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トライボコーティング技術研究会、令和4年度第1回研究会・総会を開催

2年 5ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和4年度第1回研究会・総会を開催

 トライボコーティング技術研究会は6月3日、埼玉県和光市の理化学研究所で「令和4年度第1回研究会・総会」を開催した。今回は、リアルおよびオンラインによるハイブリッド開催となった。

開催のようす

 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

・「コーティング前後におけるエアロラップ®の活用」飛田幸宏氏(日本スピードショア)…鏡面加工装置「エアロラップ」が、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材(ワーク)表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えることなく、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にしていることを説明。また、①異形状のワークを短時間に寸法変化少なくラッピングできること、②特殊研磨剤マルチコーンはリフレッシュ(再生)が可能で産廃処理が不要、といった特徴について述べた。さらに、コーティング前のエアロラップの効果として、磨きの時間短縮や品質安定化、面粗さ改善とともに酸化被膜や微細残留物を除去することによるコーティング密着性の向上などについて、また、コーティング後のエアロラップの効果として、コーティングの膜厚を大きく変化させずに面粗さ改善、ドロップレットの除去が可能で、コーティング寿命の向上・安定に寄与できることなどについて紹介した。

講演する飛田氏

・「微粒子投射処理の食品業界への展開:付着抑制・滑り性向上と抗菌特性」熊谷正夫氏(サーフテクノロジー)…微粒子投射技術「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」による食品粉体の付着抑制のメカニズムとして、平坦部がなく塑性加工による凸部が存在、接触形態が面接触から点接触に変わることで実効的な接触面積が減少するという解釈が加えられたほか、MD処理により接触角(見かけの親水性、撥水性)が制御可能で、食品においては水素結合成分を小さくすることで付着が少なくなると述べた。MD処理をはじめとする表面形状の形成によって接触面積や液(水)の接触角、表面自由エネルギーなどを制御することで、食品分野における食品粉体や食品固形物の付着抑制、滑り性向上、時間短縮、洗浄性向上などのニーズに応えられると強調した。また、MD処理による抗菌・抗カビ効果やウイルス低減効果の付与について実験結果をまじえて紹介。大腸菌および黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果の時間変化を提示し、菌のサイズとディンプルサイズが同じオーダーで抗菌効果が発現すること、形状効果が抗菌に効いているであろうこと、耐性菌を生成しないといった効果について述べた。

講演する熊谷氏

 研究会に続いて総会が開催され、令和3年度活動報告・会計報告がなされた後、令和4年度活動計画が報告され可決・承認された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)がそれぞれ再任された。

総会のようす:再任された大森会長(左)と議事進行を務める熊谷副会長(右)

 総会終了後は、大森素形材工学研究室の見学会が行われ、専任研究員の細川和生氏の研究テーマであるマイクロ流体チップの技術について紹介がなされた。

見学会のようす

 

kat 2022年6月6日 (月曜日)
kat