三菱マテリアルは、世界最薄である100µm以下の厚さで、曲げても動作するフレキシブルなサーミスタセンサを開発した。
開発したフレキシブルサーミスタは、厚さ50µmのポリイミドフィルム上に0.1µm~0.2µmのサーミスタ薄膜を直接形成したもの。電極や保護膜を含めたセンサの厚みは70µm以下で、世界で最も薄いサーミスタセンサを実現した。
また、従来のサーミスタセンサは曲げることが困難だったが、曲率半径6mmまで曲げても動作することを確認した。さらに、薄型化の実現により、従来品のサーミスタに比べ約6倍以上の高速な熱応答性を実現し、動作する温度範囲も従来の-40℃~125℃よりさらに幅広い-40℃~200℃であることを確認している。
同品は屈曲性を備えたことで、これまで困難であった携帯機器の狭い隙間や曲面部などに設置できるため、機器のデザインやサーミスタセンサの利用分野について、多様な設計が実現可能だという。
サーミスタセンサは温度を検知するセンサであり、スマートフォンやパソコンなどの電子機器、エアコンをはじめとした家電や自動車等、日常生活を取り巻く様々なものに広く使われている。近年では、各種電子機器の温度変化について、より細やかに制御するため、サーミスタセンサの小型化や薄型化、熱応答性の高速化などのニーズが高まっている。
従来のサーミスタ素子は脆く壊れやすい酸化物材料からなり、600℃以上の高温での焼成が必要なため、アルミナ等の硬いセラミックス板上に形成するのが一般的だった。サーミスタ素子にリード線や保護フィルムを取り付けた従来のサーミスタセンサは、薄くても500µm程度が限界で、薄型化が課題だった。