日立化成は、顧客や装置メーカー、材料メーカーと連携し、半導体実装材料・プロセスのオープンイノベーションを促進するオープン・ラボ(茨城県つくば市)の機能を強化すべく、神奈川県川崎市に移転する。最先端の半導体実装装置を導入し、規模を約3倍に拡大した新しいオープン・ラボ「パッケージングソリューションセンタ(仮称)」の本格稼働は2018年8月を予定している。
同社は、他の化学メーカーに先駆け、1994年にオープン・ラボの前身となる「実装センタ」を設立し、実装材料の評価・解析を自社で行うことによる実装材料の開発促進と、顧客へのタイムリーな提供を行ってきた。2014年には直径300mmウエハに対応可能な実装・評価装置を拡充し、オープン・ラボとして運営を開始することで、顧客、装置メーカー、材料メーカーとの協創を進め、先端パッケージの早期実現に向けた最適な実装材料・プロセスを構築してきた。 2016年12月末までに、延べ400社以上の顧客が訪れており、、また、一例として、メモリーチップの実装に用いられるダイアタッチフィルムの開発期間を、従来の三分の一に短縮するなどの成果も挙げている。
一方で、チップの薄型化、配線の微細化、市場拡大が期待されているファンアウトパッケージをはじめとする最先端パッケージの採用拡大等、今まで以上に半導体パッケージング実装技術への期待が大きくなっているという。最適な実装材料・プロセスを研究開発し続けていくためには、最先端の実装装置の導入が不可欠であることから、より規模を拡大し、機能を強化するとともに、利便性が高い新川崎に移転することを決定した。
「パッケージングソリューションセンタ」は、次世代パッケージの研究開発を加速するための最先端の実装装置を設置したクリーンルーム、実験スペース、さらには顧客、装置メーカー、材料メーカーとともに、次々世代パッケージを評価するためのコンソーシアム専用スペース等からなり、その総面積は、既存の約3倍の約4900m2になる。そのうち、クリーンルームは現在の400m2から1200m2強へと約3倍に拡張し、直径300mmウエハサイズから600mm角パネルサイズまで対応する最先端の半導体実装装置を導入する。これにより、最先端のウエハの加工方法であるレーザーダイシングやパネルレベルのステッパーによる微細配線形成、さらに2.5D実装、3D実装、FOWLP、FOPLPの試作、評価を「パッケージングソリューションセンタ」で一貫して行うことが可能になる。こうした機能強化により、複数プロセスの実装材料の最適な組み合わせ提案やプロセス条件を含めた使い方提案等、トータルソリューションの提供をより一層加速する。