フルヤ金属、イリジウム合金製の摩擦攪拌接合ツールを製品化

製品の外観　フルヤ金属は、イリジウム合金の摩擦攪拌接合（Friction Stir Welding：FSW）ツールを製品化し、販売を開始した。

　FSWは、先端に突起の付いたツールを高速回転させながら金属の接合部分に押しつけ、金属を溶かさずに摩擦熱で軟らかくして接合する方法。接合温度は被接合材の融点にまで達しないため溶接と比べて変形が少なく、継手の結晶粒が微細化されることにより接合部の強度低下が小さいため、次世代の接合技術として注目されている。

イリジウム合金製ツールによるFSWの様子　現在、FSWはアルミニウムやその合金を接合対象として、接合の信頼性が要求される自動車や鉄道車両、航空宇宙分野などですでに実用化されているが、一方で、金属の生産量の大半を占める鋼材同士のFSWについては、研究開発段階だという。鋼材のように融点や高温強度が高い材料をFSWするためのツールとしては、ニッケル系やコバルト系などの金属系ツールのほか、セラミックス系では多結晶立方晶窒化硼素（PCBN）や窒化珪素のツールが開発されている。セラミックス系ツールは優れた高温硬度を発揮するが、一方で、靱性が低く接合時に破損しやすいことや、摩耗後に使い捨てるため、ランニングコストが高くなるという問題もある。

　同社が開発したイリジウム合金製ツールは、融点が2600℃以上の金属でも接合できるという高温強度を持ちながら、靱性に優れたFSWツールで、イリジウムに微量元素を添加した合金材料。従来のFSWツールでは、被接合材の融点が高すぎて接合できなかったモリブデン（融点2623℃）や酸化物分散強化白金合金（融点約1860℃）のほか、鋼材全般(炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼)やチタンなどの金属を接合することができる。