機械振興協会は、機械工業にかかわる優秀な研究開発およびその成果の実用化によって機械工業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業などを表彰する「第13回新機械振興賞」を発表、トヨタ自動車の「FC(燃料電池)駆動システム」が経済産業大臣賞を受賞した。
受賞業績は、燃料電池セルに独自の三次元構造を採用して発電性能を向上させるとともに、反応に必要な加湿装置を廃止するなどの改良を加え、燃料電池の省スペース化と同時に高性能化を図った。また、水素タンク形状の改良や強度強化のための炭素繊維の巻き方を工夫して、炭素繊維の使用量を抑制したり、ハイブリッド車部品の流用や部品の統合を行ったりしてコストダウンするなど、数多くの問題を解決し、世界で初めて水素自動車を市販化した。
また中小企業庁長官賞は、テクニカルの「極めて平坦な基準ガラス基板の開発」が受賞。同社は、平面度測定用のレーザー干渉計に使用する基準ガラス基板において、市販品としては最高クラスの精度となるλ/100(凹凸の差が6.3nm以下)の精度を持つガラス基板を開発した。製作には産業技術総合研究所の協力による平面度国家標準機および超高精度絶対形状測定装置(SDP)の測定結果と、自社での干渉計による三枚合わせ法の3種類の測定結果の相関を何度も確認する作業を行い、修正研磨の高い技術力と、歪みの少ない枠材への固定方法により実現した。
機械振興協会会長賞は、オキサイド「人の視覚特性を再現可能としたレーザースペックル測定装置」、JFEスチール「プレスベンド鋼管の高能率製造プロセス」、スズキ「ドライバビリティと使い勝手を向上させたAMTの開発」、スペクトロニクス「世界最高出力の深紫外ピコ秒パルスレーザー」、 三菱電機「横流れ電流低減化加工した小形誘導電動機」の4件が受賞した。また審査委員長特別賞には、大起理化工業「無粉塵型土壌自動粉砕篩分け装置の開発」が選ばれた。