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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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高機能トライボ表面プロセス部会、第15回例会を開催

5年 1ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第15回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は12月16日、名古屋大学で、「高機能トライボ表面プロセス部会 第15回例会」を開催した。

第15回例会のもよう

 

 高機能トライボ部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 当日は上坂 代表幹事が「本部会は、高機能トライボ表面やそれを創成するためのプロセス革新に向けた議論の場として例会を開催しているが、今回は、日本トライボロジー学会や日本機械学会などのトライボロジー研究者に限定せず、応用物理学会などで活躍している第一線の講師の方々に、炭素材料の新しい構造制御法や活用法、分析法などを紹介していただく。いずれもトライボロジー応用に向けた共通の議論ができるものと考えている」と挨拶し、以下のとおり講演がなされた。

上坂 氏

 

「粒子制御型プラズマCVDによるカーボンナノ構造体の合成と構造・物性制御」近藤博基氏(名古屋大学)…H2/CH4プラズマ中の内部パラメータ計測により、PECVD法におけるアモルファスカーボン膜の成膜メカニズムを明らかにした。粒子計測に基づいた成膜機構および物性発現機構の理解と、それに基づく制御が可能とした。また、ラジカル・イオンの定量計測に基づくカーボンナノウォール(CNWs)の成長機構の解明と、Ptナノ微粒子担持CNWsの燃料電池応用やCNWs足場上での細胞培養における電界刺激重畳の効果など、新しいナノバイオ応用の開拓について紹介。活性種(ラジカル・イオン)の定量制御によるCNWsの精密制御合成と、ユニークなCNWs応用の実現が可能とした。

近藤 氏

 

「プラズマCVDで作製したナノ粒子によるa-C:H薄膜の物性制御」古閑一憲 氏(九州大学)…マルチホロー放電プラズマCVD法を用いて、a-C:H薄膜の中間層として連続的にカーボンナノ粒子の層を生成することに成功。ナノ粒子のサイズはホロー放電において飛行時間によって制御されること、カーボンナノ粒子の積層を制御するキーはガスフローtp基板のバイアス電圧であることを報告。a-C:H薄膜にナノ粒子の層を加えることで応力が緩和されるなど構造を制御できると結言した。ナノ粒子の複合膜の特性を制御するメカニズムを議論する上で、ナノ粒子の積層を制御することは有望とした。

古閑 氏

 

「炭素材料の更なる展開を目指して~機能性炭素材料コンポジット厚膜の合成とDLC膜への面分析の導入~」赤坂大樹 氏(東京工業大学)…金属等の塑性性粒子と機能性粒子の混合粉体から、コールドスプレー(CS)法で機能性粒子を含む複合材料膜を形成するという研究目的のもと、Cu-DLC複合材料膜の摺動試験を行い、その際に生じる炭素の結合状態の変化を、NEXAFS/X-PEEMにより評価した。その結果、SUJ2ボールとの摺動により、Cu-DLC複合材料膜中の炭素の均一な結合状態は、局所的に変化していることが分かった。また、各摺動回数の増加に伴い、分布も変化し、特に摺動痕の中央部ではsp2がやや少ない傾向が示された。

赤坂 氏

 

 講演終了後は、同部会会員企業のテクノポート 吉田秀樹 氏より、同社の取り扱う超高真空摩擦試験装置やHiPIMS電源の紹介がなされた。

吉田 氏

 

kat 2019年12月19日 (木曜日)
kat

DLCの医療応用を目指し「日本医用DLC研究会」設立

5年 1ヶ月 ago
DLCの医療応用を目指し「日本医用DLC研究会」設立

 DLC(Diamond-like-carbon)コーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場として「日本医用DLC研究会」(Japanese Association for DLC Medical Application:JADM、 https://www.dlc-med.org/ )が8月に設立、初代理事長に岡山理科大学 フロンティア理工学研究所の中谷達行教授が就任した。

 同研究会は、DLCコーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目的とした研究を行っている研究者間の情報交換の機会を提供し、DLCの医療応用研究の発展に寄与することを目的としている。DLCの医療応用はこれまで工学領域の研究者が主体で研究してきたが、医学との連携が充分であったとは言えない状況だった。また、医療応用を目的とした医師主導の研究はまだ黎明期の段階であり、医療応用についての知見を交換する場なども少ない。新たに設立された同研究会は医用DLCに関連する諸問題を研究するとともに、基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場を作ることで、DLCの医療応用に関する理解を深め、研究の発展に寄与していくことを目指す。

 中谷理事長は「DLCの医療イノベーションへの貢献は学際領域から生まれる。今回設立された日本医用DLC研究会がDLC研究の先生と若手医師・研究者との情報交換の場となり、DLCの医療応用が加速することを願っている」と述べている。


 現在、DLCの医療機器への応用については、DLC 膜の生体親和性、化学的安定性、金属イオンバリア性などの特徴が活用されている。成膜には、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、陰極真空アーク法などが用いられ、冠動脈ステント、カテーテル、人工歯根、人工股関節、人工血管などへの応用が進められている。そのうち、冠動脈DLCステントは、純国産の医療用DLCとして商品化もされている。

日本医用DLC研究会 発起世話人会の有志会合のもよう(下段中央が中谷理事長)

 

admin 2019年12月19日 (木曜日)
admin