産業技術総合研究所は、透明状態での可視光透過率が70%を超える新しい調光ミラーを開発した。鏡状態と透明状態を切り替えることができる調光ミラーを用いた窓ガラスは、透明な複層窓ガラスに比べると夏場に高い冷房負荷低減効果があり、鏡状態と透明状態の切り替えの繰り返し耐久性が実用に足る調光ミラー材料や安全なスイッチング方式が開発され、早期の実用化が期待されている。
今回開発した調光ミラーは、繰り返し耐久性の高いマグネシウム・イットリウム系合金を用いた調光ミラーの表面に適切な反射防止層をコーティングすることで、透明状態での可視光透過率を70 %以上に向上させた。これにより、道路運送車両の保安基準上、自動車のフロントガラスに要求されている透過率の条件を満たせるので、開発した調光ミラーを自動車内空間の温熱制御のために窓ガラスへ応用できる可能性が示された。
今後は暴露実験を行い、近い将来、調光ミラーガラス窓を実用化しオフィスビルや自動車の窓材に用いて冷暖房負荷を大幅に低減できるよう研究開発を進める。
今回開発した調光ミラーの鏡状態の外観(左:反射防止膜側から、右:透明基板側から)