メインコンテンツに移動

Aggregator

NTN、車両振動を高精度に予測するCVJ解析技術を開発

1ヶ月 3週 ago
NTN、車両振動を高精度に予測するCVJ解析技術を開発kat 2026年09日01日(火) in in

 NTNは、自動車のモーターやエンジンの駆動力をタイヤに伝達する重要部品である等速ジョイント(CVJ)が、車両走行時の振動に与える影響について、車両全体を対象として予測できる解析技術を開発した。本技術により、設計段階でCVJが車両の振動特性に与える影響を把握し、車両特性に応じた最適な新商品の開発が可能となる。また、試作や実車評価にかかる工数を削減し、高付加価値商品の開発を加速するとともに、静粛性や快適性に優れた車両の開発に貢献する。

 近年、HEVやBEVなど電動車の普及に伴い、エンジン由来の騒音や振動が低減したことで、これまでは目立ちにくかった車両由来の振動や騒音が感じられやすくなり、車内の静粛性や乗り心地など、NVH(Noise:騒音、Vibration:振動、Harshness:乗り心地)性能への要求が高まっている。

 また、パワートレインやシャシーなど車両レイアウトの多様化により、自動車メーカーごとに異なる振動特性への対応も求められている。一方で、開発期間の短縮や開発効率向上への要求も高まっており、各部品においても設計初期段階で車両搭載時の性能を予測できる技術の重要性が増している。

 CVJのうち、デファレンシャル側で主に使用されるトリポード型しゅう動式CVJは、サスペンションの動きに追従しながら動力を伝達する構造を持っているが、その際、ジョイント内部の摩擦によって発生する軸方向の微小な力(誘起スラスト力)が車体へ伝わり、車両の振動や乗り心地に影響を及ぼすことがある。しかし、従来はCVJ開発の初期段階で車両搭載時の性能を把握することが難しく、実車評価を重ねながら検証する必要があった。

NTNのトリポード型しゅう動式CVJ「PTJ」

 

 こうした課題に対しNTNは、機構解析によるCVJ解析技術と、振動が車内へ伝わる経路を分析する伝達経路解析(TPA)技術を融合した車両振動予測解析モデルを構築した。CVJ解析技術では、長年培ってきたCVJ解析モデルを改良し、走行時に発生する誘起スラスト力をより高精度に再現できるようにした。さらに、CVJからエンジンや電動駆動ユニット(e-Axle)、サスペンション、車体構造部材(フレーム)などを介して車内へ伝わる振動について、部品ごとの伝達特性の違いを考慮して解析することで、車両走行時の振動を高精度に予測できるようになった。

CVJから車内への振動の伝達

 

 本技術により、振動がどの部品を通じてどのように車内へ伝わるのかを把握でき、CVJ の設計段階で車両搭載時の性能を評価できる。また、開発初期段階からその効果を検証できるため、車両特性に応じた最適な商品開発が可能なほか、試作や実車評価を行うことなく車両振動を予測できるため開発工数を従来比で最大約8%削減できる見込みだ。

 今後は、本技術を活用して車種ごとの振動特性データベースを拡充し、将来的には実車試験を大幅に削減した開発プロセスの実現を目指す。

 NTNは今後も、CVJの静粛性・低振動性能のさらなる向上を図るとともに、車両特性に応じた最適なソリューション提案を強化していく。また、電動車(HEV、BEVなど)をはじめとする次世代モビリティ向け商品の開発を加速し、快適で魅力あるモビリティ社会の実現に貢献していく。

 NTNでは、研究開発においてシミュレーションやデータ解析などのデジタル技術を積極的に活用し、研究・開発の迅速化を実現する「Cyber Agile Engineering(サイバー・アジャイル・エンジニアリング)」を推進している。AIも活用してデジタル空間上で設計・解析・評価を高度化することで、試作や実験に依存しない開発プロセスの構築を進め、開発期間の短縮や開発効率の向上を図っており、本技術もその取り組みの一環として開発したもの。

 NTNは今後も、デジタル技術を活用した研究開発をさらに推進し、高付加価値商品の開発力向上とタイムリーな市場投入を通じて、次世代モビリティ社会の実現に貢献していく考えだ。
 

kat

アトム、日本精工と国産ヒューマノイドAIロボットの共創で記者会見、フィジカルAIの学習データ生産開発拠点を披露

1ヶ月 4週 ago
アトム、日本精工と国産ヒューマノイドAIロボットの共創で記者会見、フィジカルAIの学習データ生産開発拠点を披露kat 2026年08日28日(金) in in

 アトムと日本精工(NSK)は8月26日、東京都江東区のアトム本社で、国産ヒューマノイドAIロボットの開発・実装に向けた包括的なパートナーシップに関する基本合意書(MOU)締結に伴う合同記者会見を開催した。当日はまた、フィジカルAIの学習データを生産する開発拠点「アトム フィジカルAIファウンドリ」が披露された。

記者会見のようす:左からアトム青木社長、NSK市井社長

 

 両社は、NSKが開発するヒューマノイドロボット向けアクチュエーターをアトムのヒューマノイドAIロボットに搭載して共同検証するとともに、NSKの製造現場を活用したフィジカルAIデータの共同収集にも取り組む。フィジカルAI・ヒューマノイドロボットのスタートアップであるアトムと精密部品メーカーであるNSKが、部品単体の供給にとどまらず、実機評価、データ収集、製品開発を一気通貫に進める。

 記者会見でアトムの青木俊介社長は、ヒューマノイドAIロボットを日本の新たな基幹産業として育てたいとの考えを示した。少子高齢化による物流現場や製造現場の人手不足といった社会課題の解決に加え、日本が世界で競争できる新たな輸出産業を育成する必要性を背景に挙げ、「日本の部品産業をレバレッジする」ことを同社の重要な戦略の一つに位置付ける。NSKとの提携では、同社の精密部品の開発力と、アトムのヒューマノイドロボットおよびフィジカルAIの開発力を組み合わせ、世界市場で競争できるヒューマノイドAIロボットの実現を目指す。

 一方、NSKの市井明俊社長は、ヒューマノイドAIロボットを日本の製造業が培ってきた精密技術の新たな活躍領域と捉える。NSKはベアリングやボールねじなどで培った耐久性、低摩擦、静粛性などの技術を基盤に、フィジカルAIが生み出す動きを現実の機械動作へ変換する「体」として、精密機械部品が重要になると指摘。特に、AIが意図した動きを正確かつ滑らかに実現するには、機械側の精度や安定性が不可欠で、長年培ってきたトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)技術を生かして、高耐久・高レスポンスで静粛性の高いヒューマノイドAIロボット向けアクチュエーターの実現に取り組む。

 両社の協業の一つが、このヒューマノイドAIロボット向けアクチュエーターの共同検証だ。NSKはすでに、ヒューマノイドロボット向けにロータリーアクチュエーターとリニアアクチュエーターを開発。軸受・直動製品技術とメカトロ技術を融合した、小型・軽量・高バックドライバビリティを特徴とするもので、ロボットのしなやかな動きを実現する。今回のMOUでは、それらのアクチュエーターをアトムのヒューマノイドAIロボットに搭載し、実際のロボット動作を通じてアクチュエーターの性能を検証する。実機評価から得られる知見を部品開発に戻すことで、性能向上だけでなく、量産化に向けた課題の洗い出しと解決を加速する。

 協業ではまた、物流・製造現場を活用したフィジカルAIデータの共同収集を行う。アトムではすでに、新設したアトム フィジカルAIファウンドリにおいて、ロボット数十台を実際に動かして人間の動作や作業に関するデータを蓄積し、フィジカルAI基盤モデルの開発につなげる取り組みを進めている。今後は、NSKの製造現場をデータ収集の場として活用することで、実際の生産環境に由来するデータを取得し、製造工程で求められる作業をロボットが実行するためのAI開発を進める。ハードウェアの性能検証とAIの学習・改善を現場で循環させることで、部品とロボット、AIのすり合わせを加速する狙いだ。

 両社が重視するのは、単純な「部品メーカーとロボットメーカー」という関係ではない。市井社長は、ハードとソフトを同時にすり合わせる開発を通じ、日本の製造業が培ってきた「すり合わせ」の技術を新しい形で体現したいとの意向を表明。製品そのものの競争力だけでなく、共創による開発プロセスそのものを日本の競争力につなげる考えを示した。青木社長も、日本の優れた部品メーカーと共同で設計・開発することで、日本が培ってきた生産・製造技術とAIを融合した、世界で勝てるヒューマノイドロボット産業を日本から立ち上げる方針を示した。

 記者会見後は、新設された「アトム フィジカルAIファウンドリ」が披露された。

 アトムは五本指・双腕・二足歩行のヒューマノイドAIロボットとそれを動かすフィジカルAI基盤モデルをいずれも自社開発しているが、本拠点では、そのヒューマノイドAIロボットを用いて、多様な作業データの収集・生成から、AIモデルの学習・評価、実機による検証、機体の改良までを一体的に行う。アトムではまた、データ生産拠点の一部を外部に開放・公開することで、日本のAIロボット産業全体の推進に貢献していくほか、拠点の一部を開放することでフィジカルAIに関する安全性・信頼性・セキュリティの議論に対して責任をもって参画していく。

 約1700㎡の開発空間に、2027年末には200台規模のヒューマノイドAIロボットを稼働させ、累計30万時間分の学習データを生産する体制を構築する。実機から得られたデータをAIの学習と機体の改良に継続的に還元することで、AIとハードウェアを同時に進化させる垂直統合型の開発サイクルを加速し、2027年を目標に製造業・物流業向けを中心に、自社開発ヒューマノイドAIロボットの市場投入を目指す。

アトム フィジカルAIファウンドリの実験室では、モーターのパラメーター同定や強化学習による全身制御ポリシーの学習、Sim2Realギャップ縮小など二足歩行で重要な要素を追求

 

アトム フィジカルAIファウンドリの(模擬)物流ライン
物流現場で人手が足りていない、荷物をつかんで分別するという力加減を伴う作業を通して、
指先が対象物にどう触れ、どの程度の力で保持するかなど、現場で実用可能なデータを収集

 

部品の組付けなどの現実の作業を人が実演、そこで生じる視覚・触覚・力覚データそのものを生産
生産したデータはAIモデルの学習と機体の改良に還元し、改良した機体を再び現実世界で検証


 

kat