ダイセル・エボニックは、ポリアミド(PA)樹脂やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)など高機能樹脂による、金属・ゴムホースからの、あるいはゴム製靴底からの置き換えによる、軽量化や信頼性・安全性の向上、工程削減などを提案している。4月5日~7日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「第6回高機能プラスチック展」で、一端を披露した。
「冷却配管用樹脂チューブMLT 8000シリーズ」は、外層に強靭な機械的特性を持つPA樹脂「ベスタミド」を、内層にエチレングリコールラジエータ液に対する加水分解性に優れるPP樹脂を使ったことで、従来の金属、ゴムホースに比べ大幅に軽量化でき自動車の省燃費化に貢献できる。
接着剤を用いずに、樹脂とゴムを直接架橋接着する独自の複合化技術「K&Kグレード」では、工程を削減することが可能で、金属+ゴムから樹脂+ゴムに、100%熱可塑性ポリウレタン(TPU)品からPA樹脂+TPUに変更することによって軽量化を図れるほか、設計の自由度が高められる。展示ではソール材としてPA系材料「ダイアミドK2グレード」にTPU製のスタッド(突起)を直接接着して大幅に軽量化しつつ、人工芝などでの高いグリップ性を確保するサッカースパイクなどが紹介された。
また、K&K技術によってPAとゴムを複合化させた「R-COMPO®」を靴底に用いることで、直接接着されたゴム小片によって優れたグリップ力を発揮するほか、樹脂との複合品のためゴム100%品に比べ大幅な軽量化が図れる。今回はR-COMPO®が採用されたリーガルのウインターモデルブーツが披露された。摩擦試験の結果から、従来のフルラバーソールに比べ濡れた路面でもグリップ力の低下が小さく、凍った路面でも歩行の安全性が確保されることが示された。
また、会期中に同社テクニカルセンター所長の六田充輝氏が「ダイセル・エボニックのスーパーエンプラの特長と開発事例」と題して講演を行い、同社のPEEK樹脂が、耐熱性が高く高強度・高剛性で、耐摩耗性など機械的特性に優れ、耐薬品性に優れるとともに、射出成形だけでなく押出成形、切削、フィルム、粉体と多様な加工方法に対応していることを説明。高温下でのフリクション低減から金属代替としてターボチャージャユニットのブッシングなどに適用されていることや、内視鏡処置具やカテーテルなどメディカルデバイス用極細高精度チューブとして、しゅう動性や剛性の改善から従来のフッ素樹脂に代わり採用されていることなどが紹介された。さらに、独エボニック社製PEEK樹脂をベースに、ダイセル・エボニックがテクニカルセンターをベースに開発・製造する日本オリジナルのPEEKナチュラルグレード「ベスタキープⓇ-J」などによって、日本のユーザーのニーズに細やかに対応できる体制にあることを強調した。