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THK、ドコモ、シスコ、CTCの4社、直動案内に関するIoTサービスの正式受注を開始
THKとNTTドコモ(ドコモ)、シスコシステムズ(シスコ)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の4社は、昨年10月に発表した製造業向けIoTサービス「OMNIedge」(オムニエッジ)の正式受注を本年12月18日から、出荷を来年1月末から開始する。
第一弾としては直動案内機器(THK製品名「LMガイド」)の予兆検知から対応を開始。機器の稼働状態をモニタリングできるため、エンドユーザーの使用するLMガイドなど直動案内機器(他社製品を含む)搭載の工作機械や食品加工機械、半導体製造装置などの突発停止を防ぐとともに、直動案内機器の在庫適正化に貢献していく。
写真左から、シスコシステムズ・濱田義之 執行役員、THK・寺町崇史 取締役専務執行役員、NTTドコモ・谷 直樹 執行役員、伊藤忠テクノソリューションズ・寺田育彦常務執行役員
OMNIedge第二弾としては、ボールねじの予兆検知への対応を予定。来年夏の受注開始に向けて、本年12月18日から、試験導入を希望する50社を対象とした無償トライアルの募集を開始する。募集期間は来年1月31日までで、同社ホームページOMNIedgeコーナー(https://www.thk.com/omniedge/jp/)から応募できる。
THKではすでに、LMガイドやボールねじなどの機械要素部品にセンサを装着し、収集したデータを数値化、状態を可視化でき、LMガイドの破損や潤滑状態、ボールねじの予圧やガタの状態を検知できる「THK SENSING SYSTEM(TSS)」を開発。専用開発したセンサとアンプ、直動案内のトップシェアメーカーとして蓄積してきた膨大なデータベースを活用した、アルゴリズムを確立している。
従来、現場の作業員の感覚で確認判断していたものを数値化することで、計画的なメンテナンスを可能とし、担当者の経験やスキルを問わず保全の効率化を実現するとともに、予備在庫の管理コストを削減できる。
また、これまでの時間管理から状態管理に移行することで、交換時期を適正化して設備稼働率を高め、全体の生産効率を向上できる。
さらに、すでに製造現場で稼働している設備にも装着できるよう、後付けが簡単にできる設計とした。
部品(LMガイド)にセンサをつけて現在の潤滑状態や摩耗状態を数値で見える化し、予兆検知を実施
OMNIedgeは、このTHK SENSING SYSTEMに加えて、シスコのエッジコンピューティングルータ、ドコモのLTE通信、CTCのIoTシステムの構築・運用ノウハウを掛け合わせて構成。大事なデータを安心運用できるシステムに加えて、クラウドを使用することで、インフラ構築のコストおよび保守維持費用の低減が可能で、月額8000円/装置から導入が可能(スタンダードプラン)。
数値化したデータをウェブ上でモニタできるほか、ユーザーで設定したしきい値を超えた場合は、アラートメールを発報し、設備の突発停止を防止するとともに、コミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」とも連動させて、部品調達を遅滞なく行えるようにする。
OMNIedgeの仕組みプランと料金
昨年10月からのLMガイドを対象に無償トライアルを募集し100社を超える企業から申し込みがあった。そのうち、輸送部品や電子部品、半導体、オプトエレクトロニクス、食品、医療、材料系(ガラス、プラスチック、ゴム)、鉄道、工作機械など、様々な業界の企業51社の協力のもと、実際の製造装置環境下でデータを収集し解析を実施した。
トライアルした企業51社のうち、すでに37社と有償化・本格運用について打ち合わせが進んでいるなど、トライアルを通じ多くの企業から、LMガイドの破損状態や潤滑状態が見える化できるなど好評価があったことから、今回OMNIedgeの商用化を決めたもの。
今後は、ボールねじやクロスローラーベアリングなどTHKの扱う他の機械要素部品へも展開し、装置から取得できるデータとの連携なども視野に入れていく。
THKの寺町崇史 取締役専務執行役員は、OMNIedgeの現行のStandardプランではユーザーに正常/異常のしきい値を設定してもらうが、発展形のProfessionalプランでは、T当社がエンドユーザーと一緒になってデータを含めた解析を実施、目安閾値や目安寿命を提供できるようにしたい。さらに他要素部品との連携や設備内メカ要素の総合的解析を手掛けていきたい。OMNIedgeは、我々コンポーネントメーカーからエンドユーザーへの情報発信を可能にしたツール。4社協力のもと、エンドユーザーが最大のメリットを享受でき、製造現場の持続的な生産性向上に貢献できるようにOMNIedgeを発展させていきたい」と語った。
寺町崇史 取締役専務執行役員
パーカー熱処理工業、振動摩擦摩耗試験機「SRV」のアプリケーションセミナーを開催
パーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)は11月27日、川崎市川崎区の同社川崎事業所で「SRV®5」の新しい試験コンセプトのデモンストレーションを目的としたアプリケーションセミナーを開催、ユーザー企業約20社が参加した。SRV®5は同社が取り扱うOptimol Instruments Prüftechnik社製振動摩擦摩耗試験機「SRV®」の最新機種。
当日はまず、Optimol Instruments Prüftechnik社CEOのGregor Patzer社長が、揺動試験、回転試験、さらには実部品を試験片に各種運動を組み合わせての「Combi-Drive」試験のそれぞれの自由度の高い試験セットアップによるギヤ油やグリース、加工油、MTF、添加剤、エンジン部品、高温用すべり軸受など様々なアプリケーションについて、実使用に近い環境での試験が可能なことを紹介。
続いて、転動試験片を使用したグリース評価用試験セットアップを組み込んだSRV®5による、グリース向け回転摩擦評価法のデモンストレーションが実施された。
また、Optimol Instruments Prüftechnik社のChristoph Baumann氏より、SRV®5のオプションであるアコースティックエミッション(AE)測定を利用して、潤滑下および無潤滑下での硬質薄膜DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の品質評価やスクリーニング試験が可能なことが紹介。続いて、SRV®5によるAEを利用した硬質薄膜評価法のデモンストレーションが実施された。
Christoph Baumann氏
さらに今回は、よりインタラクティブなセミナーを提供する観点から、SRV®ユーザーである二人の講師から以下のとおり講演がなされた。
・「SRV®を用いたエンジンピストン摩擦における潤滑油添加剤性能の評価」山本賢二氏(ADEKA)…SRV®による摩擦試験結果は実車燃費試験や浮動ライナーによるピストン摩擦評価結果とよく一致しており、潤滑油の燃費性能評価の一次試験として有効と考えられる、とした。
・「SRV®を用いたDLC膜のはく離特性評価」間野大樹氏(産業技術総合研究所)…DLC膜の耐はく離性評価にSRV®を適用した結果、ワイブル分布に基づく統計処理により、はく離荷重の代表値を推定し膜のはく離特性を評価する手法を開発。開発した手法により、他の硬質薄膜のはく離特性についても評価できたほか、AE法の適用により、はく離の進行過程の違いによって生起している微細な損耗減少が異なることを明らかにできた。
今回はいずれもSRV®ユーザーによる講演だったことから、両講師の講演後のQ&Aセッションにおいて、参加したSRV®ユーザーや同試験機の導入を検討している参加者を含めた活発な議論が行われた。
kat 2019年12月11日 (水曜日)