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三菱マテリアル、次世代型パワーモジュール向け焼結型接合材料を開発

 三菱マテリアルは、低温で分解する有機分子でコーティングされた銀粒子(以下、新コーティング銀粒子)を主成分とする焼結型接合材料を開発し、サンプル出荷を開始した。

開発した焼結型接合材料開発した焼結型接合材料 開発した新製品は、ハイブリッド自動車の高出力モーター電源制御用インバータをはじめとする次世代型パワーモジュール向けに採用が期待されている。高出力モーター電源制御用インバータモジュール等の普及が加速する中、200℃以上の高温環境下でも動作可能なSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)等の高温半導体素子の採用も進んでいる。これらに伴い、同モジュール等に使用する焼結型接合材料についても2025年には70億円/年を超える市場が見込まれているという。

 高温半導体素子の接合には、従来、界面活性剤などでコーティングされた銀粒子を主成分とする焼結型接合材料(以下、従来品)等が使われているが、従来品には 200℃を超える高温での加熱工程が必要であり周辺部材への悪影響が懸念される、 放熱性や接合信頼性を低下させるボイドが少ない接合層を形成するためには、加熱中に高い圧力を加える工程が必要、と二つのの問題点があった。

 今回、同社が開発した新製品は、従来品と同等の接合強度(20MPa以上)と耐熱性(200℃以上)を実現することに加え、前述の二つの問題点を解決する。具体的には、新製品は、導電性接着剤並みの加熱条件(150℃以上60分)での焼結が可能であり、さらに加圧工程も不要。従来品より、短時間・低温での焼結を実現する。また、ニーズの高い小型(10mm角以下)の高温半導体素子において、従来品より大幅にボイドが少ない接合層を実現した。

 同品は、高い耐熱性と信頼性が求められる次世代パワーモジュール向けの焼結型接合材料としての利用の拡大が見込まれるほか、高い熱伝導率を必要とするLEDチップなどの高発熱素子への応用も期待される。