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日本半導体製造装置協会、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2022年に初の4兆円超えへ

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:牛田一雄ニコン会長)は1月13日、2021年~2023年の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。2022年度の日本製装置販売高は、半導体製造装置が3兆5500億円、FPD製造装置が4800億円で、全体で5.3%増の4兆300億円と予測。4兆円超えはSEAJが統計を開始して以来初となる。

挨拶する牛田SEAJ会長 MTJP メカニカル・テック社
挨拶する牛田SEAJ会長

 

 SEAJ半導体調査統計専門委員会(メンバー13社)およびFPD調査統計専門委員会(メンバー7社)による需要予測と、SEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査結果を総合的に議論・判断し、SEAJの総意としてまとめたもの。

 半導体を消費するアプリケーションとして、スマートフォンの総台数需要は安定しているが、5G仕様のハイエンド品の比重が急速に高まっている。パソコンの台数は一昨年からの世界的なテレワーク特需の反動や部品不足の影響から現在伸び悩んでいるが、Windows 11の登場やゲーミング需要の拡大により、搭載されるCPU/GPUの高度化やメモリーの高容量化が進む。DRAM規格ではDDR4からDDR5への世代交代が始まり、NANDフラッシュは一層の3D構造の高層化で大容量化が進む。データセンターの分野では、ハイパースケーラーの設備投資意欲は依然として旺盛。世界的な半導体不足を受けて、最先端品だけでなく、現在特に需給がひっ迫しているレガシープロセスでの増産要求も高まっている。

将来のカーボンニュートラル実現に向けた世界的な動きにより、半導体の高機能化と低消費電力化への貢献が今まで以上に強く求められる。電気自動車へのシフトによりパワー半導体の重要性が再認識され、将来の自動運転Level4/5実現への取組みは、AI(人工知能)用半導体の進化と相まって大きな技術革新を生むと期待される。

世界半導体市場統計(WSTS)の11月発表によると、2021 年の世界半導体市場成長率は、25.6%増と高い成長が見込まれている。中でもメモリーは、2021年34.6%増、2022年8.5%増と高い伸びが予想されている。

ロジックも2021年27.3%増、2022年11.1%増が見込まれる。半導体全体で2022年は8.8%増となり、2 年連続で最高記録を更新する見込みとなっている。

設備投資については、2019年から続くロジック・ファウンドリーの積極投資が、2021年はさらに大規模で加速されたところに、DRAM・NANDフラッシュの投資復活が上乗せされた。市場の地域としては中国・台湾・韓国がともに好調を維持している。DRAM市況の軟化は懸念されるものの、データセンター需要の堅調さやDDR5切替への対応から、設備投資としての落込みは少ないと見られる。全体としては、2021年度の40.8%増に続いて2022~2023年度も、プラス成長を見込む。

 半導体製造装置について2021年度の日本製装置販売高は、ファウンドリー、DRAM、NANDフラッシュのすべてが高い伸びを記録し、40.8%増の3 兆3567億円と予測。2022年度は5.8%増の3兆5500億円、2023年度は4.2%増の3兆7000 億円と、安定的な成長を予測した。

 FPD産業は、PC・タブレット・モニターに使われるITパネルの品薄はまだ続いているが、巣ごもり需要増大からひっ迫感が出ていたTV用大型パネルは、昨春をピークに価格下落が続いている。大手パネルメーカーの営業利益率も、2020年第1四半期(1~3月)を底に上昇を続けてきたが、2021年第2四半期(4~6月)をピークに現在はやや低下傾向となっている。

2021年度の設備投資としては、昨年4月~8月の日本製装置販売高は前年比54%増を記録したが、2020年の同時期は渡航制限により立上げ検収が困難となり、34%減を記録したタイミングでもあった。2021年度を通じた数字は平準化するため、1.3%増の見方を据え置く。
2022~2023年度は、比較的大型案件は少ないものの、ITパネルをG8.6クラスの大型基板で量産する動きや、新しいパネル製造技術の採用を考慮し、総じて安定した成長を見込んでいる。

 FPD製造装置の日本製装置販売高については、2021年度は、1.3%増の4700億円を予測した。2022年度は2.1%増の4800億円。2023年度は、新技術を使った投資額の増大を見込み4.2%増の5000億円と予測した。