本アイ・ティ・エフのブース
日本エリコンバルザースは、自動車産業向けの被膜として「BALINIT DLC」を紹介。部品の摩耗や摩擦酸化から部品を保護し、スカッフィングや冷間圧接を引き起こすような高い表面圧力にも耐えることができる被膜として提案を行った。また、a-C:H膜では対応が難しかった、圧力による高温環境や長時間の低潤滑、MoDTC対策などの過酷な環境に適した被膜として同社のta-C膜「BALIFOR T」を併せて提案した。
日本エリコンバルザースのブース
日本ピストンリングは、平滑表面でフリクションが低減でき、a-C/ta-C比率の最適化で自己潤滑性と高い耐摩耗性を両立、さらに耐久信頼性を向上させる厚膜タイプの「DLCコーティングリング」を紹介した。また、シリンダライナ内周面に微細なディンプルを形成することでピストンリングとの間の流体潤滑による摩擦力を低減しエンジンの燃費向上を実現する世界初の「ディンプルライナ」を披露した。さらに、「3D形状圧粉コアを採用したアキシャルギャップ型高トルクモータ」を紹介、高トルク化によってインホイールモータとして使用することでダイレクト駆動を可能にすることや、ギヤレス化による機械損失の低減とギヤ音の削減を実現できること、さらにはAir Gap可変によるモータ特性のチューニングが可能なことをアピールした。
日本ピストンリングのブース
パルメソは、粒子投射法を採用し遊離砥粒研磨をナノメートル精度で行う分析前処理用研磨装置「PERET(ピーレット)」の実機を展示。同装置は、研磨痕2mmの端から中央部に向かって0~1°の角度で加工を行う「斜め研磨」が特徴。真横から切断する方法に比べ、斜め研磨は断面積が広く、観察しやすくなるという。1回の研磨面から広い範囲を対象にSEMやXPSでの深さ方向の観察・分析が可能になる。これまで、こうした高精度加工は優れた技能を持った技術者が必要だったが、同装置は加工対象物を装置に設置し、微粒子の投射時間などを設定するだけで自動研磨するため誰でも簡単に加工が行える。超薄膜や多層フィルム、微小部品などの観察・分析の前処理装置として販売を行っていくという。
パルメソのブース
NTN、自然エネルギーで発電・蓄電できるコンテナ収納移動型独立電源を開発
NTNは、貨物輸送用コンテナに風力・水力・太陽光の3種類の自然エネルギーによる発電装置と蓄電池を格納し、短時間で発電・電力供給が行える次世代のコンテナ収納移動型の独立電源「N3 エヌキューブ」を開発した。災害時に、電力供給が困難となった被災地等に複数の手段(トラック・貨物船・ヘリコプターなど)で移動し、迅速に少人数で設置できる。
3 」" align="center" width="640" height="373" /> コンテナ収納移動型の独立電源「N3 」
近年、大規模災害が頻発し、非常時における電力確保の体制構築が社会課題の一つとなっている。また、防災や減災に対する意識が高まるなか、各都道府県においては防災備蓄倉庫の整備が進められているものの、人口1万人あたりでわずか3台の水準に留まっている。
今回開発された「N3 エヌキューブ」は、同社がこれまで開発してきた自然エネルギー商品を組み合わせただけでなく、新たに「機動性」を加え、停電した被災地等に容易に移動・設置、電力供給を行うことを可能にした商品。
日常から各地域に設置しておくことで、被災時にいち早く発電し、USBポートを利用したスマートフォン等の充電や小型家電製品(AC100V対応)の利用が可能。また、非常用の発電機の多くは、カセットボンベやガソリンなどを用いるため、長時間使用するためには燃料補給が必要となるが、「N3 エヌキューブ」は自然エネルギーを活用する独立電源のため、燃料補給が不要。
さらに、コンテナ内は備蓄資材を収納する棚を設けるだけでなく、休憩用のベンチや机を設置し、更衣室や授乳室、休憩スペースなどさまざまな用途で活用できる。
N3エヌキューブの特長は以下のとおり。
(1)自然エネルギー(風力、水力、太陽光)による発電・蓄電装置を完備した移動型独立電源
(2)貨物輸送用コンテナに装置一式をコンパクトに収納
(3)コンテナ利用で、さまざまな輸送形態や悪路輸送に対応
(4)現地到着後、短時間で設置し速やかに発電・給電を開始
(5)コンテナ空間は、防災備蓄倉庫や個室スペース等に活用可能
「N3 エヌキューブ」の仕様は以下のとおり。
・商品タイプ:12フィートコンテナ
・輸送手段:トラック、貨物船、ヘリコプターなど
・発電装置:風車0.5kW、水車1.0kW、太陽光0.9kW、蓄電池8.6kWh
・施工工数:2名×1時間
・耐久性 風車・太陽光:30m/s、水車:2m/s
活用例としては、調理機器、保管機器への電源供給から、備蓄食の供給(例:100人×3食×3日分=900食)、飲料水の供給(例:プールの水などのろ過に使用)、医療用機器への電源供給、AEDの利用、空間の提供(断熱塗装、断熱材で構成)、情報機器への電源提供(Wi-Fi)、スマートフォンの充電(2000台/日)、トイレ・冷暖房機器への電源供給など、広範な用途が見込まれている。
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