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NTN、AI活用した転がり軸受の高精度な余寿命予測技術を開発

2年 ago
NTN、AI活用した転がり軸受の高精度な余寿命予測技術を開発kat 2023年09日11日(月) in

 NTNは、複数の人工知能(AI)手法を組み合わせ、軸受の余寿命を高精度に予測する技術を開発した。軸受の故障の原因となるはく離が発生してから使用限界までの余寿命を高精度に予測することで、機械設備の効率的なメンテナンス計画の立案を可能とし、生産性の向上やコストの削減に貢献する。

 機械設備に組み込まれた軸受は、使用を続けていくと条件によっては軽微なはく離が発生し、進行すると最悪の場合破損につながることがある。しかし、はく離が発生した後も、機器の構造や設置場所などによりメンテナンスが容易ではない場合は、運転に支障がない範囲において軸受が使用され続けるケースがある。

 軸受の状態は、振動データによる異常検知などにより把握することが可能だが、はく離などの異常が発生した後、どのぐらいの期間、軸受を使用できるのか(余寿命)を精度良く把握する方法はなく、軸受がまだ使用可能な状態でも早めに交換したり、軸受が破損してから交換するケースが一般的となっている。また、現場作業者が長年の経験などに基づいて交換時期などを判断する事例も多く、省人化や自動化が進む中で、機械や設備などのダウンタイムの短縮やメンテナンスコストの低減に向けて、より正確な軸受の交換時期が分かる高精度な余寿命予測技術へのニーズが高まっている。

 これに対し同社が今回開発した余寿命予測技術は、ディープラーニング(深層学習)とベイズ学習を組み合わせることで、軸受のはく離が発生してから破損するまでの余寿命の推定精度を向上させたもの。複数のAI手法の中から、畳み込みニューラルネットワークと呼ばれる画像処理に特化したディープラーニングを選択し、軸受の振動データを画像データに変換して利用することで、軸受の損傷状態や余寿命の予測を可能にしている。

 さらに、軸受の損傷の進行度合いにおける個体差や測定データのばらつき(誤差)を考慮して予測値の信頼性を評価する階層ベイズ回帰を組み合わせることで、信頼性の高い予測モデルを確立した。損傷状態も考慮することで、従来の技術と比較して余寿命の予測精度を約30%向上させている。

 本技術は、2017年に大阪大学大学院工学研究科(本部:大阪府吹田市)に設立した「NTN次世代協働研究所」における共同研究によるもので、同社がこれまで100年以上にわたり培ってきた軸受に関する技術やノウハウと、同大学の福井健一准教授(産業科学研究所)をはじめとする最先端のAI研究に関する知見を融合することにより実現したもの。

 同社は今後、本技術の実用化に向けた検証を進めるとともに、メンテナンスに関連したサービスへの活用を図ることで、機械設備の適切なメンテナンスの実施や、軸受の最適な状態での使用を通じて、生産性の向上や環境負荷の低減に貢献していく。

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ジェイテクト、ロードバイク用高性能軸受のラインアップを拡充

2年 ago
ジェイテクト、ロードバイク用高性能軸受のラインアップを拡充kat 2023年09日11日(月) in

 ジェイテクトは、昨年8月に発売したロードバイク用高性能セラミックボール軸受「ONI BEARING®」のラインアップを拡充する。ONI BEARINGは発売以来、圧倒的な低トルク性能が評価され、全国のロードバイクユーザーに愛用されているが、今回発売1周年を機に、より多くのロードバイクユーザーに「より速く・より快適な走り」を体感してもらうよう型式を増やし、適合ホイールを拡大するもの。

ONI BEARINGとそのロゴ

 

 同社では、1984年に世界で初めて実用化したセラミック軸受の技術と自動車・産業機械向けに培った知見を生かして、ONI BEARINGを開発。本軸受は既存のロードバイク用軸受と比べ圧倒的な低トルクを誇り、漕ぎ出しの軽さとホイール速度維持を実現する。市販ビジネス商品としてサイクルショップなどで販売され、ホイールへの取り付けも行われているす。また、ロードレースの国内トップリーグであるJプロツアー(JPT)で2022シーズンのチーム総合優勝を果たしたMATRIX POWERTAG(マトリックスパワータグ)のレース車両にも採用されている。

 ONI BEARINGの名前の由来は、「ジェイテクトの基本理念」に掲げる「No.1&Only One」から「ONI」を取り、セラミックボール軸受として低トルクを筆頭に圧倒的な高性能、さらには自転車競技の本場欧州への日本ブランドアピールも込めて、ONI(鬼)を商品名に採用している。

 ONI BEARINGは、これまでは主にMavic(マヴィック)ブランドのディスクホイールに適合する型式を製造していたが、その他のホイールを使用するロードバイクユーザーの要望に応える形で、ラインアップを拡充することを決めたもの。ジェイテクトでは、Mavicのディスクホイールだけでなく、リムホイールへの適合をはじめ、DT-swiss、Roval、Bontrager、Vision、ZIPP、ENVE各ブランドのホイールにも適合する型式を提供していくほか、フリーボディにも適合するONI BEARINGも用意していく。詳細は、ONI BEARINGサイト「製品適合表」(https://koyo.jtekt.co.jp/products/onibearing/compatibility_table.pdf)に記載されている。

 ジェイテクトでは、今回のラインアップ拡充による適合ホイールの拡大に続き、今後はボトムブラケットへの展開を予定している。また、自転車競技の本場欧州をはじめ台湾や韓国などアジア圏にも参入し、世界中のロードバイクユーザーにONI BEARINGのメリットを提供していく。同社では引き続き、「ONI BEARINGを皮切りに、アフターマーケット領域でも「地球のため、世の中のため、顧客のため」となる製品開発を進めていく考えだ。

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イグス、サイズ・コストダウン可能な、工具不要のケーブル保護管を開発

2年 ago
イグス、サイズ・コストダウン可能な、工具不要のケーブル保護管を開発kat 2023年09日11日(月) in in

 イグスは、工具不要で組立時間を短縮できるケーブル保護管「エナジーチェーンE4Qシリーズ」として、E4Qではサイズが大きすぎる場合にサイズダウンが可能となり、コストが最大20%削減できる「E4Q.64L」を開発した。

 

 長いフリースパン走行仕様や、高い収納重量を求める用途でも使用可能なケーブル保護管への需要の高まりに対応して、工具不要で開閉可能なロック機能付きのクロスバーにより組立時間を短縮できる「E4Q シリーズ」が開発され、7軸ロボットの走行軸用や工作機械などで採用されている。

 しかし、低・中程度の荷重(工作機械、木工機械、洗車機等で)がかかるような場面では、E4Qはオーバーサイズになることがある。イグスではこれに対し、頑丈で取り付けが簡単なE4Qの特長を残しながら、軽量化し、より安価に提供できるE4Q.64Lシリーズを開発した。横幅のサイズによって、E4Q.64LはE4Qよりも15%~20%のコストが抑えられる。

 E4Qの利点である、ロックフックを2本の指で開閉でき、両サイドのカギを開ければクロスバーを簡単に取り出すことができる構造や、耐荷重機能を持たない材質を排除したバイオニック・デザインはそのままに、E4Q.64LではサイドパーツをE4Qよりも狭くすることで重量を軽くした。また、内寸と外寸の比率を最適化したため、パワーケーブルとデータケーブルを収納するスペースは広くなっている(内高さ:64mm)。

 より軽量で頑丈にして製品寿命を延ばすために、各チェーンリンクに付いているストップドッグをE4Q比で一つ増やし、三つ設けている。外面パーツを特殊なRBPリンクに取り換えると、チェーンは、二つの曲げ方向で動作できるようになる(逆曲げ半径[RBR]と呼ばれる状態。例えばロボットの1軸目などで、軸周回転運動を実現することを意味する)。

 イグスの研究機関で実施したテストにおいてE4Q.64Lは、フリースパン走行仕様にも使われている14240シリーズよりも30%強度が増していることが確認されている。これは、同収納重量で、最大20%製品寿命が伸びることを示す。例えば、4kg/mの場合、現行モデル(E4/lightおよびE4.1)では、フリースパン走行仕様が最大2.7mのところ、E4Q.64Lでは最大3.2m可能となる。E4Q.64Lは、優れた強度により、以前よりも低いコストで多様な場面での使用が可能になっている。

 E4Q.64Lでは、さまざまな横幅サイズがある既設E4Q型のクロスバーを利用できるため、100~500mmまで29種類の幅のクロスバーから選定できる。

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THK、SMCとハーモニック・ドライブ・システムズ、第2回 3社合同メカトロニクスショーを開催

2年 ago
THK、SMCとハーモニック・ドライブ・システムズ、第2回 3社合同メカトロニクスショーを開催kat 2023年09日11日(月) in in

 THKとSMC、ハーモニック・ドライブ・システムズの3社は「直動転がり案内」「自動制御機器」「精密制御用減速機」における業界のリーディングカンパニーとして、8月31日と9月1日の両日、東京都港区の東京ポートシティ竹柴 東京都立産業貿易センター浜松町館で、「第2回 3社合同メカトロニクスショー」を開催した。

会場の様子

 

 初日の8月31日には、オープニングセレモニー後に3社社長による座談会が開催された。ロボットを導入して自動化を推進する中での、人材に求められる要件などについて意見が交わされた。

 寺町彰博THK社長は、究極の自動化である無人化の段階においては、コストダウンを度外視しても将来につながる技術を職人的に開発していく人材や、出来上がった技術を自動化に組み込んでいく人材など、より知能ベースの人材へと変わっていく必要があり、人が活躍する労働環境を日本が先陣を切って作っていくべき、と語った。

 髙田芳樹SMC社長は、究極の自動化の段階でも、完全に機械任せにするのではなく、ここから先は人間の脳を使うといった線引きが必要、と述べた。

 長井 啓ハーモニック・ドライブ・システムズ社長は、人手不足問題を解決するために人の作業を完全に肩代わりできるロボットを導入し無人化できたとしても、人が担う必要のある作業は必ずあり、その段階で人がどのような思想を持って臨むかが重要、と言った。

3社社長座談会の様子

 

 当日はまた、各社によるセミナーが以下のとおり行われた。

・「「掴む」の最新動向」…SMC

・「「省エネ化」「省人化」「自働化」を実現するTHK直動システム技術紹介」…THK 

・「ハーモニックドライブの挑戦 ~産業そして宇宙開発~」…ハーモニック・ドライブ・システムズ

 二日目の9月1日には、ジェイ・ウィル・コーポレーション 佐藤雅典社長による基調講演「日本の中堅・中小製造業の可能性」がなされたほか、3社連携デモ機 技術者座談会、会社説明会(就活生向け)、先輩社員座談会・質問コーナー(就活生向け)などが行われた。

 両日にまたがって開催された展示会では、THKがさまざまなワークの凹凸に合せて12本のシャフトをならわせてロックする“ならい機構”を採用したロボットハンド「ならいハンドシリーズ(TNH)」や、自由度の高い多指ハンドにカメラを搭載し多種アイテムをピッキングできる「見る・取る・移す」をオールインワンにしたピッキングロボットハンドシステム(PRS)などを紹介した。

THK「ならいハンドシリーズ(TNH)」

 

 SMCブースでは、省エネ、協働ロボット、トピックスなどのゾーンを設けて展示。省エネ製品としては、空圧駆動の自動制御機器に使用される増圧ポンプで、増圧時に消費するエアを従来品比40%低減することに成功した「省エア増圧弁 VBA」を、協働ロボット関連では、エアグリッパ、真空グリッパ、マグネットグリッパなどの「協働ロボット用グリッパ」を紹介した。

SMC「省エア増圧弁 VBA」

 

 ハーモニック・ドライブ・システムズのブースでは、ドライバ内蔵によってコンパクト化や省配線化が図れる上、CANopen、Ethernet、EtherCAT対応の高速通信・制御が可能な中空シャフトアクチュエータ「ドライバ内蔵アクチュエータ(IHD)」や、高精度な指先位置制御と操り制御を実現するためサーボモータとハーモニックドライブ®減速機を組み込み、低バックラッシュ駆動を実現する「ヒューマノイド指モジュール」などを参考出品した。

ハーモニック・ドライブ・システムズ「ドライバ内蔵アクチュエータ(IHD)」

 

 両日ともまた、「コストパフォーマンス、親和性の高いデザイン、コンパクトサイズ+実用性」をコンセプトに掲げた、3社連携による協働ロボットのデモンストレーションが実施された。

 このコンセプトを実現するため、THKインテックスの移動型 人協働双腕ロボット「Fillie(フィリー)」をベースに、SMCはエア供給チューブ1本、電気配線1本を接続するだけで動作可能な協働ロボット用エアグリッパ「RMHシリーズ」と、1台で正圧または真空圧(真空ポンプ)として使用可能なコンパクトコンプレッサ「CRPシリーズ」を提供。

 ハーモニック・ドライブ・システムズはまた、小型・高トルク・高位置決め精度の減速機「ハーモニックドライブ® CSFシリーズ」を提供した。関節部の張り出しを抑え駆動用モータの小型化に貢献するほか、中空構造が可能なためモータやセンサのケーブルなどを通せて設計の簡素化につながり、さらにゼロバックラッシが生み出す高い位置決め精度により、人に代わってロボットが行う細かい作業を可能にする。

3社連携デモンストレーションの様子

 

kat