写真中央:坪井珍彦氏、写真左:中野史郎JAST会長(ジェイテクト シニアフェロー)、写真右:加藤孝久JAST前会長(東京大学教授)
日本トライボロジー学会(JAST)は5月24日、ジェイテクト顧問の坪井珍彦(つぼい・うずひこ)氏に対し、「日本トライボロジー学会特別功労賞」を授与した。
同賞の授与は、坪井氏が広報媒体を通じてトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の科学・技術)の重要性を説き、また、学術書の発行やトライボロジー遺産の学術調査を実行し、同学会の発展に多大な貢献をした、坪井氏の顕著な業績が認められたもの。
坪井氏は、ジェイテクト(当時光洋精工)の社長を務めた1990年代にプロジェクトを指揮し、15世紀にレオナルド・ダ・ビンチが考案した玉軸受のデッサン図をもとに玉軸受の模型を再現。以来、摩擦・摩耗・潤滑を利用したり摩擦・摩耗を軽減した国内外の歴史的遺産(トライボロジー遺産)について、自ら足を運び、資料をひもとき、精力的に調査・研究して、『トライボロジーの技術史余話』(日本ベアリング工業会1995年発刊)を執筆している。
さらに同書をもとに、近年あらゆる分野で求められる省エネルギー、省資源、環境負荷低減などを実現する上で重要な役割を果たす「トライボロジー」の重要性や面白さを広く社会に知らしめる目的で、2012年にはトライボロジー技術史『摩擦は友か、摩擦は敵か』を著している。
坪井氏は近年も、各種学会や研究会などでの講演活動を通じて、先人の積み重ねてきたトライボロジーを利用したり摩擦・摩耗を軽減する工夫や努力の歴史を振り返ることで、若手への教育にとどまらず、トライボロジー遺産を伝承する役割を果たしてきている。