パナマ運河に新しい水路が加わって水路が3本になり国際的な商業水運のボトルネックが解消されることになったが、シェフラーは、その閘門の開閉技術と水運管理に3,400点を超える転がり軸受を供給した。
9年間の建設工期を終え、3本目のパナマ運河水路が開通した。すぐに航行が開始、全長最大366m、幅約50mの船が、この大西洋・太平洋間の近道を航行できるようになる。これまでのパナマ運河水路は、全長290m未満、幅32m未満の船に航行が制限されていた。閉門は、船が26mの高低差を克服し、大陸内を航行できるよう、大西洋、太平洋の両側から行わなければならない。これを行うのが、隣接する貯水槽(閘室)から水を移動させる三つの連続した閘門。閘門は強化コンクリートでできた巨大な建造物。閘門の大きさは、幅50m、高さ30m、厚み10mに及ぶ。安全性の理由から、横に開く水路に二つの閘門が取り付けられている。
閘門の開閉メカニズムを開発したのは、イタリアのエンジニアリング企業Cimolai Technology社。門の開閉のために、それぞれの門にケーブルウィンチを動かす2基のメインドライブユニットが取り付けられているが、このスチール製ケーブルウィンチのドラムをシェフラーの自動調心ころ軸受が支えている。門の開閉には、最大33万Nmの巨大なトルクが必要なため、それぞれに、電気モータのトルクを約280倍増幅させるギヤボックスが取り付けられている。Brevini Group傘下の企業、PIV Drives開発によるギヤボックスには、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、円筒ころ軸受が使用されているが、これらの軸受はシェフラー製品のみで構成された。軸受の大半には、摩耗を防ぎ、35年の耐用年数を保証するシェフラーのメタル含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング「Triondur C」が施された。
閘室の上下両側でキャリッジ2基が3100tに及ぶ閘門のガイドの役目を果たす。ここで使用されるガイドプーリーは、閘門の自重だけでなく、閘室一つにつき、4億3000万Lの水の圧力にも耐える必要がある。このガイドプーリーにシェフラーの自動調心ころ軸受が取り付けられている。