電気自動車ばかりが取りざたされる昨今だが、走り屋にとってクルマとは数十年後もガソリン車であろう。本作は石油パニックに陥った退廃的な社会で、ガソリンをねらうハイウェイの殺し屋と一匹狼マックスとのデッドヒートを描くシリーズ第二弾である。
世界戦争が勃発し中東地域の油田が破壊され石油が枯渇すると、世界は、ガソリンをめぐり暴走族たちが争奪戦を繰り広げる無法地帯となった。暴走族に妻子を殺された元警官のマッド・マックス(メル・ギブソン)は、1973年型フォード・ファルコンXB/GTを改造した愛車「V8インターセプター」に乗って愛犬と共に暴走族を倒しては石油をかき集め、荒野をあてもなく放浪していた。あるときジャイロコプターに乗るジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)に連れられ、マックスはヒューマンガス(ケル・ニルソン)率いる暴走族がねらう石油精製所を見つけた。マックスは精油所リーダーのパッパガーロ(マイク・プレストン)とガソリンと引き替えに、石油を運び出し「太陽の楽園」に脱出するためのトレーラーを持ち帰る取引を引き受けることになる。
作中、暴走族とマックスのカーチェイスの場面は多い。マックスのV8インターセプターの兵器は、ボンネットに鎮座するスーパーチャージャー。スーパーチャージャーは、エンジンのクランクシャフトからベルトを介して取り出した動力でシリンダー内のローターを回転、空気を圧縮してエンジンに送り込むことで燃焼時の爆発力を高め、出力や加速性能を高める。スーパーチャージャーによりV8インターセプターは急加速して暴走族を引き離すが、暴走族の車にも兵器がある。たぶんナイトロ(亜酸化窒素 N2O)のボンベだ。スロットルを全開にしつつこのボンベのバルブを開くと、ナイトロが燃焼行程で酸素を供給して燃焼を促進したのだろう、暴走族の車はジェット噴射みたいに吹っ飛んで、V8インターセプターを急追するのである。
本作は1981年のオーストラリア映画で、『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』主演メル・ギブソンの出世作である。ストーリーだけ見るとB級映画だが、核戦争後の荒廃したイメージなどがその後のSF映画に多くの影響を与えたとして、意外と評価が高い。