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第84回『エアポート’77 バミューダからの脱出』

 本作は、ハイジャックの末にバミューダ海域に沈んだ豪華旅客機の脱出劇を描くパニック大作。

 億万長者で美術収集家のスティーヴンス(ジェームズ・スチュアート)は、コレクションと邸宅を美術館として寄贈するため、自家用ジャンボ機にスポンサー、友人らと美術品を乗せパームビーチまで運ぶことにした。パイロットはドン(ジャック・レモン)、旅の責任者はドンの恋人でスティーヴンスの秘書のイブ(ブレンダ・ヴァッカロ)で、富豪のエミリー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)、ニコラス3世(ジョセフ・コットン)、海洋学者のマーティン(クリストファー・リー)と妻カレン(リー・グラント)などが搭乗している。その中には、美術品をねらうハイジャックの一団もまぎれていて、ドンをコクピットから誘い出したのを合図に、催眠ガスを客室に流す。みんなを眠らせている間にセントジョージ島に美術品を持ち出す計画だ。実は副操縦士も一味で、ドンに代わって操縦桿を握り、低空レーダーにかからないよう海面すれすれで飛行するが、濃霧で視界が悪く油田タワーにジェットエンジンの一つが接触、機は姿勢を崩し、そのまま海底へと突っ込んでしまう。

 本作では、コックを回す場面がよく登場するが、その一つに、ガスを客室に送る場面がある。ハイジャック一味はあらかじめ客室送気管に、あるボンベをつなぐ。麻酔に使うCR-7ガスというやつである。操縦士が入れ替わったタイミングでガスマスクを装着した一味がコックを回してバルブを開き、その麻酔のガスを客室に送る。搭乗客は一人、また一人と気を失っていく…。

 何トンもの水圧がかかっている機体をバラバラにすることなく、バミューダ海底からどう引き上げるのか。オールスターキャストによる迫真の演技に加えて、この壮大でメカ的な作戦も見どころの一つである。