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帝人とナカシマメディカル親会社、人工関節で国内トップを目指す新会社設立

 ナカシマホールディングスと帝人は、ナカシマが100%の株式を保有するナカシマメディカルについて、帝人が第三者割当増資を引き受けることにより資本提携し、今年4月1日より、折半出資による合弁会社「帝人ナカシマメディカル株式会社」として事業展開することで合意した。

 新会社は、ナカシマが船舶用プロペラ・人工関節などの製造により培ってきた「高度な金属加工技術」や「人工関節領域における事業経験」と、帝人の有する高分子化学を中心とした「素材技術」や、ヘルスケア事業で培ってきた「開発力」「営業力」を融合させることで、さらなる事業発展を図り、国産の人工関節メーカーとして、国内トップを目指すとともにグローバル展開の基盤確立を推進していく。

 ナカシマグループは、1926年に漁船用プロペラ製造会社として創業し、その加工技術と製品開発力により、船舶用プロペラ事業で国内シェア70%、世界シェア30%というグローバルトップ企業の地位を確立している。ナカシマメディカルは、1987年に創業し、ナカシマグループが持株会社制を導入したのに伴い、2008年にナカシマの傘下企業として設立された。船舶用プロペラ製造で培った金属加工技術と、ビタミンE添加ポリエチレンなどの製品開発により、2013年度には売上高約30億円の事業規模に成長している。しかし、国内シェアは3%程度に留まることから、人工関節事業を取り巻く競争環境が変化する中、事業のさらなる発展に向けて他社との協業を含む事業拡大戦略を模索していた。

 一方、帝人は、創業以来培ってきた高分子化学を中心とした高機能素材事業と、グループ企業である帝人ファーマを通じて医薬品事業、在宅医療事業という二つのヘルスケア事業をグローバルに展開している。昨年11月に発表した修正中期経営計画においては、発展戦略の目指す方向として事業や素材の「融合」「複合化」を掲げており、高機能素材とヘルスケアの融合領域における新たな事業展開を模索していた。

 こうした中、ナカシマの「金属加工技術」「人工関節領域における事業経験」と、帝人の「素材技術」「営業力」を融合させることにより、人工関節市場においてさらなる事業拡大が可能であると判断し、このたびの資本提携に至ったという。

 今後は、帝人ファーマが長年培ってきたマーケティング手法を導入し、ターゲットを明確化することにより、さらに戦略的な営業体制へと再構築していく。また、両社の技術シナジーを活かして画期的な製品開発を進めることに加え、帝人が保有するグローバルネットワークを活かし、社内外の技術を積極的に活用・導入していく。これらの施策により、2020年には売上高100億円を目指すとともに、グローバル展開を推進することにより、国産の人工関節メーカーとしてトップ企業を目指す。