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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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ジェイテクト、電動ブレーキ用の非循環ボールねじを開発

5年 3ヶ月 ago
ジェイテクト、電動ブレーキ用の非循環ボールねじを開発kat 2019年10日08日(火) in in

 ジェイテクトは、電動キャリパブレーキ(EMB:Electro Mechanical Brake)への適用を想定した「非循環ボールねじ」を開発した。EMBは、ディスクブレーキのピストンを押す駆動源を油圧から電動モータに変更したブレーキ方式。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)等の電動車に適しており、車両の軽量化やCO2排出削減、快適性の向上に貢献する。

開発品イメージ

 

 近年の環境規制に対応するため自動車業界においても電動化や自動運転化が急がれる中、搭載する部品も、油圧から電子制御への置き換えが進んでいる。

 EVやHEVのブレーキには、回生ブレーキと摩擦ブレーキが併用されている。回生ブレーキは、モータの回転する力を電力エネルギーに変換することで減速する仕組みで、この「エネルギー回生」を最大に生かす摩擦ブレーキの制御によって自動車の燃費向上につながるが、摩擦ブレーキにボールねじを用いることで、エネルギー回生の効率向上ならびに制動性の向上に貢献できる。

 ボールねじは、電動モータの回転運動をブレーキピストンの直線運動に効率よく変換する。一般的に、ボールねじは直線運動する際にボールが軌道から脱落しないよう循環させる機構が主流。循環させる機構には様々なタイプがあるが、いずれの機構も、循環部を作ることによって本体が大きくなるというデメリットがあった。

 これに対しジェイテクトでは、EMBがブレーキ制動時に必要とする直線運動距離が短いことに着目、ボールとボールの間にばねを介在させることで循環機構を廃止しても回転を続けられる小型化したボールねじを開発した。

 また、グリースの改良により油膜切れによる効率の低下を防ぐことで、充分な耐久性を確保し、メンテナンスフリーを実現している。

一般的なボールねじと開発品の機構の違い

 

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ジェイテクト、クリープ摩耗抑制玉軸受を開発

5年 3ヶ月 ago
ジェイテクト、クリープ摩耗抑制玉軸受を開発kat 2019年10日08日(火) in in

 ジェイテクトは、ハイブリッド車(HV・PHV)や電動車(EV・FCV)の変速機や、エンジン車の無段変速機(CVT)などで主に使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を開発した。開発品は、変速機のハウジング内で起こる軸受の「クリープ」によるハウジングの摩耗を抑制、次世代自動車の信頼性と快適性の向上に貢献する。国内外の完成車・変速機メーカーなどに販売を展開していく。

開発したクリープ摩耗抑制軸受

 

 軸受のクリープとは、内輪もしくは外輪が運転中に軸またはハウジングに対して回転する現象をいう。この現象は、摩耗、変色、かじりなど様々な軸受損傷が起きる原因となる。

クリープの種類と発生原因

 

 クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗して軸の芯ずれや傾きを引き起こす。その結果、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する恐れがある。

 従来は、クリープによる不具合を避けるため、軸受の外輪を厚くしたり、固体潤滑皮膜を使用するといった策も取られてきたが、どちらもサイズ・重量やコスト面での課題があり、最適な製品の開発が必要だった。

 こうした背景のもと、ジェイテクトでは、2016年に「新構造のアンチクリープ玉軸受」を開発した。これは、外輪の外径中央部に円周方向の溝を作ることで、「ひずみクリープ」によるハウジング摩耗の抑制に貢献する技術。今回は、この円周溝に加えて、外輪全体に特殊皮膜を施すことで、「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功したもの。

従来品と開発品の構造の比較従来品と開発品の外観の比較

 

 開発品は、従来の外輪厚肉品や固体潤滑皮膜などのクリープ対策品と同等のハウジング摩耗抑制効果を実現しつつ,軽量で低価格であることから、自動車用だけでなく、クリープによる摩耗が問題となる様々な産業機械への応用が可能となっている。

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