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第11回固体潤滑シンポジウムが開催

3週 1日 ago
第11回固体潤滑シンポジウムが開催kat 2026年02日10日(火) in

 日本トライボロジー学会の産学協同研究会である固体潤滑研究会(主査:東京科学大学 平田 敦氏)は昨年11月27日と28日の両日、東京都江東区の産業技術総合研究所 臨海副都心センターで、「第11回固体潤滑シンポジウム」を開催した。11年ぶりの開催となる本シンポジウムでは、固体潤滑剤のメーカーや、自動車や宇宙機器といったユーザー、アカデミアなどから、各日とも約80名の参加があった。
 

開催のようす

 

 初日となる27日には、平田主査が開会挨拶に立ち、固体潤滑研究会が固体潤滑の応用を発展させるため、固体潤滑機構の解明、新しい固体潤滑剤の研究開発、新しい分野での固体潤滑の応用など幅広い視点で調査研究を進めている会であり、年数回の研究会の開催や『固体潤滑ハンドブック』の編集・発行といった活動内容を紹介した。
 

挨拶する平田氏

 

 続いて、基調講演をはじめ、以下のとおり講演がなされた。

基調講演

「固体潤滑入門」梅原徳次氏(名古屋大学)…『固体潤滑ハンドブック』を紹介・引用しつつ、硬質のCNX膜の上に軟質で低せん断のトライボフィルムが形成されるような理想的な固体潤滑システムについて、さらには軟質金属薄膜の潤滑機構について解説した後、CNX膜の構造変化層による超低摩擦、摩擦界面その場評価による固体潤滑機構の解明についての事例紹介を行った。
 

基調講演を行う梅原氏

 

セッション「平面層状物質」

1)「平面層状物質の潤滑作用発現機構と流体との複合効果」柏谷 智氏(住友金属鉱山)…固体潤滑粉末は従来、添加剤と見なされてきたが、平面層状物質と油分の複合によって相乗効果を見出したことから、平面層状物質の潤滑作用発現機構とともに、流体との複合効果について紹介した。

2)「インターカレーション法によって合成した有機変性マイカの潤滑メカニズムと冷間鍛造用固体潤滑剤への応用」大下賢一郎氏(日本パーカライジング)…長鎖アルキルアンモニウムイオンでへき開面を修飾した有機変性マイカのトライボロジー特性と、分光光度学的に解析した潤滑メカニズム、さらには冷間鍛造用固体潤滑剤として適用した場合の諸性能について解説した。

3)「ナノサイズ二硫化モリブデン「DIC-MoS2」を添加剤として用いた潤滑アプリケーション」小寺史晃氏・シティ マストゥラ氏(DIC)…独自手法により合成した数百nmサイズの高アスペクト形状の二硫化モリブデン(DIC-MoS2)をエンジンオイル、グリース、固体潤滑剤などに添加した際の効果について紹介。DIC-MoS2が潤滑添加剤として耐摩耗性向上や摩擦低減に寄与する可能性を示した。

 

セッション「カーボン」

1)「固体潤滑剤としてのナノカーボン」平田 敦氏(東京科学大学)…フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンというsp2混成軌道由来の代表的なナノカーボン材料について、それぞれのトライボロジー特性と潤滑のメカニズムについて概説したほか、ナノカーボンを潤滑剤として適用する際の付着性など、応用に向けての課題について示した。

2)「ta-C の摩擦により形成される固体潤滑性表面」加納 眞氏(Kano Consulting Office)…水素フリーDLC(ta-C)コーティングの歯車適用を目的とした基礎試験として、ta-Cと生分解性エステル油との組み合わせを用いて、三つの異なる条件で単体摩擦摩耗試験を実施した後のしゅう動面の状況や表面分析、トポグラフィーの変化を調べた結果として、ta-Cの機能性材料特性が超低摩擦および優れた耐摩耗性の主要因であることを示した。

3)「液相カーボンコート法の開発とトライボロジー分野における応用」郷田 隼氏(日本触媒)…微粒子に対しても極薄・均一なカーボンコートが可能な可溶性炭素材料と液相ナノカーボンコート技術を開発し、潤滑性や耐摩耗性、流動性の付与が可能となった。ここでは、シリカ球状粒子の転がり潤滑特性向上といったトライボロジー分野での応用例について紹介した。

セッション「高分子」

1)「高分子トライボマテリアルの研究動向と評価技術紹介」岩井善郎氏(福井大学)、神谷 周氏(大豊工業)…標記の研究動向を、トライボロジー会議予稿集を対象に調査し、ゴム、ポリマーブラシ、ハイドロゲルの研究が拡大し、樹脂材料はPTFEとPEEK、PA、UHMWPEとそれらの複合材料が多い結果を示した。また、固体潤滑剤とそれらを含有した樹脂材料の特性評価に関わる研究事例を樹脂材料の開発、固体潤滑の開発、新しい試験評価方法の観点から選択し紹介した。

2)「ポリイミド樹脂のトライボロジーとその応用」宮内卓也氏(デュポン・ジャパン)…スーパーエンプラの中でも最も優れた耐熱性、機械強度、電気的特性、耐環境特性、難燃性を有するポリイミド樹脂について、その歴史から始まり、その化学構造に起因する特徴とそれらを生かした、航空機部品や自動車部品、エレクトロニクス部品、一般産業部品などのトライボロジー応用事例について紹介した。

セッション「宇宙」

1)「高温・高真空下でのカーボン系硬質膜の低摩擦化」梅原徳次氏(名古屋大学)…耐熱性に優れるとされるa-C:B膜と耐真空性に優れるとされるa-C:H膜の摩擦特性の評価に加え、新たに提案したa-C:H:B膜の摩擦特性の評価、摩擦メカニズムの解明を行い、a-C:H:B膜が水素脱離を抑制し長寿命化することで宇宙環境におけるしゅう動面での使用に期待できると報告した。

2)「波動歯車装置における固体潤滑への取組みと粉体潤滑への挑戦」黒木潤一氏(ハーモニック・ドライブ・システムズ)…波動歯車装置の伝達効率を低下させる潤滑剤の撹拌抵抗という問題に対して、撹拌抵抗を抑制する固体潤滑としてMoS2粉体を用いて伝達効率を改善した事例を紹介。同粉体潤滑による宇宙用途(極低温環境)での可能性について示した。

3)「ロケットエンジンに欠かすことのできない固体潤滑剤」髙田仁志氏(宇宙航空研究開発機構)…極低温環境で高速回転が要求されるターボポンプ軸受などロケットエンジンにおける固体潤滑剤の役割や、宇宙開発で使用される固体潤滑剤の代表的な種類、シミュレーションによる性能予測が難しい固体潤滑剤を用いたトライボロジー要素に対する性能評価手法と運用などについて紹介した。

 2日目となる28日には、以下のとおり講演がなされた。

セッション「観察・分析技術」

1)「トライボ現象解明のための表面観察・分析技術」佐々木信也氏(東京理科大学)…トライボ表面は摩擦により機械的刺激を受けているため動的に変化していることから、本当の摩擦面の状態を知るにはIn-situあるいはオペランドと呼ばれるその場観察が必要とされる。ここでは、和周波発生分光分析(SFG)やラマン分光分析、周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を活用した、摩擦面のその場観察事例を示した。
 

講演する佐々木氏

 

2)「各種分析法を用いたトライボロジー解析の実例」沼田俊充氏(日産アーク)…NOxガス吹き込みにより市販エンジンオイルを劣化させLC-MSによるオイル中の添加剤分析と摩擦試験後のトライボフィルムについてAFM、ラマン分光を用いて複合的に解析した事例を紹介した。LC-MSでは、各種添加剤の定性や含有量の変化を、AFMとラマン分光の複合解析では摩擦面突起部でのMoS2の面積率の算出による摩擦係数との関連性の評価が可能となると総括した。

セッション「シミュレーション技術」

1)「トライボ分子シミュレーションの概要と固体潤滑分野における適用例」鷲津仁志氏(兵庫県立大学)…分子シミュレーションによって解明されたグラファイトの低摩擦発現機構について、真実接触点でのグラフェンの熱回避運動や、グラフェンが移着片として存在しうる条件など低摩擦機構に関する研究成果について紹介した。そのほか、酸化グラフェンや高分子がグラフェンとは全く異なる摩擦機構を有し、全原子分子動力学では材料の違いによる摩擦発現の詳細を調べることができることなどを解説した。

セッション「鉄道」

1)「鉄道における固体潤滑剤の適用事例」久保田喜雄氏(鉄道総合技術研究所)…鉄道における固体潤滑剤の適用事例として路面制輪子・ブレーキライニングやパンタグラフすり板、車輪/レール間の潤滑剤、橋梁の支承、分岐器の床板の事例を紹介するとともに、路面調整子の開発や新幹線のブレーキ摩擦材に含まれる黒鉛の耐久性と摩擦係数の関係の調査、二硫化モリブデングリースによるトロリ線の摩耗低減といった、近年の研究開発動向を紹介した。

2)「車輪/レール接触境界の潤滑と摩擦制御」深貝晋也氏(鉄道総合技術研究所)…曲線区間では車輪フランジとレールゲージコーナーの摩擦で急速に摩耗することが、メンテナンス上の主要な課題となっているほか、急曲線区間では振動や騒音が発生する場合もあり、こうした状況に対処するため、車輪/レール接触部に潤滑剤や摩擦調整剤などを供給して摩擦の状態を制御する技術がある。ここでは、曲線区間の車輪とレールが接触する境界への潤滑や摩擦を制御する対策技術や鉄道総研での開発事例を紹介した。

セッション「テクスチャリング」

1)「新規固体潤滑材(ZnO、セリサイト)とテクスチャの相乗効果」宇佐美初彦氏(名城大学)…下地へのテクスチャ付与で固体潤滑剤の流出を抑制し摩耗を抑制しつつ低摩擦を維持できる可能性がある。特に無機系固体潤滑剤を金属素地に複合する際には化学的な結合が期待できないので、アンカー効果等による密着性向上に期待がかかる。ここでは、近年適用が検討されつつある酸化亜鉛(ZnO)やセリサイトといった無機系材料を軟質金属と複合させ、予めテクスチャを付与した金属素地上に成膜した表面の摩擦特性を評価した結果を報告した。

2)「往復しゅう動における凸テクスチャ上に成膜された軟質金属膜の耐食耐摩耗性改善」関 秀明氏(大同工業)…自動車タイミングチェーンの張力を維持しつつ振動を抑制する密着巻きしたゼンマイばね間の摩擦を利用し減衰力を得る機械式テンショナには、ばね表面には高い耐摩耗性と安定した摩擦力の維持が求められる。ここでは、ゼンマイばねのしゅう動面に凸テクスチャを形成し、その上に軟質金属の亜鉛を成膜した複合処理により、機械式テンショナの耐食性・耐摩耗性を向上できる可能性を示した。

3)「ボーナイトとテクスチャの相乗効果」佐藤知広氏(関西大学)…ボーナイトは銅鉄系の硫化物であり二硫化モリブデンのような固体潤滑特性を有し、かつ銅系合金の溶解時やアトマイズ時に合金化できる特徴を有する。ここでは、硫化物分散青銅合金に表面テクスチャを加えた際の相乗効果について紹介した。網目状に亜鉛をショットピーニングした後に錫をショットピーニングした試験片のしゅう動特性が、錫をショットピーニングしただけの試験片に比べ良好であったと報告した。

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新東Vセラックス、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの非酸化物系セラミックによるものづくりを開始

3週 1日 ago
新東Vセラックス、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの非酸化物系セラミックによるものづくりを開始

 新東Vセラックス( https://vcerax.sinto.co.jp/ )は、従来のアルミナを中心とした酸化物系セラミックに加え、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの非酸化物系セラミックによるものづくりを開始した。

 セラミックは「素材づくり」における重要な材料であり、同社は、汎用性が高く、電気絶縁性、高硬度・耐摩耗性に優れるアルミナを主材種として、4mレベルの大型、長尺、1000分の1mmの公差に対応する高精度加工を特長として、超精密基準測定器やXYステージユニット、工作機械、産業機械の機械構造部品を製造してきた。一方、欧米の航空宇宙関連業界、医療関連分野、半導体製造関連で採用が進む非酸化物系セラミックに対しては、中空・複雑形状を特長としたものづくり、商品開発を進めている。

 取扱い材種の一つである窒化ケイ素は高強度・高硬度・高靭性・耐熱衝撃性に優れ、航空・宇宙分野部品で採用され、医療系への適応拡大も期待されている。窒化アルミは材料の持つ高熱伝導率と電気絶縁性を持ち、電子部品の放熱基板や半導体製造装置部品への拡大が期待される。

 

admin 2026年2月10日 (火曜日)
admin

日本粉末冶金工業会、2025年度(第47回)日本粉末冶金工業会賞の受賞者を発表

3週 1日 ago
日本粉末冶金工業会、2025年度(第47回)日本粉末冶金工業会賞の受賞者を発表kat 2026年02日10日(火) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)は、「2025年度(第47回)日本粉末冶金工業会賞」の受賞者を発表した。

 この賞は、粉末冶金工業の振興、発展に顕著な業績を挙げた製品などを表彰し、粉末冶金業界の底辺拡大と一層の技術水準向上に役立てようとするもので、1979年度から実施されている。表彰の種類は、業界功労賞、新製品賞(デザイン部門、材質部門、製法開発部門)、原料賞、設備開発賞に区分されており、2003年度からは、新製品賞、原料賞、設備開発賞の中から最も優れた案件に「工業会大賞」を授与している。また、上記賞以外に奨励賞が設定されている。

 今回、工業会賞大賞は該当なしで、その他受賞製品の概要は以下のとおり。 

新製品賞・デザイン部門

「高気密熱処理材を採用したEV向け冷却モジュール用焼結平歯車」ダイヤメット

 本製品は、BEV向け冷却モジュールの流路切替え用バルブに搭載される平歯車。
BEVにおいて冷却機構が複雑化している中で、このモジュールは冷却機能を一括で管理できるため、今後の需要増加が見込まれている。当初は樹脂製歯車の採用が検討されていたが、強度や耐摩耗性に課題があり、焼結歯車が採用されることとなった。
 焼結化にあたり、材質Fe-Cu-Ni-Mo-C系、密度7.0g/cm3以上とし、浸炭焼入れ処理を施すことで強度および耐摩耗性の要求仕様を満足させた。また、当該製品の一部がユニット外部に露出することから、焼結部材の気孔がユニットの気密性に影響を及ぼす可能性が懸念されたため、気密性、コスト、生産性からスチーム処理を採用した。
 浸炭焼入れとスチーム処理を組み合わせた熱処理工程は、類例のない設計のため、浸炭焼入れによる強度向上効果を損なうことなく、気密性や機械的特性を確保するためのスチーム処理条件を見出すことにより実現した。また、スチーム処理による外観不良(汚れ)の対策や相手部品の損傷防止策も講じることで性能、品質、コストの顧客要求レベルをクリアし、量産化に成功した。

新製品賞・製法開発部門

「モータの高性能化に貢献する薄肉・高絶縁耐圧塗装付き圧粉磁心の開発」住友電気工業

 本製法は、モータ用の薄肉・高絶縁耐圧を有し、かつ薄く均一な絶縁塗装による低コストの圧粉磁心を可能とした製法技術。
 モータは、電気エネルギーを動力に高効率に変換可能な機器で、需要増に伴いさまざまなアプリケーションへの搭載が進んでおり、モータの高効率化と小型/軽量化に向けた研究開発が多くなされている。本開発は、モータ用鉄心材料として、圧粉磁心の特長が生きるアキシャルギャップモータに適用することで現在主流の電磁鋼板を用いたラジアルギャップモータから置き換え、新たな販路拡大に実現した。
 本製品のコアの機能は、コイルで発生した磁界を増幅しモータに高い回転力を発生させるとともに、コイルの熱を効率的に放散する放熱経路の役割を果たす機能で、これらの要求事項を満たすために従来の絶縁部材(絶縁紙、樹脂ボビン等)の肉厚よりも圧倒的に薄い厚さと高い絶縁耐圧を有し、コイルの放熱性を高めるとともにコイルの占積率の確保、圧粉磁心をモータハウジングケースに機械的に固定しつつ安価な塗装方法を実現可能とする製法として、絶縁被覆された軟磁性粉末を加圧成形し、残留歪の除去を目的とした熱処理を施した上でねじ(M2)固定用の穴あけと従来の絶縁塗装厚200~300μmに対し、反応・析出型の絶縁塗料を用いることにより40~50μmと薄く均一な膜厚を可能とする絶縁塗装を行うプロセスの開発に成功した。

「焼結接合キャリア省人化ラインの開発」住友電気工業

 本製法は、焼結接合キャリアの成形~出荷までの省人化ライン。
 焼結接合キャリアは、複数の成形体(ブリッジとスプライン)を組み付けるため、広い成形体仕掛置き場の確保や、人の手による成形体組立・ろう材投入工程、接合保証、部品間をまたいだ寸法保証など、一般焼結部品より製造工程、検査工程が多く、出荷までのリードタイムが長くなり、製造コスト高となる課題があった。
 本生産ラインの開発のポイントは、省人化によるコスト競争力の向上だけではなく、仕掛量の低減、検査工程の連結化、さらにはCO2排出量低減の為生産エネルギーコストの低減にも取り組んだ。生産ラインは複数の製品を流動させるため、ライン構成として、成形~焼結までの「製造ライン」と熱処理と品質保証をする「保証ライン」の二つのライン構成に分け開発した。製造ラインは、仕掛量の低減を目的に成形~組立~ろう材投入~焼結まで連続で同期生産を可能とした。保障ラインは、寸法、焼結接合、高周波熱処理(インライン化)、磁気探傷、外観保証をベルトコンベアでつないだ1個流しライン構成とし品質を確保した。この二つのラインを連結化することにより、成形~出荷までのリードタイムを従来の工法対比90%の短縮を実現できた。また、製造コストも組立自動化や搬送自動化により従来の工法対比約30%原価低減を実現した。

原料賞

「高強度焼結材の製造を実現するNiフリー低合金鋼粉」JFEスチール

 本原料は、高強度焼結材の製造を実現するNiフリー低合金鋼粉。
 従来のNi系部分拡散合金鋼粉(Fe-4Ni-0.5Mo-1.5Cu、4Ni粉)は、4%のNi添加によって気孔周辺に生成されるNiリッチオーステナイト相が、部品に深い負荷が付与された際の気孔周りでの応力集中を抑制する効果を担い、機械特性向上へ寄与しているが、近年Ni粉の需要拡大と価格急騰から供給が不安定化しているため、Ni粉を使用せずに、同等の機械特性が得られる合金鋼粉の開発が望まれていた。
 開発合金鋼粉は、焼結促進による焼結気孔微細化という新機軸をもとに粒子設計を行い、合金鋼粉の粒子円形度の低下による気孔の微細化及び添加剤Cu粉の微粒化による焼結体密度の低下を抑制した。この結果、従来の4Ni粉と同等以上の機械的特性を実現し、かつ従来の高温焼結(1250℃)から通常焼結(1130℃)で製造が可能になったことにより、CO2排出量削減にも寄与している。

奨励賞

「カーエアコン用コンプレッサー容量制御弁(ECV)ガイドブッシュの焼結化」ポーライト

 本製品は、カーエアコン用コンプレッサー容量制御弁(ECV)ガイドブッシュ。
カーエアコン用の可変容量型のコンプレッサーは、吹き出し温度の変動を押さえ、コンプレッサーの負荷を低減するために、容量制御弁(ECV)が搭載されている。このECVには、可動弁をスライド方向に支持するための真鍮製の切削ブッシュが使用されていたが、摺動特性の向上とコスト低減の課題より、焼結化への変更が検討された。
 焼結化にあたり形状は、生産上の問題点を考慮しつつ冷媒の流路面積を確保した外形形状とした。材料選定は、含浸されている潤滑油が冷媒によって置換されてしまうため、潤滑油を含浸せず、無含油でも使用可能な固体潤滑剤(黒鉛量2.0~3.0mass%)を分散させたCu-Sn-P-C系材料を採用した。この結果、摺動特性が向上し、従来の切削加工品から50%以上のコスト低減を実現した。
 

 

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日本粉末冶金工業会、創立70周年記念式典を開催

3週 1日 ago
日本粉末冶金工業会、創立70周年記念式典を開催kat 2026年02日10日(火) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)は1月16日、東京都港区のインターコンチネンタル東京ベイで、創立70周年記念式典を開催した。

会場のようす

 

 式典の冒頭、挨拶に立った園田修三JPMA会長(福田金属箔粉工業会長)は、「当工業会は1956年4月に会員17社で粉末冶金工業会として設立、1969年に日本粉末冶金工業会に名称を変更、今年で創立70周年を迎えることとなった。17社で始めた当工業会の会員企業は2001年に83社まで増えたが、これをピークに現在は67社と減少しており、会員増強の必要性を感じている。創立当時の日本の粉末冶金製品の生産量は年間 600t程度だったが、現在はその100倍以上を生産しており、日系企業の海外事業所を含めると15万tを超えるまでになり、日本の粉末冶金産業が世界において確固たるプレゼンスを確立している。この間に開催された粉末冶金国際会議に参加して感じるのは、特に中国が、若い研究者を中心に貪欲な吸収力をもって急速に実力をつけてきたことで、こうした姿勢を日本人は忘れかけているように思われる。粉末冶金産業は、自動車や各種産業機械という我が国の重要な産業を支える産業だが、一般的にはあまり知られていない、縁の下の力持ち的な存在であり、粉末冶金の持つパフォーマンスや魅力を若者たちにもっと知ってもらう努力を続ける必要がある。70周年はあくまでも通過点であり、この記念式典を単なるお祝い事だけで終わらせることなく、次の80周年、90周年、そして100周年を見据えて、今後の活動のあり方を見つめ直す貴重な機会にするとともに、目先にとらわれず長期的な視点で粉末冶金業界の発展に努めていきたい」と語った。

挨拶する園田会長

 

 続いて、来賓の挨拶に立った経済産業省 製造産業局 素形材産業室長の大今宏史氏は「粉末冶金技術は複雑形状の実現や複数素材の組み合わせでさまざまな特性を有する部品を作り出せるなどの特徴を生かして、日本の製造業を長年支えてきた。自動車をはじめとする輸送機械、産業機械、電気電子機械、さらに医療機器に至るまで、多岐にわたる産業の発展に寄与しており、我が国のものづくり力の向上に大きく貢献してきた。70年という年月は、まさにその技術革新と挑戦の歴史だったと思う。材料開発、成形、焼結技術の高性能材料の実用化、さらにデジタル技術との融合の取り組みを積み重ねて、今日の高い技術力を確立したと理解している。これらの成果は、会員企業各位の不断の努力や強い結束があってこそ成しえたものだと思う。一方で、昨今は、産業構造の転換、カーボンニュートラルへの対応、グローバル競争の激化と、我々を取り巻く環境は大きく変化している。こうした時代にこそ、粉末冶金技術が持つ可能性をさらに広げる新たな価値を作り出していくことが求められている。粉末冶金業界がこれまで培ってきた知見や国内外のネットワークを生かしつつ連携を一層強化することで、業界全体の発展に大きく寄与されるものと確信している。また若い技術者や研究者が粉末冶金の分野に魅力を感じて未来を担う人材として育っていくを祈念している」と述べた。

来賓の挨拶を行う大今氏

 

 その後、海外友好団体からの祝辞として、アジア粉末冶金工業会(APMA)会長のChiu-Lung Chu氏と欧州粉末冶金工業会(EPMA)会長のAdeline Riou氏、北米粉末冶金工業会(MPIF)会長のChristpher Adam氏からのビデオメッセージが、会場で放映された。

ビデオメッセージのようす

 

 最後に、菊池 勇氏(元ポーライト)、カール グスタフ エクルンド氏(元ヘガネスジャパン)、武田義信氏(JPMA ISOアドバイザー)の3名の特別表彰式が執り行われ、代表者として菊池氏が挨拶し、記念式典は閉会した。

特別表彰で代表者挨拶を行う菊池氏


 

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