三菱マテリアルは、ハイブリッド自動車(HEV)などに使用される高出力モーターなどの電源制御用インバーター向けの絶縁回路基板として「Cu放熱板一体型DBA基板」を開発した。同品は、セラミックス基板の両面にアルミニウムを接合した従来の同社製DBA(Direct Bonded Aluminum)基板に、銅(Cu)放熱板を接合し放熱性を高めたもの。
Cu放熱板一体型DBA基板(反り低減タイプ)
高出力の電源制御用インバーターをはじめとしたパワーモジュールでは、素子の高出力化に伴い発熱密度が増大するため、温度上昇によって素子が誤作動を起こしたり、絶縁回路基板が割れたりすることを防ぐため、絶縁回路基板のさらなる放熱特性向上が求められている。
従来、銅あるいはアルミニウム製の放熱板を、はんだで絶縁回路基板に接合したものが一般的に用いられているが、はんだ自体の熱伝導率が低いことに加え、はんだ接合部の厚み(約300µm)により、大きな熱抵抗が発生するため、絶縁回路基板の放熱特性を向上させることに限界があった。
これまでに同社は、セラミックス基板の両面にアルミニウムを接合したDBA基板や、DBA基板のアルミニウムにCu回路材を直接接合した「厚Cu付きDBA基板」などを開発してきた。これらの製造・開発で培った接合技術を応用することで、このたび同社はCu放熱板を直接接合させたDBA基板を開発した。
同品は、はんだなどを介さないため接合部の熱抵抗を大幅に低減できることから、高出力化する次世代型パワーモジュール用絶縁回路基板として、今後HEVや鉄道などの分野での利用拡大が期待される。