SEAJ、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2024年度半導体製造装置、初の4兆円超え
日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:河合利樹・東京エレクトロン社長)は1月16日、2024年~2026年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。2024年度の日本製装置販売高は、前年度から継続した中国市場の投資に加えAI関連を中心としたメモリー投資回復により、前年度比20%増の4兆4371億円と予測した。2025年度はロジック・ファウンドリー、DRAMそれぞれに案件ごとの強弱はあるものの、全体では堅調な投資が予想されるため、5%増の4兆6590億円とした。2026年度もAI関連における先端半導体の需要拡大が期待できることから、10%増の5兆1249億円と予測した。半導体製造装置での4兆円超えは初めてだが、早くも2026年度での5兆円超えを見通している。
需要予測の背景となる半導体産業の見通し
WSTS(世界半導体市場統計)によれば、2024年の世界半導体市場は、メモリー価格上昇が大きな要因となり、11月までの累計で前年比19.8%増と大幅に回復、通年で過去最高となる6268億米ドルに達する見込みで、2025年もメモリー市場、ロジック市場共に順調な伸びを予想しており、昨年12月の発表では、2025年全体で11.2%の増加を予想している。
メモリー各社の業績は2023年1Q(1~3月)のボトムから総じて上昇を続け改善した。一方足元ではAIサーバー以外の需要回復が鈍く、在庫調整により一時的に汎用DRAMやNANDの価格は下落に転じる動きが見られるが、25年後半以降に需要回復と共に在庫調整が完了し、再び価格の上昇が期待される。引き続きAIサーバー向けGPUとHBMの需要は極めて旺盛で、データセンターの消費電力を抑えながら演算能力を高めるためには、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、徐々に選択肢が広がってゆくと予想する。
AI機能をPCやスマートフォン端末に搭載するオンデバイス(エッジ・ローカル)AIについては、CPU、GPU、NPU(Neural Processing Unit)をワンチップにまとめ、消費電力を抑えながら高度なAI処理を実行する。2027年にかけ、AI機能を最大限に生かすソフトウェアの普及やアプリケーションの拡大が見込まれ、2nmロジックプロセスの量産が軌道に乗るタイミングに合わせて、市場が本格的に立ち上がると考えられる。AI機能強化のためには、DRAMも高容量化、高速化が求められるため、オンデバイスAI はロジック、メモリー双方にプラスの影響を与える。
2024年度の半導体製造装置市場については、中国市場での既存および新興メーカーによる汎用品への投資に加え、AI 関連を中心とした先端半導体の投資が拡大したことにより、前年比で大きく成長して着地する見込みとなっている。
2025年度については、車載・パワー半導体投資の減速懸念や、中国の新興メーカーにおいては新規装置の購入に比べて購入済み装置の立上げや稼働率向上への注力が予想される一方、AI向け半導体の需要拡大と、そこで求められる高性能化や低消費電力化、大容量化に向けたGAA、Backside PDN、高積層メモリーなどの技術進化に伴い先端投資が拡大し、今年度に対してプラス成長が見込まれる。
また2026年度については、AIサーバーに加えてオンデバイスAIのアプリケーション拡大に伴う、PC、スマートフォン用半導体の需要増加に向けた投資拡大が期待される。
世界半導体市場は2023年の5268 億米ドルから2030年には1兆ドルに到達すると予想されており、半導体製造装置も同様に中期的な高い成長率が見込まれている。
日本製半導体製造装置の販売高予測
2024年度は、前年度から継続する中国市場の好調さとAI関連を中心としたメモリー投資回復により、昨年7月発表時を5ポイント上回る20%増の4兆4371億円とした。4兆円を超えるのは、今回が初めて。2025年度は中国向け比率の低下、台湾を除く先端ロジック・ファウンドリーやDRAM案件について投資姿勢の強弱を精査した結果、5%増の4兆6590億円とした。2026年度は全分野でAI関連半導体の需要押上げ効果が本格化することから、10%増の5兆1249億円と予測した。
日本市場における半導体製造装置の販売高予測
2024年度は、政府による補助金効果や大手ファウンドリーの堅調な投資はあるものの、慎重な投資姿勢に転じたパワー半導体等の状況も考慮し、7%増の1兆2232億円と予想した。2025年度は複数の大手ファウンドリー投資が重なり、メモリー投資も大きく復活が期待されることから、30%増の1兆5902億円と予測した。2026年度も高い伸びで投資が継続されるため、20%増の1兆9084億円を予測した。