日立金属と日立製作所は、配線幅、配線間隔がそれぞれ2μmと微細な配線層を形成した低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic:LTCC)パッケージ基板を開発した。
このLTCCパッケージ基板上にLSIとメモリを搭載してその間を1000本以上の配線で接続することにより、現状のパッケージ基板と比較し、10倍を超えるデータ処理能力を実現することが可能となる。また、現在開発が進められている有機パッケージ基板上にシリコンインターポーザを搭載したものと比較し、高信頼かつ低コストなパッケージ基板を実現するという。
近年、様々なモノとモノをインターネットに繋ぐIoTが注目されている。IoTが普及することで、ネットワークに接続するセンサーやカメラ、家電や車載装置などの機器から発生する膨大なデータをリアルタイムで処理することが求められている。情報処理装置のデータ処理能力を向上させるためには、データの伝送速度を上げたり、配線の並列数を増やしたりする必要がある。従来、様々な技術によってデータ処理能力の向上が図られてきたが、その一つに、有機パッケージ基板上に、幅数μmの配線を数1000本引いたシリコンインターポーザを搭載する方法がある。しかし、シリコンインターポーザの作成にはシリコンに穴を開け、薄く削るというコストのかかる工程が必要であり、かつその薄いシリコンインターポーザを有機パッケージ基板に実装する必要があるなど信頼性やコストに課題があり、普及の妨げになっている。
そこで日立製作所と日立金属は、LTCCに着目し、その上に微細配線層を形成する、LTCCパッケージ基板を開発しました。今回開発したLTCCパッケージ基板は基板上に微細な配線を直接形成するため、シリコンインターポーザが不要となるとともに、実装の工程を1回減らすことができ、低コストを実現する。またLTCCの熱膨張係数は有機基板に比べLSIやメモリに近い値をとるため、はんだ付け工程時に発生する熱膨張による基板の変形が小さく、信頼性を向上することができる。さらにLTCCは材料の性質上シリコンより配線の厚みをもたせることができるため、損失を小さくすることができる。
開発したLTCC パッケージ基板の構造と微細配線