日本精工は、欧州において直動案内製品「NSKリニアガイド」の高精度品の現地生産体制を確立した。インダストリー4.0に対応し、欧州向けに高精度品の納期を大幅に短縮する狙いで、現地生産によって2018年末に5億円の売上増を目指す。
各種生産設備に用いられる同直動案内には、搬送ロボットなど幅広い用途に適した「一般品」と、工作機械や半導体製造装置などの高精度を重視した「高精度品」がある。高精度品はこれまで、日本・韓国の2つの生産拠点でグローバル市場に対応してきたが、欧州などの遠隔地へは海路で輸出するため、3~6ヶ月の納期を要していた。
製造業では近年、柔軟な投資戦略が進められており、なかでも工作機械や半導体製造装置では短納期化が求められている。さらに最近の欧州市場ではインダストリー4.0など生産設備のインテリジェント化の動きが高まっており、この取り組みによって生産設備の故障の予知が一般化すると、これまでの定期的な部品交換ではなく、故障時期に合わせた適時交換への移行が予想される。これに伴い、直動案内の高精度品にも短納期で供給する体制が求められる。
こうした背景から同社は、欧州の生産拠点における高精度品の製造・管理体制を高め、現地での同高精度品の量産体制を確立した。
高精度品は、ISO規格に加えて独自の厳しい規格を設けているため、取付精度を保ち機械精度を高めるとともに、特性のバラツキによる機械性能の悪化を防ぐ。一方、欧州での現地生産によって、従来日本から海路で輸出する方式と比べ納期を大幅に短縮。日本同様に注文後1~2ヶ月の短納期対応を可能とした。
同社では、これらによって、工作機械、測定装置、液晶・半導体製造装置など、高精度品の短期納品が求められる各種生産設備への幅広い採用を見込んでいる。