ダイセル・エボニックのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂「ベスタキープⓇ」が、倉敷紡績(クラボウ)の熱可塑性コンポジット用一方向基材「クラパワーシートⓇ」のマトリックス材に採用された。
熱可塑性コンポジット用一方向基材「クラパワーシートⓇ」 (写真提供:クラボウ)
欧州では、PEEK材を用いた熱可塑性コンポジットが極めて高い耐熱性、耐加水分解特性、耐薬品性などを実現できることから、航空、医療、スポーツ向けなどに採用されている。 最近では航空機の2次構造材として欧州でPEEKコンポジットが採用された実績から、日本国内でもPEEKコンポジットを用いた同分野における開発や、医療機器分野におけるMRIの普及からくる非磁性製品の開発が求められている。
しかしながら日本国内では中間製品であるUDテープなどは海外からの輸入に依存し、そのことが開発のネックとなっていた。
今回、国内に生産拠点を持つクラボウの熱可塑性コンポジット用一方向基材に採用されたことで、国内において短納期化、価格の安定化、幅広いグレード展開などが可能となることが見込まれ、スーパーエンプラを用いた熱可塑性コンポジットの開発が今後、加速化されることが期待される。
クラボウの一方向基材「クラパワーシートⓇ」で製造されるPEEK製品は、従来の射出成型法ではなし得なかった金属レベルの剛性を実現するほか、熱硬化性樹脂をマトリックスとしたオートクレーブなどのように多額の初期投資を必要とせず、加工時間も大幅に短縮できる。これによって、従来よりも幅広いPEEK樹脂による製品開発が可能となる。