三菱重工業は、同社松阪工場(三重県松阪市)での航空機生産事業展開に関して、松阪市と工場立地協定を締結した。併せて松阪市と、松阪工場内での事業展開を計画している航空機部品生産協同組合(代表理事:加藤 隆司氏、三重県松阪市)との工場立地協定が締結された。これにより松阪工場を拠点に、民間航空機向け小物部品の一貫生産・供給を担う産業クラスターの展開と、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の尾翼量産に向けた枠組みが整った。
協定を踏まえ、同社は同組合の松阪工場内建屋の利用に協力。民間航空機の小物部品について切削やプレスなどの加工から表面処理・塗装まで全プロセスにわたって手掛けられるよう、高効率かつコスト競争力のある部品生産の仕組み構築や、生産立上げ時に必要となる各種認証の取得などについて全面的に支援していく。
同組合では、ボーイング社の旅客機やMRJなどの民間航空機部品向け中小物部品の効率的かつフレキシブルな一貫生産体制を整備した「スマート・クラスター」の実現を目指す。そのため、自動車産業の効率的な部品作りの手法なども取り入れ、グローバル市場で勝ち残れる競争力を醸成することにより、自立化・高度化した部品製造の基盤づくりに取り組む。今後、参画各社で準備を進め、本格稼働は2016年後半を計画している。
同社は、松阪工場をMRJ量産拠点の一つとして位置づけており、水平・垂直尾翼の量産組立を行う。操業開始は2016年度の予定。
松阪市が位置する東海地域は、航空機関連メーカーが集積し、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」にも認定され、航空機産業の振興に官民を挙げて取り組んでいる。松阪中核工業団地内に所在する松阪工場も同特区の指定を受けている。