パテント・リザルトはこのほど、自動車メーカー業界を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「自動車メーカー業界 他社牽制力ランキング2020」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになる。集計の結果、2020年に最も引用された企業は、トヨタ自動車、次いで日産自動車、本田技研工業となった。
1位のトヨタ自動車の最も引用された特許は「安全性を高めた、車両の自動運転制御」に関する技術で、エイディシーテクノロジーなどの計13件の審査過程で引用されている。このほかには「充放電容量の低下を抑制し得るリチウムイオン二次電池」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、旭化成の「非水系リチウム蓄電素子の製造方法」など計9件の拒絶理由として引用されている。2020年に、トヨタ自動車の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は本田技研工業(339件)、次いでデンソー(273件)、日立Astemo(158件)となっている。
2位の日産自動車の最も引用された特許は「道路形状、障害物を検出し、軌道を算出するリスク最小軌跡生成装置」に関する技術で、本田技研工業などの計10件の審査過程で引用されている。このほかには「装置の異常検出時に運転者に違和感を招くことなく作動を中止できる車両用走行制御装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、日本精工などの計5件の拒絶理由として引用されている。2020年に、日産自動車の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(263件)、次いで本田技研工業(158件)、デンソー(112件)となっている。
3位の本田技研工業の最も引用された特許は「造形サイクルタイムの短縮化と、不活性ガス等の雰囲気ガスの使用量の削減化が図れる三次元造形装置」に関する技術で、IHIの「レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法」関連特許など計6件の審査過程において拒絶理由として引用されている。2020年に、本田技研工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(201件)、次いでデンソー(98件)、スズキ(72件)となっている。
そのほか、4位 マツダは「エンジンの排気系部品取付構造」、5位 豊田中央研究所は「衝突対象を推定する車両用衝突判別装置」が、最も引用された特許として挙げられる。