三菱重工業は、今年10月1日付けで民間航空エンジン部門を会社分割により移管することによって、民間航空エンジンの事業会社を発足させる方針を決定した。営業・設計・製造から修理までの一貫体制を構築するとともに、生産能力の拡充に向けた体制の整備と外部資金導入による資本力の強化を図るのが狙い。
新事業会社は、国際共同開発が主流となっている民間航空エンジン分野におけるパートナー会社としての役割を果たすため、営業・設計・製造及び修理のすべての業務領域をカバーする。なお、調達については三菱重工業が引き続き実施する。
民間航空エンジン市場は、近年の旺盛な需要を背景に新規開発が相次ぎ、今後大幅な伸長が期待されている。その中にあって、競争力の強化のためには、生産能力の整備や製造技術の向上に加え、開発参画を続けていくための資本力の強化が求められる状況にある。三菱重工業は5か国共同開発である1983年のV2500エンジン事業への参画以降、インターナショナル・エアロ・エンジンズ(IAE)社、プラット&ホイットニー(P&W)社、ロールス・ロイス(RR)社のエンジン事業に参画し、着実に事業を拡大してきたが、今後の施策を通じて各社との関係を一層強化し、市場の拡大に迅速に対応する。
生産能力の拡充については、IHIとの生産協力関係を構築し、低圧タービンブレードの生産委託を行う。それに合わせて、新事業会社への少額の出資を仰ぐ方向で協議している。
また、資本力の強化については、日本政策投資銀行にも出資・融資を要請している。IHIおよび日本政策投資銀行とは今後具体的な検討を進め、速やかに最終的な契約の締結を目指す。