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ソフトウェアクレイドル、基板専用熱解析ソフトの新バージョンをリリース

「PICLSⓇ(ピクルス)V2」リリースを発表する久芳将之社長「PICLSⓇ(ピクルス)V2」リリースを発表する久芳将之社長 ソフトウェアクレイドルは7月7日、基板設計専用の熱解析ソフトウェアPICLS(ピクルス)の新バージョン「PICLS(ピクルス)V2」をリリースした。ライセンス方式は国内使用拠点数無制限のフローティングで、1年契約で価格は198,000円(税別)。バージョンアップ料、技術サポート料を含む。V2リリースに加え、従来版(V1)を「PICLS Lite」として無償提供することで、あまり重視されてこなかった基板設計での熱解析の作業を普及させる狙い。

 同社では今回、30年以上にわたる国産の科学技術計算ソフトウェア(熱流体解析ツール:CFD)を開発・販売の間に蓄積したノウハウを基に、基板設計に特化することで、設計者自らが熱解析を実施できるシンプルで低価格なソフトウェアを開発した。

 PICLSは「リアルタイム計算」が特徴のCAEソフトウェア。電気・電子機器の熱対策は従来、ヒートシンクや強制空冷(ファンの設置)など機構設計側で行われることは多かったが、高密度化・小型化に伴い熱的に厳しい仕様が増える中で、基板設計側でも熱対策を行う必要性が急速に高まってきている。同社では製品開発のフロントローディング化のためには基板設計時での熱対策が必要と考え、昨年7月、基板設計者が簡単に使える「PICLS V1」をリリースし、約1年ですでに16ライセンスの販売実績を持つ。

 今回、基板設計者が必要な機能をより強化した新バージョンでは、従来版(V1)の機能であるマウスドラッグによる部品移動、配線パターン(残銅率)のエリア指定、サーマルビアの設置、基板の作成・切り抜き、層数、銅箔厚の検討、自然空冷、強制空冷の考慮、輻射熱の考慮、ワンクリックレポート出力、リアルタイム熱分布表示、3Dプレビュー、流体解析ツール (STREAM、熱設計PAC)用のデータエクスポート、熱流束ベクトル表示 (熱の流れの可視化)に加えて、以下の新機能が追加された。


  1. 外部ファイルインターフェース
    ・IDFファイルのインポート、エクスポートに対応。
    ・配線データ(Gerberデータ)のインポートに対応。
     これにより、既存の設計データ(CADデータ)を有効利用できるため、既存製品の評価・改良が可能になる。

  2. 簡易筐体への放熱を考慮
    ・製品筐体と基板、製品筐体と発熱デバイスを接続することで基板上だけでなく、基板外への放熱経路の検討が可能になる。

  3. 放熱プレート部品の作成、ヒートシンクの改良
    ・V1で搭載されていたヒートシンク冷却機能は、単一の発熱デバイスしか冷却できなかったが、V2からは複数デバイスにまたがった冷却が可能になる。

  4. ライブラリ
    ・PICLSで作成・設定した部品をライブラリに登録することが可能になる。これにより何度も同じ設定をする必要がなく、グループ内でのデータの共有など、業務効率化が図れる。

「PICLSⓇ(ピクルス)V2」の解析例「PICLSⓇ(ピクルス)V2」の解析例