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イグス、ハノーバーメッセ2024でPTFEフリー軸受材質など247点を新提案

1年 4ヶ月 ago
イグス、ハノーバーメッセ2024でPTFEフリー軸受材質など247点を新提案kat 2024年05日17日(金) in

 イグスは、4月22日~26日にドイツ・ハノーバーで開催された「ハノーバーメッセ2024」に出展、“Go Zero Lubrication”(GO!潤滑剤ゼロ)をメインテーマに経済合理性や環境負荷の軽減効果を示しながら、247点に及ぶ新製品・新提案を含む潤滑剤不要のモーションプラスチック製品(可動部向け樹脂部品)を紹介した。

展示ブースのようす

 

 60年にわたるモーションプラスチックの専門知識と、数十万件の製品テストデータを活用し、世界中で費やされている潤滑油コスト(年間約2400億ドル)とそのメンテナンスコスト(少なくとも年間約2000億ドル)、さらに潤滑不足による機械のダウンタイムで発生するロス(年間約7500億ドル)の削減に寄与できることをアピールした。

 ハノーバーメッセ2024で初披露した247点のうち、主なベアリング関連の新製品・新提案は以下のとおり。


土壌を汚染しない高荷重用ベアリング

 従来製品からさらに費用対効果が高い「イグリデュールQ2LW」や、均質な層構造で内径・外径ともに加工が容易な「イグテックスTXH」などの高荷重用途向けベアリング製品を展示。野外で使われる建設機械、クレーン、農業機械向けで、無潤滑のため土壌を汚染しない高負荷ベアリングの製品ラインアップを拡充している。

土壌を汚染しない高荷重用の無潤滑ベアリング

 

PTFEフリーのすべり軸受材質

 PFAS(有機フッ素化合物)対策から使用規制が進むPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いない、無潤滑すべり軸受材質「イグリデュール」製品を数多く展示。「イグリデュールJPF」は、PTFEを使用せずに実績のあるイグリデュールJと同等のスペックを実現。また、静電気対策が必要な用途に適した「イグリデュールFPF」、FDA(アメリカ食品医薬品局)の基準に準拠し優れた摺動性と耐摩耗性を持つパウダー状のコーティング素材「イグリデュール IC-05PF」などを発表し、実製品を展示した。

PTFEフリーのイグリデュール材質

 

WPC製旋回リングベアリング

 木材と高性能プラスチックを50%ずつ含んだ複合材料「WPC」を使用した無潤滑の旋回リングベアリング「イグリデュールPRT」を展示した。強度と耐久性を実現しつつ費用対効果が高く、CO2排出量を抑制できる。

WPC製旋回リングベアリング「イグリデュールPRT」

 

効率的な無潤滑化を支えるAIソリューション

 「igusGO」は、既存の機械やアプリケーションの画像を撮影するだけで、AIが無潤滑化のためのイグス製品を提案し、コスト削減の可能性を示す画像認識アプリ。アプリからそのままショップにアクセスして、詳細情報の確認や注文、問い合わせが行える。
2023年秋のリリース以来、世界中のユーザーに活用されているが、今回、igusGOに新たにAIチャット機能と、節約可能な潤滑剤の計算機能を追加した。画像認識でアプリケーションが見つけられない場合もAIに質問することで回答を得ることができるほか、計算機能では削減できる潤滑剤とメンテナンスコストを参照できる。
本アプリの日本語対応版は本年5月末にリリース予定で、6月19日~21日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「第29回 機械要素技術展 [東京]」ではブースでigusGO体験コーナーを設ける。

効率的な無潤滑化を支える画像認識アプリ「igusGO」

 

状態監視データをオールインワンで管理可能な通信モジュール

 予知保全を目的としたイグスの状態監視システムi.Senseが検知したデータを、データ管理システムsuperwiseにシームレスに伝送する通信モジュール「superwise iComm box」を発表した。iComm boxが、superwiseへの高速で信頼性の高いデータ伝送を可能にする。superwiseは、ユーザーフレンドリーなダッシュボードでリアルタイムのデータを監視・制御できるだけでなく、シャットダウンが発生した場合にイグスに通知が行き部品を迅速に案内できる、すべての測定値レポートを後々の診断時の評価に利用できる、などの利点を持つ。ユーザーの装置の運転プロセス最適化と不測のダウンタイムの最小化を実現する。

状態監視データをオールインワンで管理可能な通信モジュール「superwise iComm box」

 

すべり軸受製品の最長4年保証をドイツ本国で適用開始

 イグスはこれまで、膨大な件数のテストにより可能になった製品寿命計算をベースに可動ケーブル「チェーンフレックス」に関し製品保証期間を最長3年から4年に延長するなどのサービス拡充を進めてきたが、今回の展示会では、ベアリングやリニアガイド、3Dプリント部品を含む「ドライテック」製品に関しても、最長4年の保証期間を提供することを発表した。オンラインツールで用途や素材を選択して算出される耐用年数(最長4年)の保証を受けることができる。

 イグスは、4年保証製品の幅を広げることにより、ユーザーに安心と安全を提供すると同時に、長寿命な製品を供給することによってサステナビリティに貢献していく。

最長4年保証をドイツ本国で適用開始したドライテック製品

 

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NTN、EV向け耐電食軸受のラインアップを拡充

1年 4ヶ月 ago
NTN、EV向け耐電食軸受のラインアップを拡充kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、電気自動車(EV)の駆動源であるe-Axle向け軸受として、導電性に優れたゴムシールの採用によりEDM電流(放電電流)による電食への対策を施した導電軸受を開発した。

EDM電流による電食への対策を施した導電軸受

 

 同社では、モータ内の循環電流による電食対策のための既存の絶縁アイテムと合わせて、e-Axle用軸受特有の課題となる電食対策品のラインアップ拡充により、e-Axleのさらなる高性能化と普及に貢献する。

 軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織の溶融が進行すると縞状の凹凸などの損傷(電食)につながることから、モータ支持用軸受には電食対策が求められている。

 モータ支持用軸受で対策すべき電流には、モータ軸を通過するEDM電流とモータ内を循環する循環電流の2種類がある。EDM電流はモータ運転時にモータ軸に電圧変動が生じることにより発生する電流で、循環電流はインバータ制御のために電源のオン・オフが繰り返された際にモータ内に電流が漏れ出すことで発生する。これらの電流が軸受の軌道面に通電すると電食の発生につながる。

 循環電流の対策には、軌道面への通電そのものを抑制する絶縁アイテムが有効である一方、モータ支持用軸受を絶縁しても、EDM電流は減速機側に流れて減速機の軸受を損傷させる可能性がある。そこで、EDM電流をモータのハウジング側に流すために、導電アイテムを併用することが有効となる。

モータ内を通過する循環電流とEDM 電流

 

 同社は今回、EDM電流への対策として、導電軸受を新たに開発した。本開発品は導電性に優れたゴムシールを適用し、電流がゴムシールを介して通ることにより、軸受軌道面への通電による電食の発生を低減させる。軸受に導電ブラシなどの別の導電部品を取り付ける対策方法に比べて、軸受の構成部品そのものに導電性を持たせることで、省スペース性に優れる。

導電軸受の構造

 

 同社はこれまで、循環電流対策としては、絶縁体であるセラミック製の転動体を使用した軸受や、軸受の外輪外径や幅面に絶縁被膜加工を施した「絶縁被膜付き軸受」、軸受の外輪外径面と幅面に樹脂絶縁層を射出成形した「樹脂モールド絶縁軸受」などの絶縁アイテムを開発してきた。今回、EDM電流を対策する導電アイテムを開発したことで、e-Axle用軸受として対策が求められるすべての電流への対応が可能となる。

耐電食軸受のラインアップ

 

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NTN、e-Axle向け樹脂モールド絶縁軸受を開発

1年 4ヶ月 ago
NTN、e-Axle向け樹脂モールド絶縁軸受を開発kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、EV(電気自動車)の駆動源であるe-Axle向けの耐電食軸受「樹脂モールド絶縁軸受」を開発した。軸受の外輪外径面と幅面に樹脂絶縁層を射出成形することで、耐電圧1000V以上の絶縁性により電食の発生を抑制し、EVバッテリーの高電圧化に対応する。温度変化に対して十分な強度を持つ樹脂材料の選定や成形方法の最適化により、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性も実現した。

 同社ではEV・HEV(ハイブリッド車)用e-Axle(モータ、減速機)向けに提案を進め、2025 年度に10億円/年の販売を目指す。

樹脂モールド絶縁軸受

 

 近年、自動車市場では環境負荷の低減を目的に、EVの開発・普及が加速している。EVの駆動源であるe-Axleに使用される軸受には、モータからの漏洩電流による電食への対策が求められている。

 同社はこれまで、絶縁体であるセラミック製の転動体を使用した軸受や、軸受の外輪外径面や幅面に絶縁被膜をコーティング加工した「絶縁被膜付き軸受」を耐電食軸受として開発・提供してきた。耐電食軸受には、耐電食性、低トルク、放熱性など複数の機能が求められるが、車両設計に基づく軸受の使用環境の違いなどから、各機能に対する要求値は多様化している。同社はこうしたユーザーの多様なニーズに対応するため、今回、樹脂モールド絶縁軸受を開発したもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

・耐電食性:軸受内部への電流通過を低減する絶縁性に優れた樹脂を軸受の外輪外径面と幅面に射出成形することで、耐電圧1000V以上の絶縁性を実現。今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vにも対応する(e-Axle用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定される)

電食試験後の外輪軌道面(左:開発品、右:標準品)
標準品では電食特有の波板状の損傷が発生

 

・耐久性:樹脂と金属では温度による膨張・収縮量に差があり、温度変化によって樹脂に亀裂が生じる可能性がある。そのため、広範囲な温度変化においても必要な強度を維持する樹脂材料を使用するとともに、樹脂絶縁層全体に十分な強度を持たせる成形方法を採用することで、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性を実現した

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NTN、低フリクションハブベアリングのシリーズを拡充

1年 4ヶ月 ago
NTN、低フリクションハブベアリングのシリーズを拡充kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、「低フリクションハブベアリング」シリーズとして、低トルクシール塗布グリースを適用した「低フリクションハブベアリングⅣ」と、さらに低トルク軸受内部グリースを適用した「低フリクションハブベアリングⅤ」を開発した。低フリクションハブベアリングⅤ単体で、2030年度に45億円/年の販売を目指す。

低フリクションハブベアリング

 

 同社では、従来品比で回転フリクションを最大で約64%低減し、約0.75%の電費改善を実現するこれら商品をグローバルでユーザーに提案し、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)をはじめとする各種車両の省燃費・電費化に貢献していく。

 同社はタイヤの回転を支えるハブベアリングとして、寿命や強度などの基本性能を満たした上で回転フリクション(摩擦)を低減する「低フリクションハブベアリング」を2009年に開発した。以来、インナーシールへのラビリンス構造(すきま)の設置によるシールリップ部の削減や、各種グリースの低粘度化などの改良により低フリクション化を追求し、低フリクションハブベアリングシリーズとしてグローバルに提供してきた。本シリーズはその低フリクション性能が高く評価され、数多くの車種に採用され、自動車の省燃費・電費化に貢献している。

 一方、脱炭素化社会の実現に向けて、EVの開発・普及が加速する中で、航続距離の延長を目的にあらゆる面で省電費化が進められており、ハブベアリングにもさらなる低フリクション化が求められている。こうしたニーズに対応するため、同社は2023 年に従来のシリーズ商品にさらなる改良を加えた「低フリクションハブベアリングⅣ」を、そして今回新商品として「低フリクションハブベアリングⅤ」を開発した。

 低フリクションハブベアリングⅣは、アウターシールおよびインナーシールに新開発の低トルクシール塗布グリースを適用。グリースの基油を低粘度化したほか、基油を半固体状に保持する増ちょう剤を微細化することで、基油の保持力を下げずに増ちょう剤量を削減することに成功し、グリースのさらなる低粘度化を実現した。これらの改良により、シール回転時のグリースによる抵抗を抑え、走行時における回転フリクションを低減している。

 低フリクションハブベアリングⅤは、低フリクションハブベアリングⅣの軸受内部に、新開発の低トルクグリースを適用。本グリースは、基油の低粘度化と増ちょう剤の微細化によるグリースの低粘度化を図る一方で、軸受回転時にボールによって掻き取られたグリースが軌道面に再流入しないようグリース硬さ(ちょう度)を最適化することで、低フリクションハブベアリングシリーズの仕様を適用していない従来品に比べ、最大約64%の低フリクション化を実現している。これらにより、従来品比で電費を約0.75%改善(同社計算に基づいて算出。ミディアムセグメントEV 車のカタログ値をベースに算出した場合)し、一回の給電により航続距離を3km延長(一充電走行距離400kmのEV車で算出した場合)することが可能となる。

新開発技術

 

kat