第3回ナノセルロース展(Nanocellulose Exhibition 2018)が12月6日~8日、東京都江東区の東京ビッグサイトで、環境とエネルギーの未来展「エコプロ2018」のテーマゾーン・企画として開催された。
王子ホールディングスは、CNFによるポリカーボネート樹脂の高機能化技術を紹介した。同樹脂と高透明度の完全CNFを組み合わせることによって、同樹脂の優れた透明性を維持しつつ弾性率を従来の同樹脂の約4倍まで向上。さらに、線熱膨張係数を従来の同樹脂の約1/3まで低減させることを可能にした。同社では現在、本技術を応用した自動車部材の開発をトヨタ自動車東日本と進めている。
王子ホールディングス「CNFによるポリカーボネート樹脂の高機能化技術」
スギノマシンは、セルロース解繊技術と天然物由来疎水化技術を組み合わせたフィラー用の「BiNFi-sドライパウダー(乾燥粉末体)」と、極微細な銀ナノ粒子とBiNFi-sを複合化させた「BiNFi-s/銀ナノ粒子複合体」を開発品として展示。前者は有償サンプル提供を開始、従来困難だった熱可塑性樹脂やゴムなど疎水性素材との複合化が可能なことを、後者は従来市場になかった微細な銀ナノ粒子とBiNFi-sを複合化させることでハンドリング性・安定性が向上し、抗菌・消臭・触媒活性など様々な用途で応用が期待できることを紹介した。
スギノマシン「BiNFi-sドライパウダー」と「BiNFi-s/銀ナノ粒子複合体」
大王製紙は、シート表面にCNFを高濃度でとどまらせることに成功、さらに薬液との相互作用を組み合わせることで同社従来品の2倍の耐久性を実現、1枚で徹底的に効率的にトイレ掃除を行えるようにしたナノ繊維入り立体凹凸シート「キレキラ!トイレクリーナー」を展示した。同品は、実用事例がまだ少ないCNFをいち早く採用した着眼点と先進性が評価され、2018年1月に「2017年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経MJ賞」を受賞している。
大王製紙 CNF入り立体凹凸シート「キレキラ!トイレクリーナー」
日本製紙は、抗菌・消臭機能を持たせた大人用紙おむつ「肌ケアアクティ」や、CNFをシートにしたコーティング剤にCNFを使うことで高い透明性を保持しつつ傷つきにくくした包材アルミ蒸着紙、CNFの添加で破断しにくくした食品オブラート、さらにはCNFを添加することで従来にない「ふわっと感」や「しっとり感」を実現したどら焼きなどまで、幅広い適用事例を紹介した。
日本製紙 CNFを添加した食品用「オブラート」と「どら焼き」
服部商店は、水を用いずに可塑剤や希釈剤などのオイルの中で、パルプを直接解繊したCNF分散材「セナフ」を展示。油性の樹脂、塗料、接着剤などに容易に分散し、強度アップ、粘度アップなどの特性を付与できる。セルロース同士の凝集を抑制し、基油中の分散性を向上させられるため増ちょう剤として利用できることから、CNFを増ちょう剤としたベアリンググリースをNTNと共同開発していることを紹介した。
服部商店 CNF分散材「セナフ」とベアリンググリース増ちょう剤への適用例